台湾の国家通信社である中央通信社が21日に報じたところによりますと、日本の著名な政治学者である、小笠原欣幸東京外国語大学名誉教授は日本の産経新聞のインタビューを受け、「頼清徳新総統の就任演説は、蔡英文政権の路線を継承し、対中政策の『現状維持』を明言した一方、台湾を守る強い意思を感じさせた。蔡氏の就任時は『両岸(中台)』や『対岸』などの表現を使ったが、頼氏は『中国』で通した。中台が『一つの中国』原則を確認したと中国が主張する「1992年合意」にも全く言及せず、中国への警戒感が強くにじんだ。」との見方を示しました。
小笠原教授によりますと、前任の蔡英文政権の8年間、台湾アイデンティティーが定着しました。今年4月に発表された世論調査の結果が示すところでは、「両岸は2つの異なる国家」だとする人が76.1%に上りました。頼・新総統は演説で、「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」としました。8年前、当時の蔡英文・総統が就任した時にはなかった言葉です。頼・総統の演説は、台湾の民意、および中国に対する認識を踏まえたものだったということです。
小笠原名誉教授は、頼・総統は中国に不必要な刺激を与えることを避けるため、新憲法の制定など「台湾独立」に関する話題にも触れていなかったが、その代わりに「現状維持」を強調した。それは「民主的な中華民国台湾を守る」ことの意味だと解釈しました。頼・総統の路線は蔡・前総統によく似ており、中国の圧力に屈服しないとはっきり表明した。中国は頼・総統を批判するだろうが、現状維持を主張する台湾の民意も正視すべきだということです。
今回の総統選挙で多くの若者の票は、ほかの政党に流れていきました。立法院の第一党も国民党に取って代わられました。小笠原名誉教授は、頼総統が就任演説で触れた経済の強化などの内政問題は、前回の総統選挙で圧勝した蔡・前総統よりさらに抽象的だった。これは民進党の政権運営の苦しさが見えるような内容でもあったと感想を述べました。
小笠原名誉教授によりますと、次期総統選まで、中国は民進党政権に対する不信感をさらに強調することでしょう。しかし、大多数の台湾の民意は「台湾は中国ではない」と主張していることから、野党の国民党は過度に中国に接近するのが難しいでしょう。頼政権はいかにして台湾と中国の問題に関心の薄い台湾の若者を影響するかがこれからの観察ポイントになるということです。
(編集:王淑卿/本村大資)