社会イノベーションと持続可能な開発を促進するため、台湾は行政院(内閣)の指導のもとで2018年から「亜太社会創新高峰会(Asia Pacific Social Innovation Summit)」を開催しています。今年で7回目となる同サミットは4日と5日、台湾中部・南投県埔里にある、国立曁南国際大学で「靭性亜洲(レジリエンス・アジア)」をテーマに開催。初日となった4日は台湾の最高学術機関・中央研究院(略称:中研院)の元院長である李遠哲氏が開幕の基調講演を行いました。
この中で李遠哲氏は、2015年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定の気候目標は、地球環境の悪化を遅らせるための努力の一つに過ぎないが、そのような努力は決して十分とは言えず、全体として状況はまだ悪い方向に向かっており、不安を感じている」と指摘。人々と政府が直ちに目を覚まし、地球を救うためにさらなる努力をしなければならないと改めて呼びかけました。
李遠哲氏は気候変動に関して、いわゆるパリ協定は、世界の平均気温の上昇幅を産業革命以前と比較して可能な限り摂氏1.5度以内に抑え、かつ今世紀後半までにネットゼロを達成するとしている。 このような気候目標は、李遠哲氏にとって地球環境を悪化させないための努力には見えるが、良い方向には向かっておらず、不安を感じていると指摘。
李遠哲氏は「この方向性が悪い方向に向かっていることに不安を感じている。ゼロというと聞こえはいいが、ネットゼロというのは温室効果ガスの排出量が、2050年までに地球が吸収する量と同じだけ増えてもいいということだ。これは私たちが良くないことをし続けることを許しているように思える。したがって、この点で、私は国連がこうすることに賛同できない。 私たちはさらに努力しなければ、チャンスはないだろう」と語りました。
李遠哲氏はまた、人々と政府は目を覚さなければならないと呼びかけました。さらに先週、時期総統に選ばれた頼清徳・副総統に提案を行ったことを明かし、温室効果ガス削減の取り組みは急務であり、8年、9年以内なら地球を救う機会はまだあり、これは次の2期の相当の任期が鍵になると提言したということです。
このほか、李遠哲氏は、子どもの頃、第二次世界大戦末期に約1年半山で暮らしたことに触れ、その期間に大自然から人生とは何か、生きることとは何かなど多くのことを学んだ。誰もが成長段階に少なくとも1年間は「牛を放牧」するように、近代的な設備が溢れていない田舎でしばらく生活することを強く推奨。そうして初めて自然の懐に戻り、自然の一部になるとは一体どういうことなのかを理解できるだろうと述べました。
今年で7回目を迎える「亜太社会創新高峰会(Asia Pacific Social Innovation Summit)」は、「靭性亜洲」をテーマに、国や分野を超えた対話を通じて、各国が社会イノベーションがもたらす変化によってレジリエンスを強化し、どのように課題に対応できるかを理解することで、明日のアジアにおける変革の機会を見出すことを目的としています。サミット開幕直後の基調講演では、中央研究院の元院長である李遠哲氏が「レジリエンスから持続可能性への歩み」と題してスピーチを行いました。
(編集:本村大資)