「土豆(tu3dou4)」という単語、何のことだかわかりますか?
日本で中国語を学んだことがある方は、おそらく「ジャガイモ」と答える人が多いと思います。でも実は、台湾では「土豆(tu3dou4)」は落花生のことを指すことがほとんどです。
ところが、先日、ある出版社が出している中学1年生の生物の教科書で、「ジャガイモ」のことを「土豆(tu3dou4)」と表現していたことから、中国の用語が台湾の教科書で使われるようになったと懸念され、物議を醸しています。
実際にその教科書のページを見てみると、「なぜ生物に名前を付ける必要があるのか?」を学生に紹介する単元で、学生たちの学習を導くために、「1人の男子学生が、先週末食べた「土豆絲(tu3dou4si1/ジャガイモの千切り炒め)」が美味しかった~と話したところ、それを聞いたもう一人の男子学生が、「土豆(tu3dou4/落花生)」は小さいし固いのにどうやって千切りにするんだ?と話がかみ合わなかった」という「3コマ漫画」が添えられていました。
これがきっかけとなり、他のネットユーザーも教育部のオンライン辞書を調べたところ、「土豆(tu3dou4)」の定義の中に「ジャガイモ」が含まれていることが判明。再び熱い論争が繰り広げられました。
そして先日、台湾大学のある教授が、自身のフェイスブックページで、「土豆(tu3dou4)はジャガイモ!これは文化侵略か?」「もし本当に相手と縁を切りたいのであれば、まずは日常の用語の使用から始めた方がいい」と書き込むと、他のネットユーザーからも「日常用語への侵入は統一戦線の手法だ」という声も出るなど、論争がどんどんと過熱していきました。
そしてついには、この「土豆(tu3dou4)」の話題が、日本の国会にあたる立法院の質疑応答の際に取り上げられ、議員から「教科書は自然科学の学名をよく確認し、しっかりと審査をしなくてはならない」と言われ際、教育部の潘文忠・部長も「台湾の教科書でどうして中国の用語を使うのか」と驚き、出版社が教科書を編さんする際、学術研究スタイルの辞書の言い回しを引用せず、改訂後に校閲に出すことを推奨すると発言しています。
このように一部で、中国大陸の“認知戦争”の作戦ではないかと懸念の声が上がっていますが、一方で、「台湾は移民社会で、閩南人ではない人もいる。土豆(tu3dou4)は北方系ではジャガイモのことを言う。我が家は小さい頃からジャガイモを土豆(tu3dou4)と呼んでいる。でも私は台湾人だ」という書き込みもありました。
また、教育部は学校のダイバーシティを推奨する際に、よく「達人(たつじん/da2ren2)」という二文字を使う。これは日本語から来たものだが、それを忘れてしまっている。他にも、違和感(wei2he2gan3)、王道(wang2dao4)、定食(ding4shi)、素人(su4ren2)など、台湾人がよく使う漢字の語彙があるが、日本文化が台湾に輸入された際、一般市民はそれを不快に思わず、多くの用語が社会に定着するのに、なぜ中国大陸の言葉を使うことにこれほど敏感になるのか?今回、生物の教科書から「ジャガイモ」が禁止されたら、次はどんな日常の言葉が禁止されるのだろうかと言う意見もありました。
例えば、トマトは中国では西紅柿(“西”、“紅”、果物の“柿”と書いて/xi1hong2shi4)と言いますが、台湾では番茄(dan1qie2)と言います。インスタントラーメンは、中国では方便面(fang1bian4mian4)ですが、台湾では泡麵(pao4mian4)。発音の部分においても、「ゴミ」の中国語は、中国では「垃圾(la1ji1)」と言いますが、台湾では「垃圾(le4se4)」と発音します。
このように、実際、台湾と中国で、日常で使うけれども違う言葉はいくつもあります。
日本でも“言葉は時代と共に変化する”などと言われていますが、歩んできた歴史の中でその土地独自に変化したり定着した言葉をお互いに“楽しめる”ようになりたいですね。