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混乱続く、ラクトパミン残留のアメリカ産豚肉輸入が解禁

  • 04 January, 2021
  • 早田健文
混乱続く、ラクトパミン残留のアメリカ産豚肉輸入が解禁
ラクトパミン残留豚肉の輸入解禁に反対する民間団体が、解禁日の1月1日、行政院前で抗議行動。(写真:民間反瘦肉精毒豬聯盟)

ラクトパミンが残留したアメリカ産豚肉の輸入が1月1日に解禁されましたが、これをめぐって依然として混乱が続いています。

蔡英文・総統は1日、新年を迎えるに当たって発表した談話で、ラクトパミン残留豚肉の輸入解禁について触れ、今回の輸入解禁に伴って発生した対立によって、「なぜ以前の政権は開放を約束したものの、それを実行できなかったか、理由が分った」と指摘したうえで、「台湾の生存は貿易に頼っている。これまで三つの政権が懸案としてきたこの難題を、これ以上、棚上げすることはできない。私は最も謙虚な態度で、すべての国民に理解をお願いしたい。この決定は、政府が再三の検討を経て決断したものだ」と表明しました。

これについて、与党・民進党立法院党団の莊瑞雄・書記長は、ラクトパミン残留豚肉の輸入解禁は国際的な科学的基準に基づいたものであり、蔡英文総統が謙虚な程度で国民に理解を求めることは、「与野党間の緊張と、国民の不安を緩和させることに役立つ」との見方を示しました。

しかし、野党・時代力量立法院党団の邱顕智・招集人は、「ラクトパミン残留豚肉の輸入解禁は、国民の健康にかかわる問題であり、政府は輸入管理を強化すると共に、「ラクトパミンが残留しているかどうかの標示を明確にして、消費者に買うか買わないかの選択権を持たせることが重要で、そうでなければ国民は安心できない」と指摘し、「原産地を表示することだけでは意味がなく、ラクトパミンの含有許容量を超えた輸入豚肉の情報を公開し、直ちに処罰を行うべきだ」との考えを示しました。

また、最大野党・国民党の洪孟楷・立法委員は、「台湾では7割の人がラクトパミン残留豚肉の輸入解禁に反対している。アメリカからの解禁要求に耐え切れないのであれば、そのような政府は政府の資格がない」と指摘しました。

一方、中央政府がラクトパミン残留豚肉の輸入を解禁したことに対して、多くの地方自治体が相次いで、ラクトパミン残留豚肉の流通を禁止する独自の条例を制定しています。これに対して中央政府である行政院の羅秉成・政務委員は、自治体が条例によってラクトパミンのゼロ検出を義務付けることは、憲法と中央政府の法令に違反しており、無効だと指摘しました。

羅秉成・政務委員は、地方自治体がこの問題で請願を行ったり、行政訴訟を起こしたり、憲法解釈を請求した場合、結論が出るまでは中央政府の法令である食品衛生安全管理法に従う必要があると述べ、「地方自治体で自治条例の違法な規定を無理やりに執行した者は、法律に基づいて処罰する。地方自治体は、基層の公務員を困らせるべきではなく、法律を無用のものだと考えるべきではない。地方自治体が効力のない自治条例に基づいて勝手に業者を処罰した場合、行政院は地方自治体の行政処分を取り消す」「民意を反映して自治条例を改正することは地方議会の本分だが、台湾には民主主義があると同時に法治がある。法律には秩序があり、台湾の民主主義を安定させる重要な原則だ」と強調しました。

中央政府は、ラクトパミン残留豚肉の輸入解禁に当たって、豚肉を販売する店舗に対して、原産地標示だけを義務付けています。

12月31日時点で、台湾に22ある地方自治体のうち、台北市、新北市、基隆市、桃園市、新竹県、苗栗県、台中市、彰化県、雲林県、嘉義市、台南市、高雄市、宜蘭県、花蓮県、台東県、澎湖県、金門県、合わせて17の自治体が、行政院と衛生行政を担当する衛生福利部に対して、ラクトパミン残留豚肉の流通を禁止する内容の自治条例を提出しています。

この行政院の発言に対して、野党側からは、行政院には憲法違反かどうかを認定する権限はなく、権限を逸脱した行為だとの批判の声が上がっています。

これに対して、行政院直轄市のうち、台湾民衆党の市長の台北市、最大野党・国民党の市長の新北市、台中市は、この問題に関して憲法解釈を請求する準備を進めています。一方、民進党が市長を務める桃園市、台南市、高雄市では、原産地表示が的確に行われているかどうか、市場での調査を強化する方針です。各自治体での対応は、自治体の長が所属する政党によって異なっています。

うち、台北市では、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどがラクトパミン・ゼロのコーナーを設置してラクトパミンが残留していない豚肉を販売していることをアピールしています。台北市では、輸入豚肉に対してラクトパミン残留検査を実施し、標示が事実と異なっていた場合、食品安全自治条例に基づいて台湾元4万元から400万元(日本円およそ14万~1400万円)の罰金を科す方針です。

こうした中で、ラクトパミン残留豚肉の輸入解禁に反対する民間団体は1日、総統府前の凱達格蘭大道と信義路の交差点に集まり、さらに「反対」を叫びながら行政院までデモ行進しました。一時、これを阻止しようとした警官ともみ合い、混乱する場面も見られました。

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