台湾各地の豚肉輸入業者80社余りがこのほど、ラクトパミンが残留した豚肉を輸入しないと宣言しました。ラクトパミンが残留した豚肉の輸入が解禁される来年1月1日以降も、宣言に参加した業者は、現在と同様、ラクトパミンが残留した豚肉の輸入を行いません。この共同宣言に参加した業者は、これよって消費者の不安が取り除かれることを期待しています。
蔡英文・総統は今年8月、ラクトパミンが残留したアメリカ産豚肉の輸入を来年1月1日から解禁すると発表しましたが、これに対して反対の声が高まっています。
ラクトパミンを飼料にまぜて食べさせることは、アメリカでは認められていますが、人体に対する健康被害が報告されていることから、世界の多くの国が使用を禁止しています。台湾も使用を禁止すると共に、使用された豚肉の輸入も禁止してきました。しかし、以前からアメリカが輸入解禁を求めて圧力をかけており、民進党の蔡英文政権はこのほど、アメリカとの貿易交渉を進める上で有利になることを考慮して、解禁を宣言しました。来年1月1日から解禁が実施される予定となっています。
宣言に参加した業者の代表によりますと、ラクトパミンが残留したアメリカ産豚肉の輸入解禁が発表されて以来、消費者が海外から輸入された豚肉を買わなくなり、豚肉の消費が大幅に減少し、価格が下落しているということです。このため、豚肉の輸入業者だけでなく、台湾の養豚業者も影響を受けています。このままでは、多くの業者が倒産に追い込まれることになるため、今回の宣言を発表し、ラクトパミンが残留した豚肉を輸入しないことを消費者に約束することになったということです。
業者の代表は、「政府の政策は、私たちに大きな危害を与えており、養豚業者にも危害を与えている」と訴えました。
また、今回、共同宣言に参加しなかった業者に対しても、ラクトパミンが残留した豚肉を輸入しないよう説得を続ける予定です。ただし、ラクトパミンが残留した豚肉と残入しない豚肉では輸入価格に大きな違いがなく、このため利益を求めて輸入する業者はないだろうとのことです。
台湾には、豚肉の輸入に従事している業者は100社余りあるということですが、今回の宣言にはそのうちの80社余りが参加しました。
衛生福利部食品薬物管理署の豚肉輸入業者のランキングによると、上位50社が輸入量全体の90%を占めていますが、この上位50社はすべて今回の共同宣言に参加しているということです。
豚肉輸入業者は、今後、自主規制を採用し、また販売に当たってはラクトパミンが残留していない豚肉だという標示を実施する予定です。また、食品薬物管理署に対して、豚肉輸入業者のリストを発表し、輸入された豚肉の流通経路を消費者に理解してもらうよう呼びかけています。
この共同宣言に対して、政府関連部門の関係者は、アメリカに対する台湾側の約束に違反せず、政府の開放政策に対する消費者の不安を解消することにつながると指摘しています。ただし、アメリカ側の不信感を招くことになるため、政府がこの業者の自主的な行動に参加することは不適切だと指摘しました。また、政府がアメリカから輸入される豚肉に対して、ラクトパミンを含有しないという標示を義務付けた場合、貿易障壁に当たり、アメリカ側からの報復を受ける可能性があり、実際にタイではこうした事例が発生したことがあると説明しました。
この政府関係者は、台湾の輸入業者が、ラクトパミンが残留する豚肉を輸入するか、残留しない豚肉を輸入するかは、業者の自主的な判断であり、市場システムが決めることであり、政府としては業者の自主的な行為を尊重すると共に、干渉はしないと表明しました。
蘇貞昌・行政院長もこれについて、議会である立法院での答弁で、「輸入豚肉に対してラクトパミンが残留していないと標示することは、商業行為であり、政府としては楽観視している。ただ、政府としては将来、輸入豚肉に対する監視を厳格に行い、全ロット検査を実施し、消費者の食の安全を守る」と表明しました。
なお、行政院農業委員会によると、今年これまでに、豚肉の輸入は昨年の同じ時期に比べて3割ほど減少しています。