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ラクトパミン残留のアメリカ産豚肉、輸入解禁に賛否沸騰

  • 31 August, 2020
  • 早田健文
ラクトパミン残留のアメリカ産豚肉、輸入解禁に賛否沸騰
蔡英文・総統は、ラクトパミンが残留したアメリカ産豚肉の輸入解禁を発表。食の安全、養豚業者への影響をめぐって、論議が巻き起こっている。(写真:AP)

蔡英文・総統が、ラクトパミンが残留するアメリカ産豚肉の輸入を解禁すると発表したことから、賛否の議論が沸騰しています。

ラクトパミンは飼料添加物として用いることで肉の赤身が増えるといわれていますが、人体に対しては有害な影響を及ぼすことがあると報告されています。台湾では、ラクトパミンの資料添加物としての使用は全面的に禁止されており、またラクトパミンが残留しているアメリカ産の豚肉の輸入を禁止してきました。これに対してアメリカは、ラクトパミンの残留量が国際基準を満たしたアメリカ産豚肉の輸入を解禁するよう、繰り返し台湾側に求めていました。

蔡総統は、政府としては輸入肉類に対する検疫と検査を強化すると共に、食品表示規定を着実に実施するよう業者に求めていくこと、さらに、行政院が100億台湾元(日本円約360億円)の「豚肉産業基金」を開設し、養豚業者の利益が今回の輸入解禁によって影響を受けないよう努めることを表明しました。

また、この決定は、世界の経済・貿易のサプライチェーン再編が急速に進む中で、台湾の経済・貿易戦略全体とかかわるものであり、台湾にとってこの時点で決定することは非常に重要で、アメリカでの大統領選挙、台湾の国防安全問題とは関係がないと強調しました。

農業行政を管轄する行政院農業委員会では、台湾産の豚肉は、台湾市場で9割以上のシェアを持っており、競争力が非常に高いと指摘し、台湾の養豚業者への影響は少ないことを強調しました。

また、衛生行政を担当する衛生福利部は、今後、食肉市場、スーパーマーケット、レストラン、食肉店、それに加工食品に対して、原料の原産地を明示するよう要求し、標示されていない場合、最高で300万台湾元(日本円約1100万円)の罰金、標示が事実と異なる場合、最高で400万台湾元(日本円約1500万円)の罰金を科します。

この蔡総統の発表に対して、最大野党・国民党の江啓臣・主席は、養豚業者を訪問して意見を聞いたのち、これは重大な国家政策であり、蔡英文・総統に立法院(議会)で報告を行うよう要求する」と表明し、行政命令の方式で直接解禁し、議会での議論を受けないことに疑問を示しました。また、政府は、加工品を含めて産地標示を確実に行うよう要求するとは言っているが、実際の執行面で確実に行われるかどうか疑問がある、と指摘しました。さらに、アメリカ産の豚肉は価格が台湾産に比べて低く、台湾の豚肉市場に確実に影響を与えると述べています。

養豚業者は、台湾での養豚に必要な飼料は輸入に頼っており、このためコストが非常に高く、アメリカ産豚肉の全面的な輸入解禁は、台湾の養豚業に極めて大きな影響を与える、また政府は台湾の養豚業者がラクトパミンを使用することを禁止しており、二重基準は台湾の業者に不公平感をいだかせる、と指摘しています。養豚業者は、業者との話し合いを行わず、直接、解禁を発表したことに不満を示しており、一部の地方の今後、陳情を行うことを予定しています。

また、一部の地方自治体では、ラクトパミンが残留した豚肉の流通を引き続き禁止する方針を示しています。

一方、経済団体は、今回の解禁がアメリカとの自由貿易協定(FTA)調印を促進することに期待を示しており、アメリカとの間で自由貿易協定を調印することができれば、他の国との調印も進むとの見方を示しています。

また、台湾の代表的な消費者団体である消費者文教基金会は、食の安全を守るという立場からは、政府がラクトパミン残留の安全基準を確実に実行するのかが重要だと表明しました。

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