蔡英文総統と馬英九・前総統が、中国大陸との戦争に対する危機感で、批判の応酬を繰り広げています。
蔡英文・総統は22日、「人民の負託を受けて国家を指導する者として、主権の問題で相手にひれ伏し、あるいは民主の価値について一言も発しないことによって、いわゆる平和と交換できるという、現実的でない幻想を抱くことは絶対にできない」と語りました。
これは、最大野党・国民党の馬英九・前総統が、蔡英文・総統は国家を戦争の縁に追いやっていると批判したことに対する反論です。
蔡英文・総統は、「馬英九・前総統の発言は、国際情勢と台湾海峡両岸情勢の最新動向をまったく把握しておらず、一種の最も安全でない話だ」「国家主権を守り、民主自由を守り、台湾人の生存の権利を確保することは、総統の職責であり、挑発ではない」と語りました。
また、蔡英文・総統は、「幸いなことに、国家安全に対する認識が混乱する時代は過ぎ去った。積極的に自分の国家を守るべきである。自分が総統を務める限り、『平和を国防に頼る』、理念の近い国家と協力するとの方針を守り続ける」と述べました。
馬英九・前総統は、同日の「国家不安全シンポジウム」の中でも、中国共産党は武力による台湾への侵攻を放棄していないが、これと同様に、総統が誤った刻化路線を選択し、国家を戦争の縁に追いやることは受け入れることができない。『アメリカと連携し、中国大陸に対抗する』ことは、台湾を大国間の争いに巻き込むことになる」など、蔡英文・総統の政策によって台湾は戦争発生の危険が高まっているとの批判を繰り返しています。
馬英九・前総統は、「アメリカは中国大陸と、ここ数年、貿易戦争、ハイテク戦争を、外交戦争に引き上げている。台湾は中国大陸とアメリカの二大軍事・経済勢力がぶつかる最前線に置かれている。これらと距離を保つことこそが、災いを避ける道であるはずだが、民進党は両者の争いに巻き込まれている。台湾が大国の駒にされることが心配されているのだが、蔡英文・総統は逆に自分が駒を動かしていると言っている。しかし、トランプ大統領が、中国大陸の容認範囲を超える形で台湾カードを切った場合、不測の事態が発生すれば、北京は台湾海峡で衝突を起こし、ワシントンに譲歩を迫ることになる。そうなれば、台湾は将来、恐らく捨てられることになり、台湾は両者の争いの下での犠牲となる」と指摘し、蔡英文・総統に対して、「戦争は災いをもたらす。国家の指導者は、戦争を避けるべきだ。戦争を恐れないにしても、戦争を求めるべきではない。一撃を受けてから、各国に救援を求めるといったこの種の考え方は、台湾人民の生命・財産の安全をないがしろにするものだ」と語りました。
こうした馬英九・前総統の批判に対して、蔡英文・総統だけでなく、総統府、行政院、外交部、行政院大陸委員会などの各政府機関は、一斉に馬英九・前総統に対する批判を展開しています。
そのうち、外交部は、「外交部としては、このような反外交、反国家安全の奇妙な発言に影響を受けることはない。引き続き、重要な理念が近い国家との関係を推進し、台湾の戦略的地位を維持し、国家の戦略利益を促進する」「インド太平洋地区では、近年、緊張が高まっており、東シナ海、台湾海峡、南シナ海、中国大陸とインドの境界などで相次いで事件が発生しており、いずれも中国大陸の頻繁な軍事活動と関係がある。また、中国大陸による自由・人権の迫害は、チベット、新疆ウイグル自治区、キリスト教から、香港での『1国2制度』の徹底破壊まで、深刻性を示している」「中国大陸による権威主義の対外拡張の影響を最初に受けるのは台湾だ。政府は従来型、非従来型の国防を強化する必要がある」「かつて軍の総帥を務め、外交を主導した前総統が、国家の自己防衛を敵対挑発とみなし、対外関係の発展を中国大陸に対する脅威だと考え、アメリカの台湾に対する友好と支持を無用だと見ている。こうした『国防・外交無用論』は、台湾社会の主流の民意に反するものであり、外交部は極めて遺憾に感じている」との内容のニュースリリースを発表しました。
また、行政院は、「馬英九・前総統は、絶えず中国大陸当局に迎合し、戦争を持ち出して台湾人民を脅迫している」と批判しました。
こうした政府の各方面からの批判に対して、馬英九・前総統は、「政府がこれほど一生懸命になって批判を展開したことはかってない。これは、私の指摘が彼らの急所を突いたことを証明するものだ」と語りました。