台湾の観光業の所轄機関、交通部観光局が、亀山島(台湾本島の宜蘭県頭城鎮の東沖約10kmにある)の観光が開放されて20年を祝うため、名前の中に「亀」という字がある人を8月1日に無料で亀山島に招待するイベントを行っています。台湾人の中に「亀」という字を名前にする人が非常に少ないため、ネットユーザーの間では、「これはただで人を招待したくないだろう」と、皮肉ったこともありました。
長く募集した結果、交通部観光局は22日、条件を満たした応募者5人を発表し、そのうち4人は、22日の記者会見に出席しました。
この四人とは、女性タレントの蔡閨(サイケ)さん。国立台湾大学日本語文学科で教鞭をとっていらっしゃる日本人教師の亀田俊和(としたか)さん、宜蘭県頭城鎮の市民、呉亀雄さん、新北市板橋市の市民、江阿亀さんです。
女性タレントの蔡閨さんの本名は、「蔡蠵龜」といいます。これは「アオウミガメ」の中国語名、「綠蠵龜」と一文字の差だけです。蔡閨さんによりますと、名前に「亀」という字のある人がよくからかわれています。この字が悪いイメージに使われることが多いからです。例えば、「縮頭烏亀(臆病者や気の小さい人)」、「亀孫子(臆病者など人を罵る言葉によく使われる)」など。しかし、本人はこの文字を誇りに思っています。なぜなら、「亀」という字を名前に使う人が少なく、非常に珍しいという点のほか、父親がこの字を名前に入れたのは、蔡閨さんが亀と同じように長生きできるよう願うためです。もう一つの原因は、蔡閨さんの母親は日本人です。「亀」という字は日本では長生きの象徴とされているからです。
秋田県出身の日本人教師、亀田俊和(としたか)さんは、三年前、台湾にこられました。現在台湾国立大学で教鞭をとっています。自分の苗字について、亀田先生は、「日本には『亀田山』という山がある。山の麓にある村落に住む多くの人は、この苗字を使っている。大学に進学するため、故郷を離れた後、みなから『亀先生』と呼ばれていても、なんとも思わない」と説明しました。
81歳の呉亀雄さんは、自分の名前について、「もともと『呉祈興』という名前だったが、日本統治時代、日本人がそれを『呉亀雄』に間違えたため、そのまま使うようにした。以前『亀山島』に住む年長者は、よく名前に『亀』という字を使っていた。もう他界したが、『卓亀』という友達がいた。今、『亀山島』の出身者で『亀』という字を名前に使っている人は自分しかいない」と振り返りました。
今年63歳の新北市民、江阿亀さんは、自分の名前について、「農業に携わる父親は田んぼで亀を見たとき、非常に温和な印象を受けた。自分の子どもも将来亀のような温和な人になってほしいと思い、名前に『亀』という字を入れた。大きくなったら非常に恥ずかしく思い、何度も改名を考えていたが、いつの間にか慣れてしまった。名前に『亀』という字のある人が非常に少ないため、逆に人と交流するときの話題になっていて人との距離が一気に短くなった」と述べました。
22日の記者会見に出席しなかったものの、名前に「亀」という字が入っているのは、現在新北市に住む新潟県出身の日本人、亀貝康明(KAMEGAI YASUAKI)さん。5年前から台湾に定住しています。8月1日の無料招待イベントに参加するそうです。
応募者5人のうち、2人は日本人、台湾人が意外と少ないです。この点からも『亀』という字に対する台湾人の考え方、華人社会における『亀』という字のイメージが伺えるでしょう。
亀山島は1977年から軍事的な用途から一般人が住んでいません。しかし、その後、政府が離島の観光振興を図り、それに加えて亀山島の周辺海域に豊富な生態系があるため、2000年8月1日に正式に観光を開放しました。位置づけは生態島です。毎年延べ12万人が亀山島を訪れ、台湾の観光業に2億5000万元の収入をもたらすと共に、東北海岸沿線の観光業の繁栄にもつながっています。