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「農田水利法」が可決、農地の水利を行政機関に移行

  • 06 July, 2020
  • 早田健文
「農田水利法」が可決、農地の水利を行政機関に移行
立法院は「農田水利法」を可決・成立。これにより、農地の水利を担ってきた「農田水利会」は行政機関となり、農地水利の慣習が大きく変わることになる。(写真:Bintang_Galaxy/Pixabay)

台湾の議会に当たる立法院は2日、「農田水利法」を可決・成立させました。これにより、農地の水利を担ってきた「農田水利会」は、行政機関に改組され、責任者を政府が派遣すると共に、従来の「農田水利会」の資産と負債は一括して国有化し、「農田水利作業基金」が管理することになります。また、各「農田水利会」ごとに専用の銀行口座を開設し、その収入は消費税に相当する「営業税」が免除されます。

これに対して、「農田水利法」に反対する最大野党・国民党は、この立法は「農田水利会」を消滅させ、農業従事者の財産を侵害するものであると批判しており、今後、この法律が憲法に抵触するものでないか、憲法解釈を求めることにしています。

台湾では、日本統治時代の水利組合を起源とする「農田水利会」という農業組織が農業水利事業を担ってきました。灌漑面積は約31万ヘクタール、会員数は17の「農田水利会」合わせて150万人近くに上っています。このため、地方政治に大きな影響力を持ち、選挙の際に地方の政治勢力の票集めの組織として利用されることが少なくありませんでした。「農田水利会」を行政機関に改組することは、台湾で長年行われてきた農地水利の慣習を大きく変えることになります。

これに対して、立法院は2018年、「農田水利会組織通則」を改正し、「農田水利会」を今年10月から行政機関に改組し、現在の会長の任期は今年9月30日に満了し、その後は政府が新しい会長を派遣することを立法化しました。立法院はさらに2日、農田水利会の改組に対応するため、「農田水利法」を可決・成立させ、台湾全土にある17の「農田水利会」を、農業行政を担当する中央官庁である行政院農業委員会の農田水利署の下に編入し、農地の水利に関する業務を拡大することを明示しました。

しかし、この「農田水利法」の制定に対しては、反対派などが100人ほどの農業従事者を集めて立法院前で抗議デモを行に、「農田水利法」は「農田水利会」を消滅させ、財産と権利を奪い取る悪法だと批判しました。また、最大野党の国民党も強く反対し、5時間にわたってこの法律を可決しようとした与党・民進党と対立しました。しかし、多数を占める民進党によって、最終的に可決・成立しました。

民進党の立法院党団は、「農田水利法」について、「農田水利会組織通則」を改正した際に積み残した作業を実現するものであり、「農田水利会」を行政機関に改組することで、「農田水利会」が所有する施設を破壊すれば処罰され、また資産はさらに有効活用できるようになり、決して資産を国有化するものではなく、さらに1万人を超える「農田水利会」の職員の仕事は保障されると説明しました。

また、行政院農業委員会の陳吉仲・主任委員は、「この法律の可決・成立によって、灌漑の範囲が拡大し、さらに具体的な行政処分の権限を持つことによって、灌漑用水を汚染する行為に対しては、直接、最高2000万台湾元(日本円およそ7300万円)の罰金を科すことが可能となる。この罰金は、環境保護機関が汚水放出に対して科す罰金より高いものだ」と強調しました。さらに、「17の農田水利会が持つ資産は動産が700億台湾元余り、不動産が1500億台湾元余りで、負債はない。将来、それぞれの農田水利会ごとに17の作業分基金を設立し、行政院農業委員会が毎年合わせて60億台湾元の補助を提供して作業分基金に使用してもらう。資産の没収には当たらない」と説明しました。

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