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監察院の副院長、野党・国民党の黄健庭氏が指名辞退

  • 22 June, 2020
  • 早田健文
監察院の副院長、野党・国民党の黄健庭氏が指名辞退
蔡英文・総統が監察院の副院長に指名しようとしていた最大野党・国民党所属で前台東県知事の黄健庭氏が、指名の受諾を辞退した。この人事については、与野党のいずれもから批判が起きていた。(写真:rti)

蔡英文・総統が、公務員や行政機関の監督などを担当する監察院の副院長に指名しようとしていた最大野党・国民党所属で前台東県知事の黄健庭氏が20日、指名の受諾を辞退すると表明しました。黄氏の指名に対して、黄氏が所属する国民党だけでなく、蔡総統のおひざ元の与党・民進党内部からも強い反対の声が起きていました。

監察院とは、公務員や行政機関の不正に対する弾劾権・糾挙権の行使、各種国家機関の財政状況・決算の会計監査など、国政調査を行う政府機関です。台湾で採用されている行政、司法、立法、考試、監察のいわゆる「五権分立」のうち、監察を担当する政府の最高機関の一つです。政府内の地位では、監察院の副院長は、首行政院副院長(副首相に相当)と同等のレベルとなります。監察院の院長・副院長、それに監察委員は、総統が指名しますが、議会である立法院の承認が必要です。現在の監察院の任期は今年7月31日までで、新しい監察院は8月1日に発足することになるため、新しい人事が注目されていました。

こうした中で、監察院長に陳菊・前総統府秘書長、副院長に黄健庭氏を指名すると伝えられたことから、最大野党・国民党所属の黄健庭氏を副院長に指名することの是非をめぐって、大きな論議が巻き起こりました。

黄健庭氏は、辞退を発表するコメントの中で、「自分の潔白を守ることができなけば、監察院に入っても力を発揮できない」と語りました。黄氏は、「すでに蔡総統に対して、自分が抱えている訴訟について報告しており、関係者からは直接、口頭で問題がないと伝えられていた。しかし、当初、私の潔白を信じ、私を指名するよう推薦した人たちは、立ち上がって私を守ってくれようとせず、逆に同じ政党に属している人たちが私を侮辱するのに任せた。私は自分の名声を、何よりも大切にしている。私を利用して批判を避ける盾にしようとした人たちには、もうこれまでにしてほしい」と語りました。

黄健庭氏は、60歳、父親は台東県知事を務めたことがある政治家一家の出身です。国民大会代表、立法委員を務めたのち、2009年に台東県知事に当選し、2期8年間務めたのち、2018年に任期満了で退任しました。台東県知事に在任中、県民から高い満足度を獲得しています。ただ、立法委員時代の汚職事件で裁判を係争中で、また台東県知事時代には土地開発疑惑も起こしています。

これに対して、総統府はスポークスマンを通じて、「蔡英文・総統は、黄健庭氏の決定を尊重すると共に、黄氏が当初、社会の対立を解消するため、党派を超えて指名を受けてれたくれたことに感謝している」とのコメントを発表しました。また、新たな人選については、「蔡総統は各界の意見を十分に理解しており、そうした意見を参考にして、政策決定をより完璧なものにしたいと述べ」、改めて発表すると表明しました。ただし、最大野党・国民党が求めている政党間交渉については、立憲体制の慣習と体制に合わないとして、拒否する考えを示しました。また、黄健庭氏を利用して、反対の声が大きい陳菊氏の監察院長指名への批判をかわそうとしていると指摘されていることについては、そのようなことはまったくないと否定しました。

黄健庭氏の、監察院副院長指名に対して、黄氏の所属政党である国民党は、党紀違反でまず党員資格を停止し、その上で処分方法を決定する考えを示しました。また、国民党の党首である江啓臣・主席は、与野党の協力は、個人ではなく政党間協力の方式で進めるべきだと主張しました。しかし、黄健庭氏が指名を辞退したことから、国民党は黄健庭氏に対する処分を行わないことになりました。

一方、与党・民進党所属の立法委員の一部は、リストを立法委員に送る前に、きちんと民意を聞き、調整してほしいと、黄健庭氏の指名に反対する考えを示しました。また、民進党の林飛帆・副秘書長も、上層部はよく考えてほしいと語り、黄健庭氏を監察院副院長に指名することに同意できないことを表明しました。

こうした批判を受けて、総統府は19日に予定していた監察院の院長・副院長、委員の使命名簿の発表記者会見を取り消しました。新しい日程はこれまでのところ決まっていません。

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