旧暦三月は台湾で広く信仰されている航海の安全を守る女神、媽祖の誕生日。それを祝うため、台湾各地の媽祖廟(媽祖を祀る廟)は毎年旧暦3月が近づくと、相次いで媽祖巡礼を行う計画を立てる。媽祖巡礼とは、媽祖のご神体を乗せた神輿を信者が担いでいくつかの県と市を練り歩いて媽祖のご加護と無病息災を祈るくイベント。
その中でも台湾中部・台中市大甲にある媽祖廟「鎮瀾宮」の規模が最も大きく、八泊九日で往復距離が340キロメートルに達し、毎年信者と観光客を合わせて延べ100万人以上をひきつけている。しかし、新型コロナウイルスの感染が広がる中、市中感染などの大規模な感染を懸念して媽祖巡礼の中止を求める声が上がっている。
25日まで媽祖巡礼の開催を堅持していた大甲「鎮瀾宮」の顔清標・董事長は26日、台湾の新型コロナウイルス感染症対策本部の「中央感染状況指揮センター」の指揮官を兼務する、衛生福利部の陳時中・部長は、「媽祖様を心配させないで」との呼びかけを受けて、26日に重役会議を開いた結果、専門家の意見を尊重して今年の媽祖巡礼を延期する決定を明らかにした。
それに先立ち、台湾北西部の苗栗県通宵鎮にある白沙屯媽祖廟「拱天宮」がすでに媽祖巡礼の延期を発表した。台湾中部で最も代表的な媽祖廟二箇所とも媽祖巡礼の延期を発表したほか、台湾各地の媽祖廟も相次いで媽祖巡礼の中止と延期を発表した。
蔡英文・総統は27日、フェイスブックで大甲の「鎮瀾宮」などの廟が相次いで媽祖巡礼の中止、または延期を発表したことに対して感謝を述べた。蔡・総統は、伝統的な宗教行事と公衆衛生における防疫対策が、最新の感染状況を踏まえて折衝した結果だと指摘、これこそ台湾で最も美しい風景で、最も人心を安定させることの出来る力だと評価した。
蔡・総統は、フェイスブックに「宗教にかかわらず感染症拡大を防ぐために努力する多くの団体に感謝する。プレッシャーを抱えている宗教団体とすべての信者にも感謝したい。すべての国民のため、台湾のためを考えてこそが慈悲だと信じている」と書き、みなが共に国民全体の健康と平穏無事のために努力するよう呼びかけた。
(編集:王淑卿)