作品「流」で直木賞を受賞した台湾出身の作家、東山彰良さんの新作「罪の終わり」が中央公論文芸賞を受賞した。贈呈式は11日、東京都内のホテルで行われた。
中央公論新社主催の中央公論文芸賞は、2006年に、中央公論社が創業120週年を記念して創設した文学賞。8月に行われた選考会で東山さんの「罪の終わり」が今年の受賞作に選出され、11日、東京のホテルニューオータニで贈呈式と祝賀パーティーが行われた。
東山さんはあいさつの中で、「なぜ新作をこのテーマにしたかについて、当初は心のままに筆を進め、深く考えていなかったが、この作品のテーマは価値観の崩壊だ」と述べた。「罪の終わり」は、昨年発売された「ブラックライダー」の前編にあたり、北アメリカが舞台となっている。
東山さんは台湾のメディアに対し、「罪の終わり」の舞台設定は未来で、人類の文明が次第に滅亡していく中、ある少年が神格化していく過程を通じ、古い価値観と新たな価値観との間のせめぎ合いを描いた、と説明した。
東山さんは受賞を知らされた時の感想について、審査の過程では全く連絡はなく、編集者から電話をもらって初めて知ったといい、とても意外だったと話した。なお、この作品が標準中国語に翻訳されるかについては、未定だという。
東山さんは来年5月に出版予定の次回作について、1984年の台湾と現在のアメリカを舞台にした作品だと明らかにした。東山さんによると、戦争やアイデンティティーの問題はテーマではなく、自分が育った時代をテーマにした、娯楽小説になるという。
なお、「流」の映画化についてオファーがあったかと問われた東山さんは、「まだ分らない」と前置きをした上で、仮にそういう話しがあった場合、台湾の映画監督に撮ってもらいたいと希望した。