中華民国籍の作家が日本の直木賞を受賞した。第153回直木賞の受賞作品が16日夜に発表され、中華民国国籍で日本在住の作家、王震緒さん(ペンネーム:東山彰良)の作品『流』が直木賞を受賞した。
日本の福岡県に住む王さんは、受賞が発表される前、中央通信社(中華民国の国家通信社)の取材に対し、直木賞の候補作に選ばれて光栄だとし、『流』の内容や売り上げについても満足していると話した。
同作品は17歳の少年、葉秋来を通して描かれる、祖父と父の物語。第1章の「偉大なる総統と祖父の死」では、1975年に祖父が殺害されたことを受け、葉秋来が犯人探しを始めるというもので、ストーリーは国共内戦にまで言及している。
王震緒さんは、『流』の内容の大半は事実であり、父親から聞いた祖父の話を基に小説を書こうと思ったと話している。構想を練る中で、父親を小説の主人公にすることを決めると、筆が進んだという。
王震緒さんは5歳の時に両親と日本に渡り、父親の仕事の関係で台湾と日本を往復する生活の後、9歳の時に日本に移り住んだ。
ペンネームの姓、「東山」は先祖のルーツである中国大陸・山東省から取ったもの。名前の「彰良」の「彰」は、母親のふるさとである台湾中部・彰化県にちなんだもので、彰化県で祖母と過ごしたことから付けたとしている。
王さんは、かつて自分は中国人か、台湾人か、日本人かと問われたことがある他、一部の中国人には「中国人に立ち戻れ」と求められ、自分のアイデンティティに混乱したことがあると認めた上で、今では最も確実な帰属意識は家族にあると述べた。
王さんは、2009年に発表した推理小説『路傍』で第11回大藪晴彦賞を受賞。また、日本の漫画『NARUTO-ナルト-』の2011年の劇場版、『ブラッド・プリズン』で脚本を担当、本来のテーマである親子の情と友情にいっそう重きを置いたストーリーが評判を呼んだ。
なお、台湾出身の作家で直木賞を受賞したのは、1955年の邱永漢氏(受賞作:香港)、1968年の陳舜臣(受賞作:青玉獅子香炉)に続いて3人目。