今年で78回目となる、世界保健機関(WHO)の最高意思決定機関「世界保健総会(WHA)」が5月19日からスイスのジュネーブで開催されています。台湾は招待状を受け取っていないため正式な参加はできていないものの、政府および民間団体は引き続き会場周辺で国際フォーラムを開催し、国際社会との交流を深めています。
元副総統の陳建仁氏は、アメリカのニューヨークに拠点を置く台湾の非政府組織「世台聯合基金会(STUF)」主催のフォーラムに登壇し、台湾の全民健康保険制度を世界に向け紹介、参加者から大きな反響を得ました。陳・元副総統は様々な質問に対して率直に回答。また、台湾の経験から分かるように、「強い力を持った市民社会こそが、台湾の健康保険制度を生み出し、より良いものにしてきた重要な鍵の一つである」と強調しました。
同フォーラムは、『ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage、UHC)の再構築』と題され、「世台聯合基金会」とアメリカの「全世界健康理事会(Global Health Council, GHC)」が共同で開催したもので、世界各地の保健制度について議論が交わされました。基調講演には、ヨーロッパ出身で、長年台湾南部・高雄市の文藻外国語大学で教鞭をとってきたヴィンセント・ロレット(Vincent Rollet)教授が登壇。ロレット教授は、ヨーロッパ連合(EU)加盟国における全国民の健康保険制度の実状について紹介し、加盟国間の医療制度には大きな格差があると指摘。例えば、マルタ、ポルトガル、ブルガリアなどでは患者の自己負担額が非常に高くなる一方、スウェーデンやアイルランドではそのような問題に直面する世帯は全体の2%未満に留まっているということです。
さらにロレット教授は、ヨーロッパ全体では依然として1,100万人が必要な医療サービスをタイムリーに受けられておらず、調査によれば、エストニアでは人口の13%、ギリシャでは11%、フィンランドでは7%が、必要なときに医療資源へアクセスできていない状況にあると指摘。医療費の負担額、医療機関との距離、診療までの待機時間が、医療資源へのアクセスを妨げる主な要因であると述べました。
これに対し、陳建仁・元副総統は、「台湾が全民健康保険制度を導入してから30年を迎え、現在では人口に対するカバー率が99.9%に達している」と述べ、この台湾の経験に多くの参加者が深い感銘を受けました。
その中で、発展途上国の人々の健康改善に取り組む非営利組織「国際公務労連(Population Services International、PSI)」の幹部であるサラ・オンヤンゴ(Sarah Onyango)氏は、台湾の経験はアフリカ諸国にとって大いに参考になると称賛。オンヤンゴ氏は、「私たちのように多くの国々では、個人や地域社会が医療費を自己負担しなければならず、その結果、多くの人々が極度の貧困に陥っている。そのため、さまざまな所得層の人々を全てカバーしている全民健康保険制度をどのように構築したのかといった台湾の経験を聞くことができて非常に嬉しく思う。このような経験は、非常に実用的かつ現実的なモデルであり、私たちアフリカ諸国は、台湾から多くのことを学ぶことができる」と語りました。
(編集:豊田楓蓮/王淑卿/本村大資)