立法院(国会)外交及び国防委員会は15日、国家安全局、海洋委員会、台湾の対中国大陸政策を担う大陸委員会、法務部調査局などの関係機関を招き、「中国の複合的脅威が台湾の国家安全保障に及ぼす影響」に関する報告と質疑応答を行いました。
国家安全局の報告によりますと、2025年1月から4月まで、中国軍機延べ1200機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入、前年同期の約4倍に達しました。また、2月下旬には事前の通告なしに台湾南西沖に射撃訓練の演習エリアを設け、新たな手法を用いて嫌がらせを行っていたということです。
さらに、中国が台湾の基層社会に対する統一戦線工作を強化しており、特に台湾の若者を対象に各種の「レッド文化活動」への訪問を促すことで、「文化的一つの中国」への共感を醸成しようとしていると指摘。加えて、台湾の国民に対して中国旅行を勧め、居住証の申請を促すなどして、国民のアイデンティティを曖昧にしようとする動きも見られるということです。
国家安全局の黄明昭・副局長は、「中国は複合的な手段を用いて恫喝効果を狙うのみならず、台湾の内部結束の意志を弱体化させようとしている」と述べました。
黄・副局長はさらに、「国家安全局は国家安全情報チームと連携し、関係機関との協力体制を強化するとともに、価値観を共有する国際パートナーと戦略的な意思疎通を保ち、中共の脅威の様態の変化を把握しながら、それに対応する資源と能力を拡充し、国家のセーフティネットワークの強化に努める」と述べました。
一方、法務部調査局の報告では、中国が「ナショナリズムの再構築」を推進し、両岸の宗教信仰、伝統行事、血縁などの共通点を用いて、離散した感情を結び付け、「共同体」意識を構築しようとしていると分析しています。また、歴史観の歪曲や信念の混乱を招く手法として、「黄埔士官軍校創立100周年」や「第二次世界大戦勝利80周年」といった歴史的出来事を利用し、「台湾は中国に回帰すべき」との主張を展開。中国が両岸人民を率いて「レッド抗戦」を行うというイメージを形成し、台湾の国民の抵抗意志を削ごうとしているという。
大陸委員会も、中国が引き続き「融合促進策」を次々に打ち出し、芸能人やインフルエンサー、中国出身の配偶者らを動員して、「祖国統一」や「武力による統一」といった言説を広めていると警告。また、中国経済の明るい未来を強調する「中国経済光明論」や「アメリカに対する不信を意味する疑米論」の宣伝も、台湾企業関係者(台商)との座談会を通じて活発化していると述べました。
これに対し台湾側は、「平和のための4大アクションプラン」および「国家の安全保障に対する統一戦線の脅威などへの17項目の対策」を引き続き推進し、国家の安全保障関連の法制度を強化するとともに、社会全体の防衛強靭性の向上を図るとしています。
(編集:呂学臨/王淑卿/本村大資)