米フェイスブックの元社員であるサラ・ウィンウィリアムズ(Sarah Wynn-Williams)氏は、4月9日にアメリカ議会の公聴会で証言し、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズの創業者マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)がフェイスブックの監視ソフトウエアを含む人工知能(AI)ツールを自ら設計・導入していたことを明らかにしました。
このツールは、投稿の閲覧数が1万回を超えると、自動的に「チーフ・エディター」による審査に送られる仕組みで、過去に香港と台湾でも使用されたことがあると述べました。また、中国共産党の官僚がこのツールをテストし「最適化」の提案も行っていたということです。
これはウィンウィリアムズ氏がアメリカ上院司法委員会の「犯罪およびテロ対策小委員会」の公聴会に出席して発言したものです。
アメリカ議会は2018年にザッカーバーグ氏に対し、中国政府による検閲や監視の要求に協力するか、中国市場進出のために検閲ツールを開発したかどうかについて確認すると、ザッカーバーグ氏は当時、フェイスブックは2009年以降、中国でブロックされているため、中国政府が我々のコンテンツにどのように法律を適用するかは明確には分からないと回答していました。
しかしウィンウィリアムズ氏は、この2018年の答弁が事実と異なると指摘。2018年の時点でフェイスブックと中国共産党との直接的な対話が4年間続いていたと明かしました。また、フェイスブックが開発した検閲ツールについて、中国当局から「この部分を修正すべきだ」「この機能を加える必要がある」「我々が見せたくない画像を確実にブロックできるように」といった具体的な提案があったことも証言しました。
「チーフ・エディター」による審査の対象については、中国、香港、台湾のユーザーによる投稿が含まれていたと、ウィンウィリアムズ氏は説明。さらに、この「チーフ・エディター」は人気投稿だけでなく、新疆ウイグル自治区のような特定地域においてフェイスブックのサービス全体を停止する権限も持っており、天安門事件の記念日などの敏感な日において、サービス内容の調整や停止も可能だったと述べました。
この検閲ツールがザッカーバーグ氏とメタによって直接設計、実施されたのかと問われた際にウィンウィリアムズ氏は「はい」と答弁したということです。
またウィンウィリアムズ氏は、メタは以前中国にデータセンターを建設することを検討しており、このデータセンターがアメリカ国民の個人情報の安全を脅かす可能性があったと指摘。データセンターが中国国内に建設されれば、中国共産党が関連データにアクセス可能になると述べました。ウィンウィリアムズ氏は2025年3月に回顧録「ケアレス・ピープル」(原題:Careless People: A Cautionary Tale of Power, Greed and Lost Idealism) を出版しており、その著書で2011年から2017年にかけてのフェイスブックでの社員時代を振り返っており、本書はベストセーラーとなっています。
公聴会の後、共和党のジョシュ・ホーリー(Josh Hawley)上院議員は、メタが議会にて虚偽の証言をした可能性について、さらなる調査を行う意向を示しました。またホーリー議員はウィンウィリアムズ氏が提供した内部資料の精査も進めると述べ、「司法省に本件を移送する可能性もある。これは氷山の一角に過ぎない。我々にはまだ多くのことを解明する必要がある」と語りました。
一方で、メタの広報担当アンディ・ストーン氏はAFP通信に対し、ウィンウィリアムズ氏の証言は現実と乖離しており、虚偽の主張に満ちていると反論。ザッカーバーグ氏が中国でのサービス提供に関心を持っていたことは事実であり、その詳細も十年以上前から広く報道されているが、現在、フェイスブックは中国において、いかなるサービスの提供も行っていないと述べました。
(編集:岩口敬子/本村大資)