アメリカの相互関税の適用が一部90日間停止になり、その期間中は5日に発動された10%の一律関税が引き続き適用されることを受け、行政院(内閣)の卓栄泰・院長(首相)は10日、閣議において、この90日間を活用し、アメリカと直接かつ効果的な対話を行い、台湾の最大利益を図る方針を示しました。先日発表した『9つの方向性、20項目の措置、総額880億台湾元(約3876億円)』の産業支援策については、変更しない方針だということです。
アメリカは当初、台湾の製品に対し32%の関税を課す方針を示していましたが、トランプ大統領は台湾時間の10日未明、相互関税の発動を90日間停止し、その間は10%の関税率とすることを再度発表しました。
卓・院長は、アメリカの税率調整について、「10%という数字は政府のこれまでの試算範囲内にある」としたうえで、アメリカとの効果的な対話を進める意向を表明しました。
行政院の李慧芝・報道官は閣議後の記者会見で、「向こう90日間、政府は時間と機会を最大限活用し、アメリカと直接かつ効果的な交渉を進め、国家の最大利益を守ると同時に、産業の国際競争力を維持する」と述べました。
李・報道官はまた、世界の経済・貿易の情勢が大きく変化する中、頼清徳・総統がすでに「五大戦略」を打ち出していることに言及。「今後は台湾産業のグローバルでの多元展開を強化し、『台湾に立脚し、世界に進出する』ことを基本方針として、アメリカとの関係強化やグローバルマーケティング戦略を進めていく」と語りました。
卓・院長は「これらの対策は基本的に変更せず、関係する省庁に対しては速やかに法制度および予算措置を進めるよう指示した」と説明。関連する申請方法は4月14日に発表する予定です。
アメリカの相互関税について、行政院は産業界との意見交換を進めているほか、卓・院長は10日午後、北部・桃園を訪れ、地元の企業の意見に耳を傾けました。卓・院長は「問題には随時対応し、国家経済と産業の安定成長を図り、国民が安心して暮らせるようにする」と強調しました。
また、アメリカが中国に対する関税を125%に引き上げたことについて、卓・院長は多くの台湾企業が依然として中国に投資しているとし、関係省庁に対し、これら企業のニーズを把握し、必要に応じて支援を提供することを、財政部(財務省)に対しては、新型コロナウイルス流行時と同様に、5月の所得税の確定申告期限の延長を検討するよう指示しました 。
卓院長は、「経済の安全は国家の安全だ」と述べ、各国とのバランスの取れた安定的な貿易関係を維持することは、台湾が国際的な産業サプライチェーンの中で確固たる地位を築くうえで極めて重要だと強調しました。
また、経済部(日本の経産省に相当)の郭智輝・部長(大臣)は10日、立法院(国会)経済委員会で、アメリカが70数か国と相互関税政策について交渉する時間を確保したいと推測、その上で、台米関係は非常に良好であり、技術面でも相互補完関係にあることから、交渉は比較的進めやすいだろうと述べました。
郭・部長は、台湾が早い段階から交渉に前向きな姿勢を示してきたことも強調し、「台湾は第一段階の交渉対象国リストに入る可能性が高い」との見解を示しました。また、リスト入りの時期にかかわらず、政府としてはすでに複数の状況を想定してシミュレーションを行ったと述べました。
郭・部長は、「我々は第一段階の交渉グループに入ると見ている。交渉が30日以内に始まるのか、60日か、あるいは90日かはアメリカの判断次第だが、台湾としては第一段階でどう対応するか、第二段階はどうするか、すべて想定している」と語りました。
また、郭・部長は、相互関税が90日間停止になったことを受け、政府は対策を再検討し、それに応じた交渉戦略も準備していると述べました。産業を守るという政府の基本姿勢は変わらず、支援措置については一部見直しを行い、14日に正式に発表する予定だと明らかにしました。
(編集:呂学臨/王淑卿/本村大資)