著書『半導体戦争』で世界的に知られる国際歴史学者、クリス・ミラー(Chris Miller)氏は25日、台湾で開催されたフォーラムに出席し、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)がアメリカでの投資を1,000億米ドル(約15兆日本円)追加すると発表したことについて、「並外れた成功(an extraordinary success)であり、台湾積体電路製造(TSMC)とアメリカの関係安定に寄与する」との見解を示しました。
『半導体戦争』の出版2周年を記念し、台湾北部の台北市で国家科学委員会が設立した「科技・民主・社会研究センター(DSET)」主催のフォーラムが開催されました。今回のフォーラムでは「トランプ2.0時代の台湾の国家安全保障と世界半導体産業」をテーマに、ミラー氏が登壇しました。
台湾積体電路製造(TSMC)が1,000億米ドル(約15兆日本円)の追加投資を発表したことについて、「アメリカ政府の台湾積体電路製造(TSMC)市場の独占に対する懸念を和らげる効果があるか」との質問が寄せられました。これに対し、ミラー氏は「TSMCがアリゾナ州での投資を拡大することは、台湾でも多く議論されている」とし、「台湾積体電路製造(TSMC)の魏哲家(C.C. Wei、シーシー・ウェイ)・董事長兼CEOとトランプ大統領が共同記者会見を開いた様子を見る限り、この投資は『並外れた成功』ともいえる」と述べました。
さらに、ミラー氏は「この投資を通じて、台湾積体電路製造(TSMC)はアメリカの新政権と緊密なパートナーシップを築くことになる」と指摘。トランプ氏が記者会見で台湾積体電路製造(TSMC)を高く評価し、TSMCの技術力やアメリカの人工知能(AI)供給網における中核的な役割を称賛したことにも言及しました。そして「これはTSMCにとっての成功であるだけでなく、台米関係にとっても大きな成果であり、この投資はTSMCとアメリカの関係を安定させる上で確かに役立つ」と強調しました。
また、ミラー氏は「アメリカと台湾の半導体分野での協力は極めて重要である」と述べた上で、「トランプ氏が2期目において対中関税を引き上げることは、すでに貿易依存度の高い台湾を含む国々に影響を及ぼしている」と指摘。半導体産業の政治化やサプライチェーンの変化は、アメリカと台湾を含め、関連国家にとって今後の課題となるとの見解を示しました。
(編集:呂学臨/王淑卿/本村大資)