頼清徳・総統が国家安全保障ハイレベル会議にて、軍事裁判(軍法会議)制度を復活させると表明したことについて、行政院(内閣)の卓栄泰・院長(首相)は14日、立法院(国会)で取材に応じ、軍事裁判制度は現役の軍人が軍事犯罪を犯した場合にのみ適用されるものであり、過去の全面的な軍事裁判制度とは異なると強調しました。
頼・総統は13日、国家安全保障ハイレベル会議にて現在の両岸関係における5大脅威に対し、17の戦略を提案。その中に、軍事裁判制度の復活を含む法改正が含まれました。
卓・院長は、域外の敵対勢力が自由や民主主義を損なおうとする際、総統が国家の安全を守るために必要な措置を講じるのは当然であると述べ、次のように強調しました。
卓・院長は、軍事裁判の対象は厳格に制限されており、反乱や敵勢力への協力、機密漏えい、職務怠慢、命令違反などの軍事犯罪に関与した現役軍人のみが対象となる。過去のように全ての軍人に適用される全面的な軍事裁判制度とは根本的に異なると説明しました。
一部の野党・立法委員(国会議員)は、軍事裁判制度の復活は準戦時体制に突入するようなものだと批判しています。これに対し卓・院長は、軍事裁判制度に関する法改正や関連組織の整備は、民主主義の時代において法に基づき段階的に進めるとし、適切な手続きを経て整備を進める考えを示しています。また、政府として国家の安全保障のための制度確立できるよう、各省庁に対し、総統の指示に基づき期限内に作業を完了するよう求めています。
国防部(防衛省)の顧立雄・部長(大臣)は14日、立法院で取材を受けた際、軍事裁判制度の復活に対する自身の立場について説明しました。かつて顧・部長は2013年に起きた訓練中の兵士が部隊で死亡した事件の弁護士を務め、当時は軍事裁判制度に反対し異議を唱えていました。しかし今回の法改正について問われると、当初の信念は変わっていないとし、軍事裁判制度を「復活」させるのではなく、「全く新しい制度を構築すること」が目的であると強調しました。
また、かつて国防部長を務めた国軍退除役官兵輔導委員会(略称:退輔会)の主任委員も同日取材を受け、軍事裁判制度の復活を個人的に支持すると表明。国家安全保障、軍の規律強化、部隊管理の向上において、軍事裁判制度が積極的な役割を果たすとの考えを示しています。
台湾で軍事裁判制度は、2013年に訓練中の下士官が死亡する事件にて上官から虐待を受けた疑いが浮上し、社会に大きな波紋を呼びました。この事件を契機に軍事裁判制度が改正となり、平時における軍人の裁判は運用されず、一般の裁判所で行われるようになっています。
(編集:岩口敬子/中野理絵/本村大資)