先ごろ、主に中国政治や台湾の国際関係を扱う台湾のユーチューバーが、自身の動画内で、詐欺犯罪を行っているとみられる「林金城」という人物が話した内容として、台湾では10数万人の人が中国の「身分証」を持っている、と指摘しました。
これに対し、台湾の対中国政策を担う大陸委員会(陸委会)は2日、過去10年、中国の「身分証」を手にしたことにより、台湾での身分を抹消された台湾人は679名だと説明しました。その上で、大陸委員会の邱垂正・主任委員は、仮に証拠があった場合には、厳しく調査した上で処置する、と述べました。
大陸委員会の邱・主任委員はまた、中国が台湾人を呼び込もうとする三種類の証明書は、それぞれ「居住証」、「定住(定居)証」そして「身分証」だと説明、このうち「居住証」は2018年から交付がスタートし、現地での生活の利便性を高めるものであるが、この「居住証」は、「身分証」ではなく、仮に台湾人が「居住証」を取得しても、台湾の身分が抹消されることはない、と述べました。
一方、「定住証」については、「身分証」取得の6ヶ月前に受け取る証明書であり、「身分証」をまもなく受け取る準備段階といえるとして、その為、台湾人が、もし「定住証」を取得し、かつ中華民国政府がこれを知った場合、政府はこの人物に説明を求め、慎重に考えるよう勧めることになると、注意を促しました。
しかし、中華民国政府がいかにして取得を知り得るのかについて、邱・主任委員は、「台湾に来て様々な申請をする可能性がある為、台湾で申請する書式を通じて、既に『定住証』を取得していることが伺える」とのみ答えました。
邱・主任委員はさらに、中華民国政府は、この「定住証」について積極的に調査、処置を行うとして、国民に向け、くれぐれも申請、取得しないよう呼びかけました。
邱・主任委員はまた、中国の「居住証」、「定住証」、「身分証」は、台湾の人々を公民とする、中国による一種の誘引手段であると指摘、様々な策略を組み合わせることで、台湾海峡両岸の人々の身分や、戸籍によって区別された現状を変えようとし、さらには、国際法あるいは国内法のレベルで、台湾への管轄権行使という、うわべの現象をつくろうと意図したものであるとして、国民に向け、慎重に対処するよう呼びかけました。
なお、与党の民進党も、中国は台湾に向け、カード式の「台湾居民来往大陸通行証」、通称「台胞証」を発行したり、離島の連江県・馬祖の住民が、対岸の中国福州市で各種の優待を受けられるカードを発行しているが、いずれも、統一戦線工作を小さな恩恵というオブラートに包んだもので、台湾人を中国人にさせようとする目的によるものだとして、「タダよりも高いものはない」と警告しました。そして、一旦、個人情報を提出してしまったら、身の安全に大きなリスクをともなうだけでなく、将来的に台湾侵攻の口実となってしまう恐れもあるとして、国民に対し、統一戦線工作の罠にかからぬよう、注意を呼びかけました。
(編集:駒田英/中野理絵/本村大資)