中国で流行が確認されている感染症「ヒトメタニューモウイルス(hMPV)」と日本で流行している「伝染性紅斑(リンゴ病)」、そして「マイコプラズマ肺炎」の感染が拡大しています。台湾北部・国立台湾大学医学部付設病院小児感染科の主治医である黄立民・医師はこのことについて、「これらの感染症は、『免疫負債』が原因である」と分析。「免疫負債」とは、新型コロナウイルス感染症などの流行により、人々がお互いを避けるために接触が制限され、通常は身につけるはずの様々なウイルスに対する免疫を獲得できない状態を指します。
黄・医師はまた、「これらの感染症はワクチンがないため、マスクの着用と手洗いの励行という予防策に頼るしかない」と指摘しています。
中国における国立感染症対策センターである「中国疾病予防管理センター(英語略称:CCDC)は先ごろ、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症と似た症状を示す「ヒトメタニューモウイルス」の感染者数について、「中国では冬の初めから特に14歳以下の感染者数が著しく増加しており、北部地区で感染者数が多い」として警戒を呼び掛けています。
また、日本で通称「リンゴ病」と呼ばれる「伝染性紅斑」と「歩く肺炎」と呼ばれる「マイコプラズマ肺炎」の患者数も、過去10年の同じ時期の最高を記録しました。
黄・医師は、「これらのウイルスはいずれも呼吸器系ウイルスであり、そのうち『ヒトメタニューモウイルス(hMPV)』はRSウイルスより引き起こされる呼吸器感染症『RSウイルス感染症』と似ており風邪の原因ともなる。また、他のウイルスに比べてウイルスが気管・気管支・細気管支・肺胞から構成されている気道の下部に移行しやすく、肺炎を引き起こす確率が高い。そのため、パンデミックが発生した場合、抵抗力の弱い人に感染すると肺炎の発症者が増加し、感染状況がより深刻になる可能性もある 」
ヒトメタニューモウイルスは現在、有効なワクチンや抗ウイルス薬はありません。黄・医師は、「リスクが高いのは、幼児、高齢者、免疫力の低下した人、糖尿病、腎臓病、肝臓病などの慢性疾患を持つ人である。 感染したら、『酸素吸入』と機器を使って呼吸の補助を行う『呼吸療法』で治療するしかない。重症化した場合は運に頼るしかない」と指摘。また、日本の「伝染性紅斑」と「マイコプラズマ肺炎」の流行について黄・医師は、「中国での『ヒトメタニューモウイルス』と同様、『新型コロナウイルス』流行後に起こった『免疫負債』が原因だ」と分析しています。
黄・医師はさらに、「台湾では『マイコプラズマ肺炎』の流行が始まってから半年経過しており、最近では流行が収まりつつある。この事は免疫の負債が『ほぼ返済された』ことを示している。しかし『伝染性紅斑』については台湾では未だこの負債を返済できていないため、感染例が増加しているかどうか注意を払う必要がある。ほぼ全ての年齢で感染する可能性があるが、小学生や幼稚園児の感染者が最も多い。妊婦が感染すると流産や死産、胎児の異常を引き起こす恐れがある」と指摘しています。
また、衛生福利部疾病管制署(台湾CDC)の曾淑慧・報道官は、「これらの感染症はいずれも呼吸器系ウイルスである。 最近では『伝染性紅斑』の感染者が時々確認されているものの、増加は確認されていない。疾病管制署は今後も呼吸器系感染症の発生状況の変化を注視し、変化が確認された場合には国民に報告する」と述べた上で、最近は寒さにより、様々な種類の病原体がより活発に活動している可能性があるため、市民に対し、マスクの着用、手洗いの励行、呼吸用保護具の着用などの対策をしっかり行うよう呼びかけています。
(編集:豊田楓蓮/王淑卿/本村大資)