台湾の女性小説家、楊双子さんの小説『臺灣漫遊錄』が、今年5月、日本語版が日本翻訳大賞を受賞したのに続き、21日、アメリカで最も権威ある文学賞の一つ「全米図書賞」の翻訳文学部門で受賞を果たしました。台湾の文学作品が同賞を受賞するのはこれが初めてです。
『臺灣漫遊錄』は日本統治時代、異なる文化背景のもとで育った日本と台湾の女性が、ひょんなことから台湾縦貫鉄道に乗って美食の旅に出るというストーリーです。アメリカ・ワシントンの独立系ブックレビューは同作について「本書は、美食家たちがご馳走を味わうストーリーであるだけでなく、女性2人による忘れがたい心の旅でもある」と評価しています。
楊双子さんは、双子の姉妹、楊若慈さんと楊若暉さんの共同ペンネームです。姉の楊若慈さんが主に創作にあたり、妹の楊若暉さんが主に時代考証と日本語翻訳を担当、小説『花開少女華麗島』、『花開時節』のほか、数々のエッセイや漫画の原作の作品を出版、これまで台湾出版界でもっとも権威ある金鼎獎(Golden Tripod Awards)のほか、漫画作品に対する最高栄誉、金漫獎(Golden Comic Awards)やOpenbook年間華語創作賞などを受賞してきました。
日本語訳『台湾漫遊鉄道のふたり』は、今年5月、台湾の文学作品として初めて第10回日本翻訳大賞を受賞しました。
そして、楊双子さんは表彰式のスピーチで「私に、なぜ百年前の事柄を書くのかと聞いてくる人がいる。私は常に『過去について書くのは、未来に向かって歩んでいくためだ』と答える。百年前、一部の台湾人は『台湾は台湾人の台湾だ』と主張した。百年後、今日の台湾人もこの言葉を語る。しかし、我々が訴えかける相手は異なる。百年前、我々は日本人に向けこのように語り、百年後の今日、我々は中国人に向けてこう語る。この百年で変わらない事は、我々の周辺には常に、強大かつ巨大で侵略の意図をもつ国家が存在し続けているということだ。同時に、台湾人自らの国家やエスニック・グループについてのアイデンティティも大きく異なる。現在も一部の人は自らを中国人と考えるが、それは百年前、一部の台湾人が自らを日本人と考えていたことに似ている。私が小説を書くのは、台湾は一体何人であるかについて回答する為だ。そして、過去について書き続けるのは、より良い未来を迎えたいと願うからだ」と述べました。
(編集:駒田英/中野理絵/本村大資)