台湾に対する中国の脅威の増大に直面する中、国防部(防衛省)のシンクタンク「財団法人国防安全研究院」は9日、最新の民間調査結果を発表。回答者のおよそ67%が中国が台湾に武力侵攻してきた場合に台湾のために戦う意思があると答えたました。戦う意思がないはおよそ23%に留まりました。また、この件と密接に関係する問題として、アメリカが支援を行うかどうかについて、7割を超える回答者が、アメリカは「間接的に」台湾をサポートしてくれるとしました。しかし、アメリカが直接兵力を派遣して防衛を支援することに賛成する割合は低く、また、アメリカ海軍が台湾を支援して中国の封鎖を突破すると考えている割合は40%未満にとどまりました。
この調査では、回答者の63.9%が「中国の領土的野心は深刻な脅威である」と考えており、この脅威は重要ではないと考えている回答者は10%未満でした。そして、回答者の61%が中国共産党の人民解放軍が5年以内に台湾を攻撃する可能性は低い、または非常に低いと考えていますが、25%近くは5年以内に攻撃する可能性があると考えているということです。
国防安全研究院の方琮嬿・研究員は、これらの回答から、台湾の人々は脅威を感じていると同時に、戦争が迫っていることを予想しているが、一定の冷静さと理性を保っていることを表していると指摘しました。
もし、中国共産党が台湾に武力侵攻してきた場合について、回答者の67.8%が台湾防衛のために戦うことに多少なりとも意欲がある、または非常に意欲があると回答。それほど意欲がないは23.6%でした。これに関連する国防問題について、回答者の47.5%が国軍の防衛能力に自信があると回答。しかし、自信がないと回答した割合の方が47.9%とやや多くなっています。
この他、回答者の49%が国防予算の増加に賛成していますが、44%近くが反対でした。
国立政治大学選挙研究センターの陳陸輝・研究員は、この結果から社会が国防予算の増額について、現在のところまだコンセンサスが取れていないことがわかると述べました。
外交問題に関しては、今回の調査では、「もしロシアがウクライナとの戦いで勝利した場合、『中国はロシアに倣って台湾に侵攻する』と思いますか?」という興味深い質問があり、可能性が高いと答えた人は38%、可能性は低いと答えた人は51%でした。
国立台北大学公共行政および政策学部の劉嘉薇・教授は、これは多くの台湾の人々が将来、ロシアとウクライナの戦争の結果と台湾海峡を結び付けて考えていないことの表れだと分析しました。
また、回答者の7割以上が台湾と日本の関係、そして6割以上が台湾とアメリカの関係が、台湾の国家安全保障の強化に役立つと考えていることも指摘。さらには、中国共産党が台湾を攻撃した際の「駆け付け支援」についての質問では、回答者の7割以上が、アメリカは空輸による食糧輸送、中国への経済および外交制裁、台湾に対する武器提供などの措置を申し出ると考えているということです。
しかし、アメリカが「軍を台湾に派遣し防衛の支援をする」と考えている人は52.6%、また、中国が台湾に課している封鎖を突破するためにアメリカが海軍を利用すると考えている人はさらに少なく39.6%でした。
国防安全研究院の李冠成・研究員は、多くの人々がアメリカは間接的に台湾を支援してくれると信じているが、アメリカが直接軍事介入する可能性については疑問を持っていることが読み取れると語りました。
さらにより注目すべきは、アメリカ軍が台湾防衛に協力すると考えている回答者のうち、支持政党が与党・民進党の人は76%、野党・国民党の人はわずかに36%と、その差は歴然としています。
国防安全研究院の李文忠・執行長は、人々は、アメリカ軍の直接参戦については不信感を抱いている。現在、「戦略的明確化」を目指しているにも関わらず、アメリカの「戦略的曖昧さ」という姿勢が主な要因である。このほか、調査結果全体から、国内の「党派」の違いがこれらの問題に対する回答者の態度に大きな影響を与えていることがわかる。このようなことから、台湾は2つのコンセンサスを築く必要がある。一つは、全体主義的独裁政権に対抗する民主主義と自由。2つ目は、敵は中国共産党政権であり、中国人でも中国文化でもないということだと述べました。
また、国防安全研究院は5つの政策提案を発表。
国防態勢を強化し、国民全体の信頼を高める。非従来的な安全保障上の脅威への対応の強化。社会のコンセンサスを推進し、党派のくい違いを解決。国際協力を深化させ、外交の範囲を拡大する。そして、同盟国に対する国民の意識と信頼を強化することとしています。
今回の調査は台湾に住む18歳以上の人々を対象に今年(2024年)9月11日から9月16日までの日程で国立政治大学選挙研究センターで行われました。回答者は、市内電話サンプルが851件、携帯電話サンプルが363件の合計1,214件。信頼水準は95%で、最大ランダムサンプリング誤差はプラスマイナス2.81%ということです。
(編集:中野理絵/許芳瑋/本村大資)