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馬場克樹の「とっても台湾」-2022-09-11_甜不辣、黒輪、関東煮

  • 11 September, 2022
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馬場克樹の「とっても台湾」(爸爸桑的「非常台灣」)

<第1セクション:「甜不辣」の衝撃>

自分は初めての土地では必ず市場に足を運ぶ。市場はその土地の生活の息づかいを直接五感で感じ取ることができる格好の場所だからだ。2000年に初めて台湾の土を踏んだ時にも地元の市場へと向かった。ねっとりとした亜熱帯の空気。売り買いの声。見慣れない南国の果物や魚たち。中華系の香辛料や臭豆腐の匂い。どれもが新鮮。ある屋台の看板に眼が止まった。そこには「甜不辣」という三文字。中国語で「甜」は「甘い」、「不辣」は「辛くない」ことを意味する。つまり、「甘くて辛くない」何かが売られていると思った。屋台を覗き込むと、練り物のような料理が。後でわかったことだが、甜不辣を台湾語で発音すると「てんぷらー」となる。これは関西でいう「てんぷら」、すなわち薩摩揚げのことで、「甜不辣」という文字は、その音を当てたものだった。

<第2セクション:「Q」は台湾食文化のキーワード>

台湾の皆さんの食べ物に関する会話を聴いていると、「きゅー」という言葉が良く耳に入ってくる。この言葉を文字に表すと漢字ではなく「Q」というアルファベットを当てることになる。台湾初心者の当時の自分にとっては、謎の言葉だった。実はこの「Q」はモチモチする食感を表す台湾語で、台湾の食文化を語る上での極めて大事なキーワードである。台湾ではこの「Q」な食感が広く好まれている。たとえば、台湾の国民的飲料である、タピオカミルクティーのタピオカがその代表選手だ。日本人観光客がよく訪れる九份の名物「芋圓(タロイモの団子)」も、彰化の名物「肉圓(肉の餡を米のでんぷんで包み揚げたもの)」も「Q」な食べ物。恐らく、てんぷらもモチモチ感たっぷりであることがこの土地では求められ、現在の形へと変化を遂げたのではなかろうか。

<第3セクション:食文化の混成が生み出すその土地の新たなソウルフード>

「てんぷら」という言葉は、16世紀にキリスト教の布教のため日本を訪れたポルトガル人宣教師がもたらした揚げ物に由来することは知られている。ポルトガルで生まれ、日本で育まれた食べ物が、台湾という土地と出会った時、新たな食文化の混成が生まれ、現地化し、この土地のソウルフードの一つとなった。インドや中国に生まれ、日本の国民食と進化したカレーライスやラーメンも同じような経緯を辿っている。日本の洋食のオムライスも、沖縄のタコライスも欧米の料理とは一線を画して発展した。寿司も、元をたどればタイやミャンマーの山間部、中国の雲南地方の「熟鮓(なれずし)」まで行き着く。食文化の混成のプロセスには、実に多くの発見や示唆があって興味は尽きない。


今月の歌:『蝶の河』八得力樂團

 

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