突然ですが、皆さんは“野菜”お好きですか?
亜熱帯と熱帯エリアが存在し日本より暖かく、また、台風などの影響で降水量も多い台湾は各地で様々な野菜が採れますが、その中でも台湾で最も栽培面積の多い葉物野菜は何かご存じでしょうか?答えは「キャベツ」です。キャベツといえば暑さに弱く涼しい気候での栽培が適した野菜なので、台湾で多く生産されていると聞き私は最初驚きました。調べてみるとなんと近年、台湾におけるキャベツの栽培面積は8,000ヘクタールを超え、その大きさは中南部・嘉義市の面積を上回るほどなんです!毎年の生産量は1ヘクタールにつき約60トンで多い年には80トンに上ります。2020年は冬に旬を迎える野菜の中で生産量2位を記録したブロッコリーの5倍の量が収穫されました。このように多く採れる上、台湾では様々な料理に使われているため、台湾人の消費量に関してこんな記録があります。1990年代半ばから他の野菜の消費量が減少する中、キャベツは大幅に増加しており、今では台湾人は年間平均18kgのキャベツ、およそ8玉を食べている、これは全ての野菜の中でトップで、日本人の2倍の量を消費していることになる、というデータ。あとは2019年5月に台湾の最高学術機関、中央研究院が行った市民に対する電話アンケートで回答者の78.2%が、少なくとも週に1回は家庭でキャベツを食べる、その理由は「好きだから」と回答したというデータもあります。
今では夏は北東部・宜蘭県、中部・南投県、台中市の標高の高い山間部で、秋や冬は中部・雲林県や彰化県の平地といった1年中で生産が可能となっており、台湾にとってなくてはならない野菜となっています。
とはいってもやはり台湾は高温多湿ですよね。では現在台湾で生産されているキャベツはなぜ暑い時期でも生産可能になったのか?その歴史は日本と大きく関係があります。
キャベツの種子は16世紀頃に当時台湾を統治していたオランダやスペインによって台湾にもたらされていたかもしれないという説があります。しかし、日本統治時代より前の台湾ではキャベツの栽培はまだ一般的でありませんでした。ただ、キャベツの中国語名は「高麗菜」なのですがその由来は「キャベツ」を意味するオランダ語やスペイン語、また、その発音と似た発音である英語、ドイツ語、イタリア語の「キャベツ」の発音が、中国南部の言語で発音すると「高麗(gao li)」となり、ここから今に至る「キャベツ」の中国語「高麗菜」が生まれたという説があるため、種子は日本統治時代よりもっと前に台湾へやってきたものの台湾の気候が合わず栽培が広まることはなかったのかもしれません。
実は日本でのキャベツ栽培の歴史も台湾と似ており、18世紀初めにオランダからもたらされました。江戸時代末期(1860年代)になり栽培が始められたと言われています。低温の生育環境を必要とするため、まず北海道での栽培から始まり、その後徐々に全国に広まっていきました。
では台湾での歴史に戻ります。日本統治時代に日本政府が台湾に対しキャベツの栽培を奨励したのが大量生産の始まりなのですが、その理由は主に満州への輸出のため、また、戦時中日本軍が必要としていたためです。キャベツは輸送が便利かつ漬物などにすることで保存が容易という両面を兼ね備えた数少ない葉物野菜のひとつであるため当時重宝されたのです。太平洋戦争時、日本軍の東南アジアへの侵攻の際には台湾からキャベツが供給された背景もあります。
ではどのように、高温多湿な台湾に適応できるキャベツが生まれたのか?なんと、日本統治時代に台湾で暮らしていた野菜に関する日本の専門家と、ある台湾人農家の奇跡のコラボの結果生まれたのです。どういう事かというと、日本統治時代より前に中国からやって来た「上海金実」という品種の種を北部・淡水河沿いの江子翠(こうしすい)(現在の台湾北部・新北市板橋区にも同じ地名が存在する)で農家をしていた「葉深」という名の農民が自身で品種改良し、また、それを使ってキャベツを栽培する事に成功。日本の専門家はその「耐暑性」、つまり種子が高温に耐えられる性質に驚き、品種名を農民の名前をそのまま使い「葉深」と名付けました。「葉深」は後に台湾の品種改良専門家、王進生により6つの品種系統に分けられました。戦後になり、彼はこのうち3系統を日本に送り、「桃太郎トマト」を生み出したことでも知られる日本の種苗メーカー「タキイ種苗」が日本の品種と交配させ、1953年にハイブリッド品種「初秋」の開発に成功しました。この名前は夏に植えて秋口に収穫できるその耐暑性を強調するため付けられた名前です。「初秋」は暑さに強い上、葉がやわらかく栽培期間が短いため、台湾での「初秋」の試験栽培も大成功を収め、現在まで60年以上にわたり台湾でも人気のある品種となっています。
平地では毎年秋と冬に、標高の高い地域では夏に栽培されています。
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では台湾でキャベツが最も多く生産されている地域はどこでしょうか?
答えは中部・雲林県です。
ほとんどの地区で栽培しており、2020年の統計によると、台湾産キャベツの4個に1個は雲林県産だというくらい多く栽培されています。実は今聞いている皆さんも雲林県のキャベツを食べられる機会が到来していますよ。今年1月から日本へ輸出されているのです。1月と2月で他の国への量も合わせて500トン近くが輸出されており、今月の分は4日にすでに台湾を出発しています!雲林県の生産者から成る7つの団体により輸出されており、今年4月までに日本の他、カナダやシンガポール、ドバイなどへ計86コンテナ1548トンのキャベツを輸出する予定だと明かしています。
というのも台湾では今シーズン、キャベツの生育に適した気候と害虫による被害が少ないという理由により、全土の収穫量を合わせて例年の約1.2倍に伸びました。一方で日本は昨年の夏、高温で雨が少なく、今年の冬は大雪となり、キャベツの生産量は3割減となっています。そのため、価格も例年の2倍から3倍に高騰しています。価格高騰はもしかしたら実感している方もおられるかもしれません。こういったことから、日本へ輸出することに至っているのです。
ということで、キャベツを通じた日本との間で起きた物語についてご紹介しました。
*私からの一言
もし今後、日本で台湾産キャベツを見かけたらそれは雲林県からの贈り物かもしれませんね。4月にかけては台湾で特に甘くて美味しいキャベツが収穫できる時期ですので、是非試してみて下さいね。
Rti 台湾国際放送
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