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文化の台湾 - 2021-07-30_再び脚光を浴びている、台湾人の懐かしい「家」の記憶“鐵窗花”

  • 30 July, 2021
文化の台湾
オリンピック台湾代表チームのオフィシャルユニフォームのジャケットのボタンは台湾伝統の漆器工芸「金銀漆釦」。ボタンの正面は金と銀をメインとし“台湾チームのメダル獲得への願い”が。ボタンの側面は6色のレインボーカラーとなっておりアジアで最初に同性婚を認めた“台湾の多様性と寛容”を表している。(写真:文化部フェイスブックページよりスクリーンショット)
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オリンピック台湾代表チームのオフィシャルユニフォームのジャケットには、台湾人の懐かしい「家」の記憶である“鐵窗花”をモチーフに、中華民国台湾の国花である「梅」が組み込まれた模様がプリントされている。(写真:文化部フェイスブックページよりスクリーンショット)

先週のこの時間は、多くの方がオリンピックの開会式をみていたのではないでしょうか。新型コロナによって1年延期となり、しかも今だその新型コロナが収束していない中での開幕に、反対の声や、せっかく選手たちが日本に来てくれているのにおもてなしできない事への落胆の声など、祭典が始まるにしてはちょっと暗い話題が多い中の開幕でしたが、参加選手たちが笑顔で入場して楽しんでいる様子にちょっとほっとした人も少なくないと思います。

そんな開会式の楽しみの一つと言えば、各国選手団の入場行進。どんな選手が旗手を務めるのかや、普段は馴染みのない国のことを知ることができたり、それぞれの国や地域の国旗やイメージカラー、民族衣装や代表するブランドなどによる公式の衣装にも注目が集まります。

今回の東京オリンピックでは、衣装の面で一番話題をさらったのは、カザフスタンの旗手を務めた、陸上女子三段跳びのオルガ・ルイパコワ選手ではないでしょうか。

オフホワイトのドレスのような民族衣装に、独特な刺繍が施されていて、ティアラのような装飾品やイヤリングも身につけていて、さらには、ちょうど入場のタイミングで会場に流れていた曲が人気ゲームソフト「ファイナルファンタジー」の音楽だったことから、ゲームの世界から本物のお姫様が飛び出したと話題になっていましたね。

各国それぞれにその国のカラーを打ち出した衣装となっていましたが、皆さんは、どの国の衣装が気になりましたか?

そんな多くの人が注目する選手団の公式衣装、台湾の選手団はどんなスタイルだったか覚えていますか?

紺と白を基調にした、ポロシャツにジャケットを組み合わせたすっきりとしたデザインの衣装でしたが、実は台湾ならではの様々なこだわりが組み込まれています。

まずは生地。SDGs(持続可能な開発目標)のコンセプトから、台湾で特許を取っているリサイクル繊維で作られています。

次にユニフォームのボタン。これは、台湾伝統の漆器工芸「金銀漆釦」。ボタンの正面は金と銀をメインに台湾代表チーム“中華オリンピック委員会旗”のロゴがあしらわれていて、台湾チームのメダル獲得への願いが。そしてボタンの側面は6色のレインボーカラーとなっていて、アジアで最初に同性婚を認めた台湾の多様性と寛容を表しています。

そして、生地に施されたデザイン。

よく見ると、紺色のジャケットは無地ではなく、「鐵窗花」をモチーフに、中華民国台湾の国花である「梅」が組み込まれた模様となっているんですよ。

この「鐵窗花」とはどのようなものかというと、台湾の古民家の窓に取りつけられている鉄製の飾り格子のことです。

台湾の街で見かけたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

古くは、1920年代に西洋建築様式に合わせて鉄製の細工が台湾に入ってきましたが、1950年代から70年代にかけて、台湾経済が成長していたころ、防犯性と美観を兼ね備えた「鐵窗花」が流行となりました。

職人が手作りをしていた「鐵窗花」は、幾何学模様のものが主流だったのですが、中には、花の模様、果物、動物、音符、そして富士山や、中にはその家の家主の苗字の模様なんかもあったそうです。手作りならではですね。

そんな様々な種類の「鐵窗花」が取り付けられた家が並ぶ通りは、まるでそれぞれの家が展示会の作品のように台湾の人々を楽しませていました。

ところが、1980年代に入ると、台湾も市場にお金があふれ、家を建てるスピードもどんどん加速していきました。職人たちは大量の注文に応えるために、シンプルなスタイルのものに変化し、同時に、ステンレス製やアルミ製の格子の台頭によって、手作りの「鐵窗花」は急速に姿を消していきました。

多くの「鐵窗花」をつけている建物は古くなり、鉄製の「鐵窗花」は錆びやすく手入れも大変な上に、手作りする職人も少なくなっています。また、時代とともに、土地が狭く人口が密集している台湾では、建物も平屋作りから高層ビルへと変化していて、「鐵窗花」の需要は減少しています。

しかし、今でも台湾の人たちはこの「鐵窗花」と言えば、懐かしい「家」の身近な記憶だとして、台湾の風景のひとつとされています。

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今回、この「鐵窗花」をモチーフにした柄を東京オリンピックの台湾代表のオフィシャルユニフォームに取り込んだ台湾のデザイナー・周裕穎(ジャスティン・チョウ)さんは、デザインを考えるとき、どんな日常の美が台湾を代表することができるのか考えたところ、人々が一目見ればすぐに誰もがわかり、地域を限定するものではないものとしてこの「鐵窗花」が思い浮かんだそうです。そしてこの「鐵窗花」は、過去と現在を伝えるだけでなく、台湾の職人精神を伝えるものでもあると思いデザインに取り入れたそうです。

最近では、意識して探さないとなかなか出会えなくなってきている「鐵窗花」ですが、そのデザインの美しさや可愛さ、そしてその鉄製の飾り格子を含めた台湾の古民家や懐かしい風景、レトロ感に注目している外国人も増えているほか、今、改めて「鐵窗花」と「鐵窗花」のある懐かしい風景に興味を持つ台湾の若手アーティストも出てきていています。

「鐵窗花」をコレクションする人だけでなく、様々な「鐵窗花」を写真に収めた本が出たり、インテリアとして飾っていたり、「鐵窗花」柄のマスキングテープや、「鐵窗花」をモチーフにしたしおりや交通系ICカードなども登場していますよ。

昔のアイテムとして世の中から消えかけていた「鐵窗花」が、台湾のレトロ文化のひとつとして再び多くの人たちから注目を集めてきています。

皆さんも、台湾を訪れたら、ぜひいろんな「鐵窗花」を探して、お気に入りの模様を見つけてくださいね。

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