先週のこのコーナーでご紹介した、台北三大祭りの一つ「艋舺青山祭」の夜間巡礼が今夜から行われます。それに先駆けて、今、招待を受けた、台湾南部・雲林県の北港朝天宮の「北港媽祖」、台湾北部・新北市淡水区清水街の淡水清水巖(祖師廟)の「落鼻祖師」、台湾中部・台中市の大甲聖母宮の「大甲媽祖」と、台湾の北部、中部、南部の百年以上の歴史のある様々な廟の神様たちや、“陣頭”と呼ばれる祭りの巡礼部隊も続々と萬華に集まってきていて、街が今、とてもにぎわっています。
ところで、台湾の神様と言えば顔が黒い神様が多いイメージがありませんか?もちろん、うすだいだい色の顔の神様や、赤い顔、黄色い顔、緑の顔、中には金色の顔など、いろんな色の顔をした神様が祀られていますが、印象として黒い顔の神様が多く感じます。それはいったいなぜなのでしょうか。
それには様々な説があり、また神様によってもその理由が違うそうです。
例えば、“黒い顔をした神様”と聞いて、台湾の人たちが最初に思いつくのが「清水祖師」。この神様は、もともとは中国大陸の福建省安渓の人々の間で信じられている神様で、その地域の人たちが台湾へ渡ってきた際に居住地に守護神として祀ったとされ、主に台北市や新北市といった“大台北エリア”で盛んに信仰されています。特に、台北市の萬華、新北市の南西部・三峡や、北西部の淡水、北東部の瑞芳の廟は“大臺北四大祖師廟”と呼ばれています。
そんな「清水祖師」は別名「烏面祖師」とも呼ばれていて、“黒い顔の神様”の代表的存在です。その由来は、当時、「清水祖師」が修行に適していると住み始めた洞窟に先に占領していた4匹の鬼がいて、その洞窟を巡って戦った際、鬼たちに洞窟の出口をふさがれ山ごと燃やされてしまいます。7日間煙にいぶされ続け、死んでしまったと思われたのですが、なんと「清水祖師」は無傷で座っていて、顔だけが煤で黒くなっていたんだそうです。そんなことから、祀られている「清水祖師」の像の顔は黒くなっていると言われているそうです。
またもう一人、“顔の黒い神様”の代表が、台湾南部・台南市の「池府王爺」。「池府王爺」は、黒い顔だけでなく、眉毛もひげも縮れ、目がギョロっと出ているのが特徴なのですが、それにも伝説があります。
昔、池夢彪という人がいました。ある日、池夢彪は、疫病神が道教における事実上の最高の神とされる玉皇大帝より、人間に災いをもたらしてこいという命を受け、疫病をまき散らしに降りてくる…という夢を見ます。そんな夢を見た池夢彪は、疫病神を家に招き酒を飲みながら語り合うことにしました。どのくらい飲んだかわかりませんが酒で耳が熱くなったころ、疫病神がふいに玉皇大帝からの命令で疫病をまき散らすために地上に降りてきたことを語りました。それを聞いた池夢彪は、疫病神に、「明日の朝、村の水源に連れていくのでその水源に毒をまけば任務は順調に完了するよ」と告げ、その晩は家でぐっすりと眠りました。ともに酒を交わし、すっかり警戒心が解かれた疫病神は翌朝、池夢彪と一緒に水源に行き、その水源に疫病の粉をまこうとしたその時、池夢彪がその薬を奪い取り、全部飲み込んでしまったのです。その毒性によって、池夢彪はあっという間に顔が黒くなり、目が飛び出してしまったそうです。自分の不注意で任務に失敗してしまった疫病神は池夢彪の魂だけ持って玉皇大帝のもとへ報告に行ったところ、ことのすべてを聞いた玉皇大帝は我が身を犠牲にして人々を救った池夢彪に感銘を受け、玉皇大帝に代わって善を報い悪を罰するために地上に降ろされました。それが現在の「池府王爺」とされています。そんな伝説から「池府王爺」の像の顔が黒くなっているとされています。
このように伝説がもとになって顔が黒い神様もいますが、そのほかの神様も一般的には諸説あって、よく言われるのは、古くから台湾の人たちの認識としては、神様の顔が黒くないと力を感じられないと考えられていたんだそうです。また、長い年月、多くの人が焚く線香の煙で燻されて黒くなったという説もあります。修復をしようと磨いてみたら違う色だった!なんてニュースも時々あるようです。でもそれだけ長く多くの人から信仰されているという表れとも取れますよね。
台湾の廟で拜拜(お参り)をするときには、ちょっとそんなエピソードを思い出しながらお参りしてみてはいかがでしょうか。
Rti 台湾国際放送
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