≪トーク①:台湾の引越しの習慣≫
台湾では学校は9月入学。そのため夏は、旧正月に次ぐ引越しシーズンでもあります。私の家のご近所さんも、私が知っている限りでも先月末に2組が引っ越して行き、1組が引っ越して来ました。
台湾では新学期が8月に始まりますが、入学は9月です。新入生は家の近くの学校に行くのが普通です。逆に言えば、その近くにすまない人は、その学校に入れないわけです。ですから、一部の親は自分の子どもを名門校に入れるため、新学期がやってくる前に引っ越しをするのです。そのため夏は、旧正月に次ぐ引越しシーズンでもあります。私の家のご近所さんも、私が知っている限りでも先月末に2組が引っ越して行き、1組が引っ越して来ました。
私も引越しは何度か経験していますが、なかなか大変ですよね。でも引越しと言うのは人生におけるひとつの大きな転機にもなるだけに、今後の運や生活がより良くなるよう、古くからの習慣にのっとってみたり、様々なゲン担ぎを行ったりする人も少なくないと思います。
実は、台湾にも引越しにまつわる様々なしきたりがあるんですよ。
まず、もし中古住宅を買ったのであれば、改装する前に、もち米、あら塩、“辰砂(シンシャ)”という鉱石鉱物の粉末準備し、窓や扉を開けて、これらを混ぜ合わせたものを天井や壁、床に向かって力いっぱい撒くことで室内の穢れた“気”が出て行くとされています。
そして、引越し日を選ぶ。もちろん大体の引越し予定日は自分で決めますが、これはただ単に好きなように日にちを選ぶのではなく、自分で農民暦を見て決めるか、或いは占い師のところへいってみてもらいます。農民暦に「入宅」と書かれている日がまさに引越しに適している日。「入宅」の吉日だったら、引越しはその日に決めます。このほかにも、「安香」や「祭祀」、そして「開光」も引越しに適しているそうです。なお、最も良いのは、陽の気が最も盛んな午前5時から正午の間に儀式を行います。
引越し前からなかなか準備が大変ですね。
そして、さぁ!引越し…かと思いきや、次は引越し儀式の準備が必要です。
新しい家に引っ越す前に、鍋、掃除道具、生活必需品など12点を、紅包と呼ばれるご祝儀袋か、赤い紙に包んでキッチンに置きます。また満タンにした米びつも準備するんです。これらは衣食に困らないという意味があるそうです。
また、玄関の扉には、赤い紙に包まれた大根を2本かけておきます。これは、“大根”は台湾最大の方言・台湾語で「菜頭」といい、その「菜頭」の発音が「幸運」と言う意味の「彩頭」と似ていることから、「幸運の象徴」とされているんですよ。
ですので台湾で家の玄関に大根がかけてある家を見かけてもびっくりしないでくださいね。
そして、続いては引越しの儀式です!
まず新たな家に入るときは家長、つまり家の主もしくは年長者が家族を引き連れて入るのが一般的です。
そして玄関では、先ほどご紹介した、「幸運の象徴」とされる玄関の扉にかけられた“大根”にわざと頭をぶつけ、火鉢をまたいで入ります。これにより、穢れた“気”を入り口の外に置いてくるという意味があるそうです。
ちなみに、このとき手ぶらで入ってはいけないそうですよ。最初に家に入るときには必ず貴重なものをもって入ります。なんでもそうすることで今後、家の中に財が入ってくるという意味があるんだそうです。
そして中に入ったら、家中の窓、電気、水道を全て開けます。これは繁栄を象徴。さらには、部屋の四隅と部屋の中央に168元の硬貨を置きます。これは、「168」の中国語の発音が「ずっと盛んになっていく、金運に恵まれる」と言う意味の「一路發」の発音と似ているということから、「新しい家で全てが順調に行きますように、みんな大もうけするように」という願いをこめて行うそうですよ。色々と興味深いですよね。
それにしても引越しは荷物の移動だけでも大変な作業ですが、でもこれから長くお世話になる家だからこそ、幸運をもたらすよう、様々なことを行うんですね。
ちなみに、部屋の四隅と中央においた168元はいつ片付けたらいいのかしら?と思ったら、大体3~7日そのままにしておけば財運の“気”がいっぱいになっているので片付けていいそうです。
このほかにも、引越ししてきた日の夜は、なるべく部屋の明かりを全てつけたままにし、人の“気”が尽きることのないようにするとか、引越ししてから1週間は部屋で賑やかに過ごすと邪気が払われるとか、引越しは家族の気分も一新するタイミングなので、新しい“気”を入れるため、先に新しい家具を運び込んで、引越しの儀式の後に古い家具を運び込んだ方がいいとされているとか、それぞれの部屋には、まず枕を持ち込み、それからそれぞれのベッドを入れるといいなどなど、まだまだ沢山の習慣があります。
ただ、最近ではこの伝統的な習慣を全て行う家は少なくなってきているそうですが、引越しの後には、みんなで赤と白の「湯圓」を食べるという家は今も多いようです。「湯圓」は一家団欒と円満の象徴ですからね。引越しの際にも皆で食べるんですね。
≪トーク②:引越しの際のタブー≫
なお、もし自宅で神様を祀る習慣がある場合、引越し後、暦を見て日のいいときに、三牲と呼ばれる、鶏、豚、魚のお供え物、果物、蒸しパンなどのお供え物を準備し、道教の最高神である、玉皇大帝とその土地の神様にお参りをします。お参りの後は、主人が玄関から内側に向かってほうきで掃くことで、財運をもたらすといわれているんだそうですよ。
また逆に、引越しの際のタブーもあります。
引っ越してすぐ再工事をするのはタブーです。ですので、引越しの前にしっかりと工事が完了しているかの確認が必要です。でももし必要であれば一定の期間をおいてから再工事を行います。
そして、これはやさしさのタブーなんでしょうか。妊婦さんは引越し作業に参加してはいけません。引越しの時には、実家で待っていてもらい、引越し作業が終わってから迎えに行くそうですよ。
以前農業社会だった台湾は、日ごろから農民暦と生活がとても密接で、引越しにも様々な習慣がありますが、単身者向けの家は家具つきのところが多いこともあってか、まだ誰か住んでますか?というように、いらないものも備え付けの家具にまぎれこませて、いや、堂々と置いていく人も多いようで、大家さんが頭を悩ませているというニュースをたまに目にします。
ちなみに、我が家のお隣も、引っ越した後、なぜかヘルメットがひとつ残されていました。
日本は「立つ鳥跡を濁さず」ということわざがあるように、引越しの際は出る家の掃除のほうを重視する傾向にありますが、台湾では新たな家にまつわる習慣が多いというのがとても興味深いですね。
Rti 台湾国際放送
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