今年1月15日の放送において、教育部と日本の農林水産省に当たる農業部が昨年9月、「台湾全土の小学校と幼稚園の全てのクラスに週二回国産の新鮮な牛乳を」という政策を共同で推進することを発表したものの、技術的に難しいという理由から3ヶ月後に中央政府により中止が発表され、その後の判断は各自治体ごとに委ねられるというニュースをお伝えしました。放送後、リスナーの方々から「その後どうなったのか?」というメッセージをいただいていたのですが、最近新たな進展がありましたので今回はこの政策の続きについて説明していきます。
結論から言うと、「北部・台北市及び牛乳の生産量が多い中部・彰化県と雲林県で自主的に新たな政策『新鮮な牛乳を日常生活に』」が導入されることとなりました。台北市では4月から、彰化県では3月末から、雲林県ではすでに始まっているため引き続きの実施となります。
この制度と前回の制度の大きな違いは、目標とされている牛乳を飲む頻度を週に2回から1回へ引き下げられることです。
また、台北市では前回の制度との違いとして、必ずしも給食で牛乳が提供される必要はなくなりました。というのもこれまでは都市部の学校では新鮮な牛乳の大量提供が技術的に困難な上、牛乳を好まない児童も一定数いるという課題がありました。そのため新たな政策の実施方法として、児童が学生証を持ってコンビニエンスストアやスーパーへ行くと販売されている牛乳もしくは豆乳やヨーグルトを一つ無料でもらえるという内容となりました。また、台北市ではこれまで公立の小学校とそれに付属する幼稚園のみが対象でしたが、その範囲を市内全ての小学校と幼稚園に広げることも発表されています。この方法をまずは1年につき40週行う予定で、年間で1億8400万台湾元(約8億3000万円)の予算が必要となると見込んでいます。その予算は市の教育局により賄われるということです。
もし将来的により多くの予算を確保できた場合、対象の児童の範囲を中学生や高校生にまで広げ、牛乳の提供を週2回にまで増やす可能性もあると発表しています。
このことについて台北市の蒋萬安(しょう ばんあん)・市長は、「中央政府が前回の政策を中止したのは予算の問題もある。44億台湾元(約200億円)の予算が必要とされたがこれは現実的でなかったようだ。ただ中央政府はこれまでの政策を支持していたことに間違いはない。
では中央政府がやらないのなら私たち地方自治体が独自にやれば良いのだ。正しいことを貫き、たとえそれが大きな困難だとしても、乗り越えなければならない。
今後より多くの県や市がこの政策に参加し、台湾のすべての子供たちが台湾の高品質で新鮮な牛乳を飲めるようになることを願っている」と肯定の意見を述べています。
蒋・台北市長はまた、今月12日に市の湯志民・教育局長や雲林県の謝淑亞・副県長らと共に雲林県の牧場へ自ら赴き、乳牛の飼育環境と生産工程を視察、また、地元の酪農家と交流したり、牧場で生産された新鮮な牛乳を試飲しました。同じ日には、台北市と同時期に新たな政策をスタートさせる彰化県の牧場へも行き、王惠美・県長らとともに国内の酪農の現状を視察しました。その際、王・彰化県長は、「彰化県は台湾の酪農産業における重要な地域で生乳生産量のトップを誇る。その量は全国の4分の1を占め、台湾の大手乳業メーカーがそれぞれこの地に工場を構え高品質な生乳を台湾全土へ出荷している。今年、ニュージーランドの牛乳に対する輸入関税がゼロになり、酪農産業が圧迫される中、蒋万安・台北市長が『新鮮な牛乳を日常生活に』という政策の実施を主張してくれたことに感謝したい」と述べました。また、「台湾では、新鮮な牛乳は賞味期限が14日間のもののみで、14日以上のものは長期保存可能なロングライフ牛乳と規定されているため、中央政府がこの差をきちんと理解した上で、国民が最も新鮮で高品質な国産牛乳をより多く飲めるような体制づくりがなされることを望む」と期待を示しました。一方彰化県の牧場主は、「将来的に、自動搾乳システムとAI冷却システムを導入し、牧場の生産効率を向上させ、環境汚染を減らしていく予定だ」と明らかにしました。
彰化県では、県の産業と子供たちの健康を守るという角度から、これまでも県の酪農家の多くの提案を受け入れてきました。今後は県立の小中学校と付属幼稚園、特別支援学校などの児童全員を対象に毎週1回は新鮮な牛乳を飲むことのできる新たな制度を導入していく予定です。
雲林県の取り組みに関して、雲林県の謝・副県長は、「長年にわたり、県の予算をもとに、県内の小学生全員を対象に週に1日無料で新鮮な牛乳を提供するプログラムを推進している」と指摘。また、雲林県も台湾において生乳の主要生産地であることに触れ、生産から衛生・安全検査、そして低温での配送過程に至るまで、引き続き厳しく管理し児童たちの健康を守ることを要請しました。
ちなみに、元々の「週二回国産の新鮮な牛乳を」の政策は昨年12月に中央政府が中止を発表した後も、台北市、彰化県、雲林県、中南部・嘉義県と嘉義市、南部・台南市、屏東県にて引き続き推進されていました。このことが判明した際、ある酪農家は、「中央政府が突然政策中止を発表した際は驚き困惑した。乳牛は寒さに強く冬は生乳の量が増えるため、冬に供給過剰が起こり、酪農業界に影響を及ぼすことが懸念されていたが、多くの県や市が政策を続けており、業界にとっては心強い」と述べていました。そんな中、今回は台北市、彰化県、雲林県が先ほどご紹介した新たな政策をスタートさせることにしたのですね。
一方で前回の政策において中止を決めた北部・新北市と桃園市は市の教育予算が圧迫されないよう、中央政府からの資金援助の獲得に引き続き努力すると発表しており、台中市は代わりに給食の中でのカルシウム摂取量を増やすよう務めるとしています。南部・高雄市においては、市内10の区に設置されている原住民族のための学校に限っては牛乳を提供する企業スポンサーを持っているため、政策中止の影響は受けていないと発表しています。
*私からの一言
このように地域ごとに異なる対応の仕方に不公平さを感じるのも無理はありませんが、今後は政府が酪農業や学校側への支援をより増やし、全土で平等に政策が推進されることで児童の健康や酪農家への支援に繋がっていくといいですね。
Rti 台湾国際放送
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