少子化が深刻な台湾、実は現在、世界で最低の出生率を記録しています。
そこで今回は、台湾で少子化をもたらしているとされている「ある原因」に焦点を当ててご紹介します。
その前にまず、台湾での少子化に関する最新データを説明していきます。
昨年1年間に台湾で生まれた子供の数は13.5万人で過去最低を記録。この数は2022年と比べて3500人近く減少しています。しかし、同じ昨年1年間に亡くなった人の数は生まれた数を7万人上回る20.5万人に。現在の総人口はおよそ2300万人ですが、このままいくと2049年には総人口が2000万人を切ると予想されています。現在は3.6人の64歳以下の人が一人の65歳以上の高齢者を支えている状況ですが、2070年には一人の高齢者を大人一人で支えなければならない状況に陥るとの予測も。
また、今年2024年の最新データでは、1月から9月に生まれた新生児の数は、昨年の同じ時期と比べても2千人近く減り9万7733人であったことが判明していて、今年も生まれてくる子供の数が最低を記録することが見込まれています。
台湾では現在、30歳から34歳までの女性のうちわずか4割の女性しか子供を産んでいません。もちろん個人の人生設計は様々で一概には言えませんが、若者の中には、仕事が安定し子供を育てる経済的余裕を持つ頃にはすでに30歳になっている人も。
そんな出産適齢期とされる30から34歳の女性の4割しか子供を産まないという、この現状をもたらしている原因、大きな原因として深刻な物価高による経済的不安や女性の社会進出も挙げられますが、台湾では他にこのような原因もあります。
それは、「子供やその親に対する社会のネガティブな態度」です。このことは、様々な問題を抱える家庭やその子供のサポートを行っている台湾の団体、「財団法人児童福利連盟基金会」が今年行った調査の結果明らかになりました。それによると、子供を連れて外出する際、周りの態度が親切だと感じたことのある親はわずか47%だとの結果が。また、子供を連れて外出したことのある親の6割が外出時に何か大きなプレッシャーを感じ、また、4割近くが公共の場で白い目を向けられたり、叱責されたりするなどの不快な扱いを受けたことのあるという回答が得られたのです。さらに、85%の親がベビーカーを押して外出する際に押しにくい道に遭遇したり、車で出かけた際に子連れの人向けの駐車スペースが少ないなど、子連れに対する環境整備が不十分であると指摘しました。ちなみにこの駐車スペースは、事前に車両の登録を行い証明書を得ている妊婦や6歳以下の子供を連れた保護者だけが駐車できるスペースで、一般のスペースとは異なりピンク色で囲まれているため一目で分かるようになっています。もし証明書なしで停車しているのが判明した場合、政府が定めた法律により600から1200台湾元、日本円でおよそ2800円から5500円の罰金が課せられる、国の定める子連れの人向けの駐車スペースです。
話を戻しまして、続けて子供のいる親が回答した調査の結果について説明していきます。先ほど外出時に周りの態度が親切だと感じた親はわずか47%と言いましたが、裏を返せば、半数以上の親が、台湾社会の子供や自分に対する態度が良くないと感じているということになります。実はこの数字、7年前に行われた調査の結果とほとんど変わっていません。つまり少子化が叫ばれるこの現代、台湾の子育てに関する環境は一向に改善されていないことがデータからも判明したのです。
調査の結果には他にも受けたことのある好ましくないこんな行為も綴られていました。例えば、子どもが泣いたり大声で話したりすると、公共交通機関から降りるなどその場から立ち去るように言われたり、中には写真を撮られてインターネットに投稿され、その様子を見たネット民から更に批判を浴びせられることがあったというのです。
他には、先ほども少し触れたベビーカーを使用する際の問題も指摘されており、路面のでこぼことした状況によるものだけでなく、歩道にバイクや露店がありベビーカーを押すスペースがないとか、単純に歩道の設計が最初から狭すぎて押しづらいなどのケースに遭遇したという親がそれぞれ半数以上に上ることも判明。まるで外出が障害物競走のようでもあるこの道路状況は12年前の調査と比較しても、改善されているとはいえない状態です。
さらに、日本でも見られる子連れ優先車両、台湾では2015年に北部・台北市と新北市を走る新交通システム台北MRTに、2017年に台湾の在来線、台湾鉄道に設置されたのですが、こちらもおよそ半数の親が、優先車両の席に座っている乗客がいて一般車両と変わらないと指摘しました。
これらの結果に対し児童福利連盟は、「子育てに優しい環境を作り、親子の外出の安全性と利便性を高めるために社会全体で協力すべきだ。政府は、親子に優しい空間を拡大するために法律を更に拡大すべきでもある」とコメントしています。
そんな子育てに様々な問題を抱える台湾に関してここから再び少子化に関する話をしていきます。
少子化を改善するには子供が生まれた後の周りの対応が配慮あるものとなることも大事ですが、出産時の不安を取り除くことも鍵となるかもしれません。そこで、妊婦への理解を深め、「より安心できる出産」を広めるため、台北市は少し変わった取り組みを行いました。
それは与党・民進党のある台北市議会議員が蔣萬安・台北市長に働きかけ、ともに妊婦体験を行ったというもの。この議員は少子化にも関わらず台北市が「安心できる出産」に関する取り組みを広めていないことに気づき驚いたことから生まれたアイデアだといいます。では、男性である2人が具体的にどのように妊婦体験をしたのかというと、臨月の赤ちゃんがお腹に入った重さである4kgほどの妊婦体験スーツを装着し、座ったり横になったりして、動きにくい妊婦の大変さを体験。その後にも、この議員は議会で、台北市内の婦人科を設けた5つの病院にLDR室と呼ばれる「陣痛から分娩、産後の回復が全て行える部屋」を設け「安心できる出産の拠点」とするよう要請。これに対し蔣・市長、5つの病院、市の衛生局は満場一致で同意し、それぞれが少子化を改善するための各種取り組みに尽力していくと表明しました。
⋆私からの一言
もしかしたら実は、より多くの人が他人の子供にも優しく接することで、人々の出産や子育てに関する不安が減り、少子化改善への1番の近道に繋がるのかもしれません。自分も親子に対し温かい目で見守り、そして必要であればできることから手助けすることを心掛けたいと思います。
Rti 台湾国際放送
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