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ようこそT-roomへ - 2020-10-28_台湾の女子野球について

  • 28 October, 2020

 リスナーの皆様は、女子野球をご覧になったことはおありですか。2004年からスタートした女子野球ワールドカップで、日本は、第1回、第2回大会こそ決勝でアメリカに敗れましたが、2008年の第3回大会からは6連覇中、世界ランキング1位なんです。

 

 2010年には日本女子プロ野球リーグが開幕、近年は収益面で苦しく昨年末には多くの選手が退団するという状況もありましたが、各地に女子野球のクラブチームがあるほか、日本プロ野球でも埼玉西武ライオンズに続き、阪神タイガースも女子チーム新設を明らかにするなど、裾野が広がりつつあります。そして、女子野球部をもつ高校が各地にあり、全国大会が行われているという点も特筆すべき点です。

 

アジア、世界において女子野球をリードしているのが日本なんです。

 

 台湾では、およそ20年前に女子野球のアマチームが誕生、チーム数も少しずつ増え、2004年には初の全国大会が開催されました。ただ、台湾では、小学校まで男子と一緒に野球をしていた女子選手も、中学以降は受け皿がない為、台湾の女子野球の選手は、ほぼソフトボールの出身です。そして、台湾の女子野球の発展のスピードも、非常にゆっくりとしたものでした。

 

 しかし、2016年は4位、2018年大会は準優勝と、ナショナルチームがワールドカップで好成績を上げるに従い、大企業による支援が始まるなど、台湾でも強化の機運が高まりつつあります。

 

 同時に、さらに高いレベルでプレーしたいと、日本を目指す選手も現れ、2017年には3人の選手がトライアウトを経て日本の女子プロ野球でプレー、昨年も6人の選手が日本の独立リーグの女子チームでプレーしました。

 

 そして、ついにこの24日から、台湾において初の女子野球のリーグ戦がスタートしました。来年3月まで、レギュラーシーズン計20試合にプレーオフ、チャンピオンシップという小規模なものですが、これまで、ナショナルチームの選抜大会などしか行われていなかったことを考えますと、画期的なことです。    

 

 さて、こうした中、台湾では一人の女子留学生が注目されています。 今月の15日、16歳の女子高生、黄晴(フアン・チン)さんが2人の男子高校生と共に、高知県の私立、高知中央高校へ留学する為、日本へ旅立ちました。黄晴さんは色の黄色、天気の晴れと書きます。

 

 日本の高校へ留学する台湾の生徒は珍しくありませんが、黄晴さんのその留学理由が注目されました。フアンさんは女子野球をするために、昨年4月に女子硬式野球部が設立された高知中央高校に留学したんです。この10年近く、高知中央高校では、野球部を中心に台湾留学生を積極的に受け入れてきており、在学中の台湾留学生は10人、今年の3人を含めて13人いますが、同校の女子野球部に台湾の選手が入部するのはフアンさんが初めてです。同時に、およそ20年の歴史をもつ台湾の女子野球界において、女子高生が野球を目的に日本へ留学するのも、今回のフアンさんが初めてのケースとなりました。

 

 黄晴(フアン・チン)さんは2003年、台湾最南端の屏東県で生まれました。幼い頃から運動神経がよく、小学校時代には、野球に似たスポーツ「Tボール」に親しんでいた彼女は、屏東県の野球の強豪で北海道日本ハムファイターズのワン・ボーロン選手ら多くのプロ選手も生んでいる名門・鶴声中学のスポーツクラスに進学、27年の歴史をもつ野球部において、初の女子選手となりました。

 

 内野、外野のほか、中3からはピッチャーをつとめたフアンさん、中学2年当時、鶴声中学の馮文龍・監督は「積極性そしてスピードが素晴らしい。体力もチームの平均レベルで男子に負けていない」と評価していました。

 

 フアンさんは、中学校で本格的な野球の指導を受けたことで、子供の頃から抱いていた女子野球のナショナルチーム入り、そして、日本の女子プロ野球でプレーした選手たちとの交流の中で、日本でプレーをしたいという思いをさらに強めました。そして、中3から日本語の勉強をはじめました。

  

 中学卒業後、フアンさんは、台北市の市立、華江高校に進学、ソフトボール部に所属しながら、女子野球のクラブチームにも加入し、高校入学前には女子野球の全国大会にも出場しました。

 

 昨年の秋には、木製バットを使う本格的な野球部のある高校だけでなく、一般の野球サークルにも門戸を開いた「黒豹旗」に出場、フアンさんは、女子ソフトボール部の5人の選手と共にメンバー入り、男子選手と力を合わせ、一回戦を突破、2回戦では、昨年も含め過去4回優勝している強豪、北部桃園市の平鎮高校と対戦、試合は3回コールド0-25と惨敗しましたが、フアンさんはマウンドにも立ちました。

 

 ちょうどこの頃、フアンさんは、昨年4月に女子野球部が設立されたばかりの高知中央高校で、トライアウトを受験する機会を得ました。そして、実力を認められたフアンさんは、家族と話し合った結果、華江高校を休学し、日本へ留学することを決めたのでした。新型コロナウイルスの流行で、渡航可能となるまで時間がかかりましたが、フアンさんは母校、鶴声中学でのトレーニングのほか、オンラインでの日本語の勉強を続けていました。

 

 フアンさんの留学にあたっては、台湾の野球少年の日本への野球留学の支援を行っている団体「ACEプログラム台湾日本野球留学支援プラットフォーム」がサポートを行いました。この「ACEプログラム」の晁菘徽(チャオ・ソンフイ)代表はまさに、高知中央高校へ野球留学しレギュラーとして活躍、国士舘大を経て、早稲田大学の大学院でMBAを取得しています。まさに台湾と日本の野球を通じた架け橋という存在です。

 

 チャオ代表は、「ACEプログラム」 にとっても、女子の野球選手のサポートは初めてとなるとした上で、男子と女子では様々なルールも異なり、またフアン選手が日本の女子プロ野球でプレーできるかどうかはなんともいえないが、彼女が、今後、女子野球選手という夢を追い求める人達の目標となることは間違いない、と激励しました。

 

 高知中央高校女子硬式野球部の西内友広(ともひろ)監督は、ピッチャーとしてのフアンさんの変化球、そして積極的な態度及び強い学習意欲を評価しているということです。現在は野手兼投手、いわゆる「二刀流」のフアンさんですが、投手としてプレーしていくことが濃厚ということです。

 

 お母さん曰く、フアンさんは自立しており、日本留学も本人の強い意思によるもの、ということ。とはいえ、16歳で親元を離れ、異国で野球漬けの生活を送るのは容易なことではありません。リスナーの皆様もぜひ応援していただきたいと思います。そして、日本女子プロ野球でのプレーという夢を是非かなえてほしいですね。

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