各地に伝統的な市場が残り、多くの人が野菜・果物、鮮魚、精肉などの生鮮食品を市場で市場で買う台湾ですが、スーパーマーケットも生鮮食品の取り扱いの強化や、ポイントサービス、ポイントマーケティングにより、顧客の囲い込みを行い、ECサイトが躍進する中、なおも売上高を伸ばしています。
今年年初に発表された経済部の統計によりますと、スーパーマーケット市場全体の売上高は近年、平均5.2%成長、昨年2019年の1月から11月までの11ヶ月の売上高は台湾元1901億元(日本円にしておよそ6830億円)と、一昨年の同時期比で5.1%増となり、初の年間売上高2000億元突破は確実とみられています。
2019年11月末時点における、スーパーマーケットの総店舗数は2286軒でした。企業別で最も多いのはPXマートで989軒、2位はシンプルマートで699軒、3位はウェルカムで208軒、この3企業が、台湾の三大スーパーマーケットと言われています。
さて、この台湾の三大スーパーの中で、今、絶好調といえるのが、業界最大手のPXマートです。本日の「ようこそT-ROOMへ」では、このPXマートに関する最新の話題をご紹介しましょう。
PXマートは、標準中国語では「全聯福利中心」、全て、耳へんの聯合のれん、福利厚生の福利、センターを意味する中心と書きます。台湾では前の二文字、全、聯で「全聯」と略されることが一般的です。
PXマートは1998年10月に創業しました。前身は、軍人、教師、公務員の福利厚生の為に設けられていた販売部で、民営化され会社組織となったのち、既存の68店舗をもとに営業を開始しました。そして、まずは価格の安さを武器に、地方都市、農村部から都市部を取り囲むように出店攻勢をかけました。開業当初は、加工食品の取扱いが中心でしたが、次第に生鮮食品も取扱うようになりました。
2006年からスタートした、台湾のミスタービーンと呼ばれるラルフ・チョウを起用した「ミスター全聯」シリーズのコミカルなTVCMは、同社のブランド力を引き上げました。
2014年には、台湾の流通最大手、台湾一のシェアを誇るコンビニエンスストア、統一セブンイレブンの総経理を務めた「台湾の流通の父」、徐重仁氏が総裁に就任すると、同業他社の吸収合併も積極的に進め、規模拡大を進めました。また、安さだけでなく、こだわり商品の取扱いを始め、質の向上にも注力、店舗にも多様性をもたせました。そして、従来の中高年の顧客に加え、若者層の取り込みを図りました。可愛い熊のキャラクター「福利熊」が登場したのもこの時期です。
徐・総裁退任後も勢いは止まらず、総店舗数もすでに1000店舗を超え、同業他社に大きく差をつけ、台湾ナンバーワンの座に君臨しています。しかし、PXマートはその座にあぐらをかくのではなく、ブランド力を高めたり、消費者を囲い込む様々な取り組みを行い続けています。
PXマートの強みについてご紹介しましょう。今年6月、大手総合スーパーのカルフールが、業界3位のウェルカムと、高級スーパーのジェイソンズを買収することを明らかにしたニュースは、マーケットに驚きを与えました。
しかし、PXマートは「我々も買収を検討したことは確かだが、仮に成功していたとしても、その効果は顕著ではなかった。」と意に介しませんでした。そして、「ウェルカムの店舗はいずれも小規模であり、十分な品揃えと、買い物のしやすさを兼ね備えた、およそ1000平米の店舗を標準とする出店方針にそぐわない」と指摘しました。
さらに、カルフールや系列マーケットが24時間営業を行っていることについて、夜10時から朝までの売上は全体の15%強に過ぎず、総合的なコストを考えると、必ずしもプラスとはいえないと指摘、その上で、24時間営業を全く検討していないわけでもない、と述べました。
このほか、PXマートの自信を支えているのは、決済システム「PXペイ」の普及です。2019年にリリースしたこの「PXペイ」はすでに700万ダウンロードを突破、顧客使用率も24%と、4分の1に迫っています。また、昨年11月にスタートしたオンラインで商品をまとめて購入し、数回に分けて店舗で引き取りができるサービス「PXマートGO」の利用者も増加しています。同社では、この「PXマートGO」を今後、本格的なECサイトに発展させていくとしています。
同社では、課題とされた39歳以下の消費者の割合も、昨年の同時期比で9%増加の32%と増えてきていると紹介、ベースである中高年の顧客をしっかり掴みつつ、デジタルを活用したモデルチェンジを通じ、売上高アップにつなげていきたいとしています。
PXマートは、経営の多角化や他業種とのコラボによるブランド力強化も図っています。
昨年9月、PXマートは傘下のカフェ「We Sweet café」を中部、台中市の高級住宅街にオープンさせました。日本のデザイナーが設計したおしゃれな店内で、自家焙煎のコーヒーとこだわりのスイーツを味わうことができます。この「We Sweet café」は今年7月には台北にも出店しました。
また、この9月4日には台北市内に、火鍋店「全火鍋」をオープンさせました。「全火鍋」の完全の全、つまり全聯の全に、火鍋と書きます。来年1月31日までの期間限定というユニークさもあり、人気を集めています。
取扱商品についても様々なコラボで話題となっています。昨年12月から年初にかけては、ハーシーズやオレオなどとのコラボレーションによるケーキを販売、今年5月には、長い歴史をもつ香港の「ホノルルカフェ」とのコラボで、各種のスイーツ、ドリンクを販売しました。こうしたコラボスイーツの中には、麻辣火鍋のお店や大手歯磨き粉メーカーとコラボしたケーキなど、まるでギャグのような商品もありました。こうした商品も若者の注目を集めることとなりました。
こうした各種スイーツのほか、この9月半ばからは、2週間限定で、中南部・嘉義の名物、七面鳥ごはんの名店「劉里長火鶏肉飯」とコラボ、自宅で名店の味を楽しめる商品とあり、こちらも話題となっています。
実際、台湾に15年近く暮らしている私も、PXマートの近年の変貌ぶりには驚かされている一人です。新型コロナウイルスの影響もあり、自炊をすることが増え、スーパーマーケットを利用する頻度も増したのですが、PXマートは値段だけでなく、生鮮食品を含めこだわり商品が多く、買い物をしていて楽しいんです。日本からの輸入品も充実しているところも嬉しいところですね。
リスナーの皆様も、次回、台湾にいらした際、台湾シェアナンバーワンのスーパー、PXマートを訪れてみてはいかがでしょうか。リーズナブルなお土産がみつかるかもしれませんよ。
Rti 台湾国際放送
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