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ようこそT-roomへ - 2020-04-29台湾のニンニクについて

  • 29 April, 2020

 新型コロナウイルスが流行する中、ステイホーム、不必要な外出をできるだけ控えること、そして、まめな手洗い、うがい、外出時のマスク着用などが呼びかけられていますね。これに加え、免疫力を落とさないことも重要だとされ、そのためには、過労をさけ、十分な睡眠、栄養を取ることが重要とされています。

 免疫力アップには食事も重要ですが、 こうした中、台湾を含め中華圏で注目されている食べ物がニンニクや生姜です。医療関係者によりますと、ニンニクは殺菌性をもつものの、ウイルスを直接予防できるものではない、ということですが、とはいえ、多くの方の外出の機会が減り、口臭をそれほど気にしなくていい今、ニンニクを使ったスタミナ料理を食べ、食事から体のコンディションを整えていく方法は、いいかもしれません。このニンニク、台湾でも栽培されています。本日は、台湾のニンニクに関する話題をご紹介しましょう。

 台湾でニンニクはどこで栽培されているのでしょうか。台湾におけるおけるニンニクの一大産地といえるのは、中南部の農業県、雲林県で、台湾全国の生産量のうち、実に9割を以上をしめます。今年の作付面積は4510ヘクタールと、昨年より微減したものの、今年の生産量は約3000トンに達するということです。台湾では、冒頭でご説明した、免疫アップ効果という評判からニーズが高まっており、価格は昨年並みか、ややアップするとみられています。

 雲林県においては今がニンニクの収穫期です。このあと長期保存を可能とするために、水分を抜くための乾燥、天日干しの行程を経て、6月から9月にかけて市場に出荷されます。そのため、現在はまだ台湾産ニンニクのシーズンではありません。一般のスーパーマーケットでは、輸入物のニンニクが並んでいることが多いんです。

 ただ、雲林県産のニンニク加工食品は、年間を通じて入手することができます。最もポピュラーな商品は、日本でもおなじみ、健康食品の「黒にんにく」です。「黒にんにく」は、にんにくを高温、高湿の環境で熟成させたもので、文字通り、真っ黒です。その墨のような外見をみるとびっくりしてしまいますが、ニンニクのようなツンとする味はなく、むしろ果物のような甘みを感じます。

 そして、何よりもこの「黒にんにく」は、抗酸化作用が生にんにくよりも遥かに高いそうです。この「黒にんにく」は、台湾のニンニクの一大産地、雲林県でも加工、生産され、現在では海外にも輸出されています。新型コロナウイルスで、様々な産業に影響が出ている中、雲林県のニンニク生産地では、逆に、健康食品「黒にんにく」が注目され、活気が出ているんです。

(ジングル)

 台湾のニンニク生産地、雲林県には、この「黒にんにく」の産業モデルを作り上げた一人の女性がいます。それが、ヨントー・バイオロジカルテクノロジーのチャン・ヤーピン総経理です。

 チャンさんは、雲林県のニンニク産地、土庫鎮で生まれました。子供の頃からお婆さんがニンニクを栽培する姿をみていましたが、強烈なニンニクに臭いはむしろ苦手で、現在もなお、生にんにくを口にすることはできない、といいます。

 21歳で結婚したご主人の実家もニンニク生産者でした。ご主人の叔父が、ニンニクの輸出入をしている関係で「黒にんにく」のビジネスチャンスに注目していたこと、そして、お婆さんから価格に左右されるニンニク生産者の悲哀を聞いていたチャンさんは、こうしたニンニク生産者の生活向上の為、ニンニクより商品価値が高く、長期保存が可能な「黒にんにく」に賭けてみることを決意しました。

 その後、隣の県、嘉義県の国立大学の食品科学の修士課程に進学したチョウさんは、まさにニンニク漬けの研究生活を送りました。チョウさんは当時の日々を「最もニンニク臭い女」と例え、「他の女の子が香水の香りを漂わせている中、自分は全身がニンニクの臭いで、シャワーを3回浴びてようやく臭いがとれた」と振り返りました。

 生ニンニクは口にしないチョウさん、もともとニンニクに特別な感情ありませんでしたが、発酵後の「黒にんにく」は、自分が好きな砂糖漬けのドライフルーツに似た甘みをもっていたこともあり、ニンニクに愛情を覚えるようになりました。さらに研究をつづけたチョウさん、台湾産のニンニクと、台湾に輸入されるスペインやアルゼンチン産のニンニクを、黒にんにくに加工した際の抗酸化作用を比べてところ、台湾産が最高であることを発見しました。この事も、チョウさんを台湾産ニンニクを原料とした「黒にんにく」の開発、生産に後押ししました。

 チョウさんは、日本の「黒にんにく」加工の高い技術を取り入れ、ツンとした臭いがなく、かつ18種類のアミノ酸を含む高品質の「黒にんにく」を開発、さらに黒にんにくエキスのドリンクも販売しました。ただ、生産を軌道に乗せることは容易ではありませんでした。OEMを請け負う工場は、ニンニクの強烈な臭いを嫌い生産を受け入れてくれませんでした。こうした中、チョウさんは、家族、親族から猛反対されながら自ら生産ラインを立ち上げ、生産を開始、見事にこの賭けは成功し、2016年には総統の国賓パーティーでも提供されました。年間の売上高も当初の台湾元300万元あまりから、現在は6000万元(日本円にしておよそ2億1200万円)とおよそ20倍となり、国内「黒にんにく」業者のトップ企業となりました。

 「黒にんにく」の生産メーカーは、はじめ、チョウさんのヨントー・バイオロジカルテクノロジー一社でしたが、チョウさんの成功を受け、雲林県ではニンニク生産者から「黒にんにく」の請負生産工場へ転身する人も現れ、現在、雲林県で、黒にんにくを生産する業者は10社前後まで増えました。そして、雲林県にニンニクによる産業チェーンが形成されると共に、雲林産ニンニク自体の商業価値も工場、就業機会も生まれたのです。 

 雲林県のニンニク生産地、莿桐(しとう)郷農会の張鈺萱・総幹事は、新型コロナウイルスの流行により「黒にんにく」のオーダーが大幅に増えているほか、農会では先日も、大手量販店から商品開発の依頼を受けたと説明、様々なニンニク加工商品を開発したいという声も寄せられており、来年、台湾のニンニク作付面積はさらに増えるはずだ、と見通しを示しました。

 数はまだ少ないものの、日本にも台湾産黒にんにくの輸出は行われているようです。ご興味のある方は、お買い求めになってみてはいかがでしょうか。

(編集:駒田 英)

 

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