リスナーの皆様は、日本を代表するお金持ちといいますと誰をイメージされるでしょうか。昨年4月、アメリカの経済誌、フォーブスの日本版「フォーブスジャパン」が発表した「日本人長者番付2019」によりますと、保有資産額1位は、カジュアル衣料品チェーン「ユニクロ」の創業者で、ファーストリテイリングの代表取締役会長兼社長の柳井正(やない・ただし)氏でした。柳井氏の資産額は2兆7670億円でした。続く2位は、大手電気通信事業者ソフトバンクグループの創業者で、同社の代表取締役の孫正義・氏で、保有資産額は2兆6670億円でした。
台湾はどうでしょう。さきごろ、日本に先駆け、「フォーブス」のニュースサイトが、2020年版の台湾の長者番付トップ50を発表しました。日本の長者番付は、基本的に一人ずつですが、台湾の上位はファミリー企業が多いからか、◯◯兄弟という形で、まとめて選出されているケースが目立ちました。
ランキングをご紹介する前に、TOP50全体の資産額の前年との比較です。フォーブスによりますと、台湾のトップ50の総資産額は、2018年11月のアメリカドル1040億ドル(日本円にしておよそ11兆3280億円)から、1120億ドル(日本円およそ12兆2000億円)へと7.7%アップしました。
そして、トップ50のうち、半分以上の27人が、フォーブスの分類では「伝統産業」と呼ばれる、主に第二次産業の経営者でした。そして業種別では食品業、不動産業がそれぞれ5人で最多となりました。
それでは、上位の紹介です。全体トップに輝いたのは大手食品、流通グループ、頂新グループの創業者、魏(ウェイ)四兄弟で、資産額は72億米ドル(日本円およそ7837億810万円)でした。頂新グループは頂上のちょう、新しいと書きます。
魏應州(ウェイ・インチョウ)、魏應交(ウェイ・インジャオ)、魏應充(ウェイ・インチョン)、魏應行(ウェイ・インシン)の魏4兄弟が創業した頂新グループは、中国大陸で最も成功を収めた台湾の食品メーカーで、即製麺、飲料、ファーストフード、ファミリーマートなどのコンビニエンスストアなどの食品、流通業のほか、不動産、電気通信などまで手広く展開しています。特に中国大陸で圧倒的なシェアを誇る「康師傅」ブランドの即席麺、飲料などについては、ご存知というリスナーの皆様もいらっしゃるかもしれません。
主に中国大陸で大きな成功を収めた「康師傅」ブランドは、2002年、ふるさと、台湾市場に参入しましたが、その後、食用油をめぐる安全問題が発生、台湾の消費者による不買運動も置き、2014年、撤退を余儀なくされました。現在、台湾では、かつて傘下に収めた乳製品などの、飲料メーカー「味全」、ならびに電気通信の「台湾スターテレコム」などを展開しています。味全は昨年、20年ぶりに台湾プロ野球に復帰、国民的人気スポーツである野球チームの運営により、企業イメージの改善を狙っています。
2位は、大手企業グループで、傘下に、台湾を代表する金融グループであるキャセイホールディングス、さらに医療法人、建設会社などをもつ霖園(リンユエン)グループの蔡政達(ツァイ・チョンダー)、蔡宏圖(ツァイ・ホントゥー)兄弟で、71億アメリカドル(日本円およそ7729億5220万円)でした。霖園(リンユエン)グループの霖園は雨冠に林、そのと書きます。一般的にはキャセイグループ、台湾では標準中国語で、國泰、国、泰然自若のたいと書き、國泰グループともいいます。
蔡家一族、戦後直後から、台湾を代表する金融グループで、先代の蔡四兄弟による一族経営がされていましたが、その後、企業としては分家、四兄弟の子どもたちにより、様々な事業を展開しています。蔡政達(ツァイ・チョンダー)、蔡宏圖(ツァイ・ホントゥー)兄弟は蔡四兄弟の三男、蔡萬霖(ツァイ・ワンリン)氏の長男、次男にあたります。
ちなみに、蔡四兄弟、四男の蔡萬才(ツァイ・ワンツァイ)氏の長男、次男は、これまた大手企業グループ、フーボングループを父から次いでいます。フーボングループは、傘下に、台湾を代表する金融ホールディングスのほか、電気通信、マスメディア、建設会社、そして野球とバスケットボールのチームをもち、こちらの蔡兄弟の資産額も57億アメリカドルと、今回の長者番付で5位に入りました。華麗なる一族ですね。
そして、3位は、中国大陸で成功した旺中グループの創業者、蔡衍明(ツァイ・イェンミン)氏で、70億ドルでした。原料価格の下落により利益がアップ、昨年の5位から3位に上昇しました。この方も蔡氏ですが、2位、5位の蔡家とは関係ありません。旺中グループは旺盛のおう、中華の中と書きます。
軸となるのは食品を中心としたワンワンホールディングスと、食品及び不動産、ホテルのシェンワンホールディングスです。日本メーカーの技術協力をうけた、いわゆるスナック感覚で食べられる「ワンワン」せんべいは台湾のみならず、中国大陸でも大ヒット、中国大陸市場では飲料事業などにも参入しています。食品事業以外にも、不動産、ホテルさらにはメディアにも手を広げており、2009年、台湾の大手日刊紙中国時報を中心とするメディアグループを傘下におさめました。ただ、傘下のメディアは、中国大陸寄りの報道が多く、台湾主体の考えをもつ人々から批判も多くなっています。
そして4位は、日本でもシャープ買収でおなじみ、電子機器受託生産世界最大の鴻海精密工場の創業者、テリー・ゴウ氏です。昨年、経営の第一線から退き、また、最大野党・国民党の中華民国総統選の党内予備選に出馬するなどしたことで、鴻海の株価は下落し、資産を4億ドル減らし、69億ドルに。順位も昨年の1位から4位に落としました。
ちなみに、トップ50のうち、女性は、18位、金融、メディアなどを傘下にもつ聯邦グループの創業者、林栄三・氏の未亡人の林張素娥、女史、そして40位、大手食品流通メーカー、統一グループの創業者、高清愿(カオ・チンユエン)氏の一人娘、高秀玲・女史と2名のみでした。一般的に、女性の社会進出が進んでいる台湾ではありますが、ここまでの富豪クラスとなりますと、男性が圧倒的に強いんですね。
上位をみていきますと、巨大なファミリー企業ないし、強いリーダーシップをもったカリスマ経営者のいる企業が多くなっていますね。なお、さらに詳しい上位の顔ぶれを知りたい方は、台湾50大富豪と検索していただきますと、たくさん記事がヒットします。ご興味のある方は、それぞれの企業グループが、どのような会社を傘下にもつのかチェックされてみると面白いと思いますよ。
(編集:駒田 英)
Rti 台湾国際放送
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