先月、台湾時間の5月16日夜、「第9回 ヨハネス・ブラームス国際コンクール」の受賞者リストが発表され、台湾人女性バイオリニスト董奕纖さんと、2人のパートナーによって結成されたピアノ三重奏「Heathcliff Trio(ヒースクリフ・トリオ)」が、コンクールの第1位であるブラームスの楽曲解釈賞と2023年のポーランドの盛大な音楽シーズンで演奏する機会を獲得しました。
3年に一度、ポーランドで行われる「ブラームス室内楽コンクール」は、ポーランドの重要な音楽コンクールの一つとされていて、第9回のコンクールは、元々は昨年(2021年に)行われる予定でしたが、新型コロナの影響で今年に延期となっていました。さらにはロシアによるウクライナ侵攻が起こり、一度は開催が危ぶまれましたが、“音楽と文化は政治的要因を突破することができる、室内楽にはある種の民主的な形式がある、自分のことしか考えない独裁者が良い室内楽を作れるわけがない”とし、コンクールを決行することとなったんだそうです。
そのコンクールに参加したピアノ三重奏「Heathcliff Trio」。1次審査、2次審査を順調にクリアし、グランドファイナルへ。
グランドファイナルの曲目は、ベートーベンピアノ三重奏曲と、ブラームスピアノ三重奏曲で、「Heathcliff Trio」は、他の8組を破り、見事優勝を果たしました。さらには、ブラームスの楽曲解釈賞を獲得し、2023年のポーランド最大の音楽シーズンでの演奏の機会を手に入れたんです。
メンバーの一人である台湾人女性バイオリニストの董奕纖さんは、RTIの電話インタビューの際、競争相手は様々な国から来ていて、世界中の審査員を納得させるのは容易ではなかったとし、「もちろん演奏前はみんなとても緊張していた。でも優勝したとわかったときには重圧から解き放たれた。当然とても嬉しかった」と語っています。
董奕纖さんは、母親がピアノ教育と心理学を専攻していたこともあり、小さい頃より音楽の環境で育ちました。
幼いころから音楽の才能を見せていた董奕纖さんは、5歳の時から、台湾でバイオリニストであり、師範大学音楽学院の院長でもある廖嘉弘氏の下でバイオリンを学びます。
廖嘉弘氏によると、董奕纖さんはたくさんの学生の中でも驚かされた生徒の一人で、「小さい頃から、学んだこと、見たこと、読んだこと、考えたことであれば、バッハからモーツァルト、ブラームスまで、いつも完璧に表現できた」んだそうです。
そんな董奕纖さんは、7歳の時から毎年、サマーキャンプでウィーンのマスタークラスに行き、巨匠からの個人指導を受けます。それによって、音楽が彼女の命の一部になったんだとか。
2001年と2003年には、台北市立交響楽団主催による「子供のための協奏曲」バイオリンコンクールに参加し、素晴らしいパフォーマンスを見せ、ナショナルコンサートホールと中山堂で台北市立交響楽団と共に演奏することとなり、また2004年12月には、「ボルボ台湾 全国音楽コンクール」で最優秀賞を受賞するなど、小さい頃からその才能を開花させていました。
そして16歳の時、台湾を離れ、著名なバイオリン奏者、ユーディ・メニューイン(Yehudi Menuhin)が設立したイギリスの名門音楽院「ユーディ・メニューイン・スクール」を卒業。その後、オーストリアのグラーツ国立音楽大学、デンマーク音楽アカデミーで学びました。
董奕纖さん曰く、小さい頃はただバイオリンを弾くことが楽しいとしか思っていませんでしたが、「ユーディ・メニューイン・スクール」に通ってからは、音楽のために全てを捧げなくてはならないと知ったそうで、「大人になった今、人生における芸術の価値、努力し続ける価値があることを知った」と語っています。
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現在29歳の董奕纖さん。
今回、「第9回 ヨハネス・ブラームス国際コンクール」で優勝したピアノ三重奏「Heathcliff Trio」は、新型コロナの世界的なパンデミックが起こってからの2020年に結成。結成からわずか2年で優勝を手にしました。
チェリストのSebastian Kolin(セバスチャン・コリン)は、董奕纖さんとはイギリスで知り合った中学時代からの親友、ピアニストのJonathan Siahaan(ジョナサン・シアハーン)は、董奕纖さんとはデンマーク音楽祭で知り合ったそうで、新型コロナの感染が広がる中、一緒に練習できるようにコペンハーゲンにマンションを借りて一緒に住むことにしたんだそうです。
董奕纖さんは、室内楽は一つの家族のようなものであるとし、「自分の性格は比較的冷静で、みんなの意見が合わないときは、その日の夜寝る前にしっかりと話し合い、お互いに正直に向き合って、はっきりしてからそれぞれ休むようにしていた」そうです。
新型コロナによって、世界中どこもコンサートを行うことができなくなった中、彼女は「幸いなことにデンマークは学生に対する補助金があったことから乗り切ることができ、その中で、自分たちの室内楽がどうあるべきかを整理していった」んだとか。そして、そんなピンチをチャンスに変えていき、夢に向かって進み続けている董奕纖さん。
今回の「第9回 ヨハネス・ブラームス国際コンクール」での優勝は、彼女と2人のメンバーにとって重要な節目となって、今後、演奏の依頼が増えていきそうですね。台湾でも、そして日本でも、ピアノ三重奏「Heathcliff Trio」の演奏が見られるようになるのが楽しみです。
Rti 台湾国際放送
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