先月8月、日本の囲碁界で女性棋士が次々と男性棋士を破り昇段したことが話題となりました。そのうちの1人の女性棋士は、台湾出身の謝依旻さん。
8月19日に行われた第70期 王座戦の予選で片岡聡九段を破り次のステージへと駒を進めるとともに、七段へ昇段を果たしました。
1989年、台湾北西部・苗栗に生まれた謝依旻さんは、5歳の時にお兄さんに付き添って囲碁を始めました。
最初はお兄さんが習っている間、五目並べをして遊んでいたんだそうです。そのうち、囲碁の先生に五目並べで勝つようになり、何人かの先生から、「頑張ればプロになれる」、「小学校に上がったら教室に来なさい」と言われたそうです。そんな中から1人の先生がすぐに教えてくれると言ったそうで囲碁を習い始めました。
謝依旻さんは囲碁を習い始めると、早くからその才能を発揮していたそうで、囲碁の先生が囲碁の問題集を与えると、他の人たちは大体1か月ほどかかって解いてくるのですが、謝依旻さんは1日、2日ほどで解いてきていたそうです。しかもその当時、「本当に面白くて、時には夜中までかかってでも解いていた」そうです。
一方で、お兄さんにはいつもまかされてばかりで、もっと強くなって兄に勝ちたい!と思っていたそうです。
謝依旻さんの母親は、そんな兄妹の幼い頃を振り返り、「実は兄もとても賢く、囲碁も上手だった。しかし真面目じゃなく、兄はしょっちゅう妹に課題を手伝わせていた。彼女は一歩一歩進んできた。神様は公平だなと思います。」と語っています。
囲碁を始めて間もなくして、謝依旻さんは台湾の全国大会で優勝します。そこで母親は彼女には才能があると思ったそうです。一方の父親は半信半疑ではあったものの、先生のもとに習いに行かせるようになりました。
それからは、囲碁の授業を受けるために両親が交代で小学校に迎えに来ていたそうです。また、早めに下校しても注目されないようにと、囲碁の勉強をしていることに理解を示してくれる、苗栗の中心部から離れた、全校生徒20数人という小さな学校に転校しました。
同級生たちがまだ授業中、もしくは放課後グラウンドで遊んでいる中、謝依旻さんは1週間のうち2~3日は新竹や台北、台中の囲碁クラブで対局をし、時には家に帰ってくるのは深夜の1時、2時になることもあったそうです。
さらに上を目指して、彼女は香港や中国大陸、そして韓国でも囲碁を学びます。初めて韓国に行った際には母親を伴ってだったそうですが、その後数回は一人で渡りました。当時わずか8歳ですが、1か月ほど行くこともあったそうです。そして囲碁を学ぶために韓国語も少し学んだんだそうです。
しかし、一般家庭では飛行機代や滞在費の負担が大きく、父親が見ず知らずの実業家に資金援助をお願いする手紙を書いたりしていたそうです。謝依旻さんも支援者の方にお願いするときに一緒に行き、大会後には結果を報告するなどとしているうちに、子供ながらにある程度、成績を残さないといけないんだとわかるようになったんだそうです。
そして小学校2年生の時に全国児童囲碁大会で優勝。4年生の時に、日中韓対抗戦で個人で全勝、5年生の時にハワイで開催された世界ジュニア囲碁大会で準優勝を果たすなど早くに頭角を現しました。
そして台湾の小学校を卒業した2002年、12歳の時に日本へと渡ります。台湾出身の棋士が日本で多く活躍しているのを雑誌などで読んで知っていたことから、日本へのあこがれは前からあったそうです。ただ、プロになれるかどうか、またプロになったとして、幼い女の子が一人で安全に生活するには…などいろいろなことを考えたうえで来日。最初は両親が2ヶ月ごとにかわるがわる付き添ってくれたそうです。
最初の年は残念ながらプロ棋士の試験に合格できませんでしたが、翌年、3回目の試験で、連敗スタートであきらめかけたものの、見事合格!14歳4か月でのプロ入りは、当時の女流棋士最年少記録で、また、女流棋士特別採用ではなく、男女混合の一般採用試験の結果によるプロ入りで、女流棋士でこのリーグから入団したのは5年ぶり4人目、台湾からの女流棋士としては古川 こんゆ棋士に次ぐ2人目となりました。
プロ入り後も謝依旻さんの活躍は目覚ましく、2006年には、その年に始まった30歳以下、五段以下の棋士が戦う「若鯉戦」で、初代優勝者となります。男女混合の棋戦で女流棋士が優勝したのは日本棋院史上初のことです。また、この年、女流最強戦でも優勝、女流棋戦初タイトル奪取と同時に、17歳1か月という女流公式棋戦の最年少獲得記録となりました。
翌2007年には、女流本因坊戦で本戦初出場でタイトルを奪取。17歳11か月と、史上最年少で女流本因坊タイトル獲得し、2008年には女流名人戦でも勝利し、タイトルを獲得しました。
そして、現在、名誉女流本因坊、名誉女流名人、名誉女流棋聖の3つの称号を保持。これまでに保持したタイトル獲得数ランキングでは27期と女流棋士史上最多記録を持っています。
とても負けず嫌いの性格だという謝依旻さん。将来の目標は、囲碁の世界大会で優勝すること!
「とても難しいことかもしれないが、これが私の目標だ。もし本当に優勝することができたとしても、そのあとはいかにして追いつかれないようにするか自身の実力を引き上げていくというのが次の目標となる。つまりずっとどこまでも目標がある」と語っています。
そんな謝依旻さんの今後の活躍にも注目です。
Rti 台湾国際放送
Rti 台湾国際放送 
