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台湾ソフトパワー - 2021-02-23_多言語社会・台湾の言語に対する取り組み

  • 23 February, 2021
台湾ソフトパワー
「国際母語デー」の2月26日、台北市の圓山大飯店にて「世界母語デー-原住民族言語発展会議」が行われ蔡英文・総統や蘇貞昌・行政院長らが出席。原住民族語の復興に尽力してきた人、組織、機関などに賞を贈った。(写真:CNA)

一昨日、2月21日は「国際母語デー」でした。皆さんはこの「国際母語デー」というのをご存じでしたでしょうか。国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が1999年に、文化や言語の多様性、それぞれの母語を尊重することを推進することを目的に制定されました。

日本は、ほとんどの人が1か国語、つまり母語である日本語しか話せないモノリンガルですので、日本で生活している日本人は、普段特に“母語”を意識することがないかもしれません。

「あなたの住む国の言葉は何語ですか?」と聞かれたら、日本に住む皆さんは「日本語です」と答えると思います。では、「あなたの母語は何語ですか?」と聞かれたら、皆さんは何と答えますか?日本人はほぼ「日本語」ですと答えると思います。

しかし、モノリンガルは世界の中でもおよそ3割ほどしかいない少数派です。多くの国の人が、二言語以上の言葉を使用していて、今、世界にはおよそ6,000~7,000の言語があるとされています。

では、台湾で使われている言葉と言えば何語が思い浮かびますか?

私が台湾に来る際、日本の友達の多くは、「台湾は台湾語?」と聞いてきましたが、台湾の「国語」とされているのは「標準中国語」、すなわち北京語です。「中文」とも表現されるほか、最近では「台湾華語」と呼ばれたりもしています。

そして「台湾語」。これは、清朝時代に中国福建省南部から台湾に渡ってきた「閩南人」が話していた言葉からきていることから「閩南語」と呼ばれたりもしています。閩は福建省の略称です。福建省南部の言葉ですので「閩南語」です。

また、台湾で二番目に大きいエスニックグループ「客家」の人たちが話す「客家語」もあります。

台湾でMRTなどに乗ると、到着駅を知らせる車内アナウンスが中国語、英語、台湾語、客家語の順で流れていることに気づいた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

それだけではありません。さらには、台湾に最も早くから住んでいる「原住民族」が使う「原住民族語」もあります。しかも現在、16の部族が政府に認定されていて、それぞれが違う言語を持っています。しかし、この原住民族語の中には、すでに消滅してしまったとされる言語や、消滅の危機にある言語も多くあります。

そのようなことから、台湾で「あなたの母語は何語ですか?」と尋ねると様々な答えが返ってきます。台湾は実は多言語社会なのです。

言語は、地域の文化や歴史の痕跡を表していて、もし言葉、その母語が伝承されなければその歴史や文化は忘れ去られかねません。台湾の特殊な人と地理的環境は、多様な部族が共存していることで豊富で多様な歴史的文化がはぐくまれていることから、政府は2001年に、日々失われていっている客家の伝統文化の命脈を保ち、台湾を多元民俗文化を重んじる社会とすることを目的に、「客家委員会」を設立しました。

そして、2017年には「原住民族語言發展法」が、2018年には改正「客家基本法」が、2019年には「國家語言發展法」と「文化基本法」が制定され、客家語と政府が定める16の原住民族が使用する言語が“国家の言語である”と認め、その保存や研究、発展についてより多くの資源を投じました。

今では原住民族の半数が都市部で暮らしているとされ、その都市部では主に中国語を使うため、原住民族の人たちにとって母語の底辺拡大と定着はとても重要なことで、母語学習の強化に努めてきました。

そして「国際母語デー」だった2月21日に、台北市にある圓山大飯店で「世界母語デー-原住民族言語発展会議」を開催。原住民族語の復興授賞式および言語喪失の歴史事実と国家言語への復活講演、そして発展交流会議が行われました。

会議には蔡英文・総統、蘇貞昌・行政院長、国会議員に当たる立法院の廖國棟、陳瑩、鄭天財、伍麗華の4名の委員、そしてパラオ共和国など14の国の代表、屏東県の潘孟安・県長、各市区町村長やNGO組織のメンバーなど合計300人が出席。蔡英文・総統と蘇貞昌・行政院長が原住民族語の復興に尽力してきた人や組織、機関などに賞を贈りました。

蔡英文・総統は挨拶の中で、自身の母語である「台湾語」、「客家語」、及び先住民族パイワン族のことば「パイワン語」で最初の挨拶を行い、原住民族言語発展賞の受賞者12名への敬意を示すとともに、より多くの人が生活の中で母語を使うことで文化の生命力が復活し、政策を根付かせることができると語りました。

また、蘇貞昌・行政院長も、言語は文化のプラットホームである。母語が途絶えると文化が滅びてしまう。30年前に屏東県長をしていた時に台湾初の原住民族語、パイワン族とルカイ族の母語教材を出版し、原住民族言語発展の歴史の新たな一ページを開いたと振り返り、自身の孫娘はアミ族の名前を付け、毎年台東の集落に母語や文化を学びに行っていることを例に挙げ、みんなに家庭から伝承を共に始めて欲しいと呼びかけました。

なお、この「国際母語デー-原住民族言語発展会議」では、来賓あいさつの際、台湾原住民族語のアミ語、パイワン語、タロコ語、ツォウ語と、中国語、英語の6種類の言語の同時通訳が行われました。

台湾では学校でも「郷土教育」や「郷土言語教育」を行っていて、違ったエスニックグループの文化なども互いに知り、理解を深める教育も行われています。

世界でも6,000~7,000ある言語のうち、10日に1つの言語が消滅しているとも言われている中、台湾では言語を失われないように守り、発展させることで、多様性を持った台湾を作り出してきた文化を失わないように取り組んでいます。

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