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台湾ソフトパワー - 2020-11-17_「台湾中油」がアフリカ・チャドで生産した原油が来月台湾へ

  • 17 November, 2020
台湾ソフトパワー
エネルギーの輸入依存度が高い台湾で安定的なエネルギー供給を確保しようと長い年月をかけて探査を行い掘り出した原油を乗せた初のタンカーが12月上旬、高雄港に運ばれてくる予定だ。(写真:CNA)

現代社会において重要なエネルギー源の一つである“石油”─。日本もそのほとんどを輸入に頼っていますが、台湾も日本同様、ほとんどを輸入に頼っています。そこで、国内のエネルギー供給の安定的な確保のため、台湾の石油元売り大手「台湾中油」は長年にわたり海外の石油・天然ガス探査へ投資を行ってきました。そして先週、その探査を行っている、アフリカの中部にあるチャド共和国で掘り出された原油95万バレルを乗せた初のタンカーが、来月12月上旬に台湾南部の街・高雄の港に運ばれてくる予定だとのニュースが入ってきました。今週はその話題についてご紹介しましょう。

台湾のエネルギー供給は97%が輸入に頼っています。そんなエネルギーの輸入依存度が高い台湾では、安定的なエネルギー供給を確保しようと、1946年に設立された台湾の石油元売り最大手「台湾中油」が40年ほど前から国内のエネルギー供給の安定的な確保のために海外での探査を行ってきました。

そして2006年にチャド政府から3か所の探査権を取得したのですが、その年、チャド共和国が中華人民共和国との国交を樹立したことを受け、中華民国・台湾はチャドとの国交を断絶し、外交官も引き上げてしまいました。

ただ契約の中には、無償で探査、掘削しなければならない井戸・油井が一ヶ所含まれています。それを履行しないと、500万米ドル(日本円およそ5億2,500万円)の違約金を支払わなければなりませんでした。探査を行うかどうするか、「台湾中油」内部でもかなりもめたそうです。なんでもその油井というのは、過去に大手石油元売り会社ESSOが探査をし成果が得られなかったあと、チャド政府に返還された場所で、地質構造が複雑であることから、開発技術は難度が高く、リスクも高い。さらには南部の辺鄙な場所であったことから、もし採掘に成功してもパイプラインの埋設など、輸送コストが高くなることから、当初は不評で、内部でも強く反対をするスタッフが少なくなかったそうです。

内部の派閥の一つは、「まずはチャドとの友好関係を強固なものにするためにあまり条件の良くないエリアを探査していこうとしていたが、中国大陸と国交を結ぶことを決めたのであれば、違約金を払うことを選択した方が、損失は最低に抑えられる。」と主張し、もう一派は「台湾中油の優れた探査技術と、豊富な人材で限界を突破する力を持っている。何千メートルも下に隠れている油田を掘り起こすことができる」としていました。このような激しい議論を幾度も経て、最終的には探査をすることになりました。

それからも、戦乱、テロなどの動乱にも巻き込まれながら、探査を続け、2011年に経済的開発価値のある油田を発見、2017年に開発生産の許可を取得したのです。油田の開発生産を進めるため、台湾から1万キロ離れたアフリカのチャドに総勢150人のスタッフが飛び立ちました。

世界の平均探査成功率はわずか 25%~30%前後だと言われているそうですが、「台湾中油」は幸いなことに豊富な石油とガスを得ることができました。

大量の原油が出てきたとき、それを生で見たスタッフは、その時の様子を思い返しながら、「真っ黒な原油が噴き出してきたのを見たときは、本当に誇らしく、感動した。これは探査に携わるスタッフみんなの願いだったからね。」と語っています。何年もかけて、調査をし、データを取り、掘り始めるというとてつもなく大変な、そして忍耐力もいる作業を経て得た原油。携わった人たちにとっては本当に感動の瞬間だったでしょうね。

なお、この油田は開発生産段階に入っており、埋蔵量はおよそ3,400万バレルで、原油生産量は1日5,800バレルとされています。

現在、この油田では一日当たりの生産量は原油5,500バレル、天然ガス1万4,000立方メートルとなっています。

今年の2月から正式に生産を始めていて、これまでに140万バレルの生産をしています。そして第一便として95万バレルの原油を積んだタンカーが、来月(12月)上旬に、高雄の大林煉油廠に到着する予定です。

なお、現段階では国際的な原油価格が低迷していることから全開で生産をしていませんが、将来的には、年間生産能力は500万~700万バレルに達し、「台湾中油」の年間需給量の5%を占める見込みとのことです。

ちなみに、このチャドからの原油が台湾に届くことで、石油の価格は下がるのかどうか?というのが一般市民は気になるところではありますが、「台湾中油」によると、今年は価格が低いラインを維持していることから現在のところ生産計画を急ぐことはない他、今年は新型コロナの影響で、人員の調整や設備、原料などの輸送、油田の作業プログラムの規模も縮小していると説明。今回の第1便が台湾に届けられるのはとても意味のある事で、この初めての成果を得た後は、国際的な原油価格を見て、台湾まで運んだほうがいいのか、現地で販売した方がいいのかなどを考えるとしています。

ですので、今のところ、現在の価格から大きく下がるということはなさそうですが、この大きな成果が、今後の台湾のエネルギー分野におけるひとつの重要なマイルストーンになることは間違いなさそうです。

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