<第1セクション【台湾の「立冬」の定番料理】>
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本日は二十四節気のうちこの11月に訪れる「立冬」と歳末商戦を控えたこの時期の台湾のバーゲンセールについてご紹介。今年は今週の水曜日11月8日が立冬だった。台湾では立冬に「補」と呼ばれる精の付く料理を食べると、来年の春まで風邪をひかず健康でいられるとの言い伝えがある。中でも人気のある食材は「羊肉」だ。台湾で「羊肉」と言った場合、大抵は山羊肉を指す場合が多い。この時期、山羊肉が好まれる理由は、この食材が身体を温めると言われているからだ。山羊肉は独特の臭みがあるので、漢方薬にも使われる香辛料とともに煮込まれる料理が主流だ。その代表的なものが「羊肉爐」と呼ばれる煮込み料理だ。
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1970年代から流行り始めたという台湾の羊肉爐は大きく分けて二つの系統がある。一つは高雄県岡山区が発祥とされるもの、もう一つが彰化県渓湖鎮発祥とされるものである。高雄岡山と言えば真っ先に思い浮かぶのがまさにこの山羊肉だが、こちらのものは皮付きの塊肉を「紅燒」と呼ばれる醤油ベースのスープで煮込まれ、豆板醤などで作られた特製のタレに付けて食べるスタイル。これに対し、彰化渓湖のものは薄切りの山羊肉を「清燉」と呼ばれる澄んだスープで煮込んだもの。スープには当帰や枸杞などの漢方薬材を使って山羊肉の臭みを消し、あっさりとした味わいとなっている。どちらの系統の「羊肉爐」も、「豆皮」と呼ばれる揚げた湯葉やキャベツなどの野菜などの具材とともに煮込み、「麺線」と呼ばれるソーメンと一緒にいただくことが多いのは共通点である。台北市内でも羊肉爐の有名店はこれから予約が取りにくくなる季節だ。
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このほかにも立冬を過ぎると賑わい始めるのが、「薑母鴨」と呼ばれる鍋料理。これはアヒル肉をたっぷりの生姜、漢方薬材、胡麻油、「米酒」と呼ばれる米焼酎などの入ったスープで豆腐、野菜、きのこ類などの具材と一緒に煮込んだもの。薑母鴨の起源は定説が固まっていないものの、福建の泉州料理の「鹽鴨」が台湾で現地化したものという説がどうやら有力らしい。赤い顔が特徴の「紅面番鴨」と呼ばれる鴨(和名:バリケン)が、この料理に最も適した種とされている。鴨肉は牛肉と比べても鉄分を多く含み、ビタミンAや不飽和脂肪酸も豊富で血液の循環を良くすると言われている。薑母鴨も胡麻油や塩などの調味料で和えた麺線(ソーメン)を別添えにして食すことが多い。また具材は「豆腐乳」と呼ばれる塩漬けにした豆腐を発酵させた調味料に付けて食べるのが一般的だ。「羊肉爐」や「薑母鴨」の繁盛店は、冬場の数か月のみしか営業しないところもある。この期間に集中的に商売をして、他の季節は世界中を旅行して巡っている家族もいる。
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11月によく聴かれる歌の代表として周杰倫(ジェイ・チョウ)さんの『七里香』をOA。「七里香」は奄美大島、沖縄、台湾から東南アジアに広く分布する白い花が咲く植物で、月夜に特に香ることから和名では「月橘(げっきつ)」と呼ばれる。余談だが、台湾では焼き鳥の鶏の尻肉「ぼんじり」のことも「七里香」という。秋の季語が散りばめられているこの曲『七里香』には、「稲穂」や「落葉」と並んで「秋刀魚」も登場する。「秋刀魚的滋味 貓跟妳都想瞭解 初戀的香味 就這樣被我們尋回(秋刀魚の味を猫も君も知りたがっている 初恋の香りをこうして僕らは取り戻す)」。ジェイ・チョウ作品の多くを手掛けている作詞家の方文山さんは、きっと小津安二郎監督の映画『秋刀魚の味』のファンだったに違いない。
<第2セクション【「麻油雞」も忘れないで】>
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この季節に「羊肉爐」や「薑母鴨」と並んで、精が付くものとしてよく食べられるものに「麻油雞」がある。これは鶏肉を生姜と一緒に大量の黒胡麻油で炒め、「米酒(台湾の米焼酎)」を入れて煮込んだ料理。台湾では女性が産後に栄養を補い、母乳の出が良くなるとの理由で、この「麻油雞」のスープを飲むことも多い。「麻油雞」には鶏の腿肉や手羽肉が使われるのが一般的だが、同じ調理方法で豚や鶏の内臓が使われることもある。先日、八得力のバンド練習の帰りに、民生西路沿いに煌々と光る看板の明かりに誘われて、「麻油雞」のお店に入ってみた。いろいろな部位が入った「麻油綜合」と呼ばれるミックスを選択。鶏の砂肝や豚のヒレ肉、豚のガツ(胃袋)、豚豆(腎臓)、レバー、ハツがお碗の中を所狭しとひしめき、かなり食べ応えがあった。あっさりとした塩味に胡麻油と米焼酎の香りが立って、非常に食欲が進んだ。
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麻油雞は最も古くには、唐の時代の『食療本草』に次の記載があるそうだ。「丸鶏一羽を綺麗に洗い、たっぷりの(「二升」とある)熱した黒胡麻油と一緒に酒の中に一晩漬け込む。これを飲めば、お産をしたばかりの女性の肌は潤って白くなる」。そして麻油雞は、騎馬民族が西域を闊歩した時代に、彼らが胡麻油と生の羊肉の料理を中原に持ち込んだのが始まりとの言説もある。生後四十九日の子羊のラム肉をごま油や香辛料に漬け込んだというこの西域料理は、残った骨まで胡麻油で揚げて食べたのだが、その美味しそうな香りは百里先まで漂ったという。先ほど周杰倫(ジェイ・チョウ)さんの曲「七里香」にまつわる話として、七里先まで香る月橘の花に触れたが、百里先まで香るとされた西域料理の「麻油羊」はどれだけ美味しかったのだろうと想像が膨らむ。その後、羊肉の味に慣れなかった漢人が鶏肉に素材を変え、現代まで伝わったのが麻油雞ということだ。今では台湾の伝統料理の一つとしてすっかり定着している麻油雞が、西域の騎馬民族料理に端を発するとは思いも寄らなかった。
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さて、台湾の北部では間も無く冷たい小糠雨がしとしとと降り続く季節に突入する。ふと江蕙(チァン・ホェイ)さんの『落雨聲』が聴きたくなった。この曲は最初にご紹介した『七里香』と同じく作詞が方文山さん、作曲が周杰倫(ジェイ・チョウ)さんという、台湾ポップスのゴールデンコンビによって作られた台湾語の名曲。『落雨聲』をOA。
<第3セクション【洋の東西を問わず見せる商魂「光棍節」と「黑色購物節」】>
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11月のこの時期にもう一つ特筆すべきこととして、クリスマスを前にした二つの商戦を紹介したい。すなわち、中華圏の「独身の日」である「光棍節」と欧米の11月の第四木曜日の「感謝祭」の翌日、第四金曜日の「黑色購物節」である。「光棍節」は数字の「1」を棍棒に見立て、「1」がゾロ目に四つ並ぶ「11月11日」を「独り者の日」として祝う行事。1993年に行われた南京大学の学生イベントを起源とし、インターネット上のジョークから広まったとされる。当初は独身者がやや自嘲気味にパーティーを開いたり、結婚相手を探すイベントを催したりするのが主流だったが、ネットショップのテンセントを運営するのアリババ・グループが「双十一(ダブルイレブン)」の商標を打ち出して商戦を仕掛け、これがヒットし中華圏で広く定着。台湾ではこの商戦の起源となった棍棒のイメージからの連想で、プリッツ菓子の「Pocky」を食べる日にもなっている。また、日本でも「いい買い物の日」としてこの概念は輸入されている。
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そして、もう一つの商戦は、欧米の感謝祭の翌日の「ブラック・フライデー」、「黑色購物節」だ。台湾でも近年定着しているこの商戦は、元々感謝祭で売れ残った商品を一掃する目的で、1961年にアメリカのフィラデルフィアで始まった。当初は買い物客が文字通り黒山の人だかりだったことから、警察官が仕事が増える「真っ暗な金曜日(ブラック・フライデー)」と嘆いたことがこの言葉の起源。しかしながら、その後フィラデルフィアの地元メディアが「小売業者が黒字に儲かる日」とプラスの意味に解釈し直し、これが広く受け入れられた。クリスマス商戦の前哨戦ともなる「黑色購物節」は、台湾でもすっかりこの時期の風物詩となりつつある。
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南国の台湾でも少しずつ寒さが増していくこの時期、シチューやカレーなどの煮込み料理が食べたくなる。その食材で旨味と甘味のベースとなるのがタマネギだ。台湾を代表するロックバンドの五月天(メイデイ)さんのバラードで、2008年に楊宗緯(アスカ・ヤン)さんに提供した『洋葱』を、本日は楽曲を作った五月天(メイデイ)さんのバージョンでお聴きいただきながらお別れしたい。
Rti 台湾国際放送
Rti 台湾国際放送 
