<第1セクション【四重渓温泉のある恒春半島】>
- 本日は台湾最南端の温泉、四重渓温泉について。四重渓温泉のある恒春半島は、台湾最南端のリゾート地、墾丁がある。大小様々なリゾートホテルや民宿が海岸沿いや道路沿いに並び、国内外の観光客やサーフィンや潜水、シュノーケリング等のマリンスポーツ、海水浴を楽しむ人々で季節を問わず賑わっている。4月初めには、かつて『春吶(春天吶喊 / Spring Scream)』の愛称で親しまれたインディーズのロックフェスティバルも、「屏東インディーズ音楽祭」として今年から復活。
- また、魏德聖監督がメガホンをとり、2008年に公開され、5.3億元のチケットセールスを記録し、台湾映画としては国内で最大のヒット作となった『海角七號(邦題:海角七号 君想う、国境の南)』の舞台としても知られる。日本統治時代と現代の台湾をつなぐこの作品は、この年の台北映画祭のグランプリを獲得したほか、金馬奨国際映画祭でも6つの項目で最優秀賞を受賞した。この作品の主人公の友子を演じた日本の俳優、田中千絵さんも大ブレークしたことも記憶に残る。
- 恒春半島の最南端の岬、鵝鑾鼻からは中央にフィリピンを望むバシー海峡、その右側には台湾海峡、左側には太平洋が広がる。バシー海峡は昔も今も海運の要衝であるが、それゆえ、第二次世界大戦時には日本の輸送船が米軍の潜水艦の攻撃で多数沈められたことから「輸送船の墓場」とも呼ばれた。毎年11月には恒春の潮音寺で毎年「バシー海峡戦没者慰霊祭」が行われている。
- 歴史をさらに遡ると、台湾では「牡丹社事件」と呼ばれているが、1874年(明治7年)に宮古島から沖縄本島に向かった船が台風で遭難し、恒春半島の東海岸に漂着。言葉が通じなかったことや、当時の台湾原住民族の風習もあり、この付近のパイワン族によって多数が殺害される事件が起こった。これを契機に、日本では「台湾出兵」と呼ばれる事態に発展した傷跡もこの地には残っている。
- 恒春半島は、晩秋から初冬にかけて、中央山脈の最南端から吹きおろす「落山風」と呼ばれる強烈な風が「車城」という地域に吹き付ける。したがって、熱帯地方に属し、台湾の最南端とは言え、この時期は意外と寒い。しかし、この風の恵みによって、タマネギや小豆といった涼しい気候を好む、日本では北海道の名産である農産物の一大産地ともなっている。
- 范逸臣(Van Fan / アミ語:Lingad)さんの歌で『海角七號』のテーマソングにもなった『國境之南』OA。
<第2セクション【四重渓温泉の歴史】>
- この地に出入りするには、川を四回渡らなければならないため、『四重渓』と名付けられた。四重渓温泉は日本統治時代には、台北の北投と草山(現在の陽明山)、台南の関仔嶺、と並んで「台湾四大温泉」の一つに数えられていた。中央山脈にその源を発するお湯は弱アルカリ炭酸水ナトリウム泉の、いわゆる「美人の湯」である。そして、ここの温泉は湯量が豊富で、掛け流しを楽しめるのも魅力。
- 四重渓温泉で一番古い温泉ホテルは、日本統治時代には「山口旅館」と呼ばれた「清泉日式温泉館」である。日本統治時代当時は軍の将校の招待所であった。また、昭和天皇の弟、高松宮宣仁親王がハネムーンで訪れたことでも知られ、ゆえに「太子の湯」の異名を持つ。温泉街は決して規模は大きくはないが、公衆浴場もあり、趣のある温泉郷。
- 実はここには私も三度ほど宿泊している。最初が2013年の暮れに、当時台湾に留学していた次男、旅行に来ていた父と父の弟の叔父、そして妻との五人の旅だった。畳の部屋に布団を敷いて、皆で雑魚寝をしたことも、順番に部屋風呂にゆっくりと浸かったことも、今となっては良い思い出だ。また、2014年には私のバンドの八得力でもこの温泉宿に宿泊し、ここで後ほど紹介する今月の歌『念念四重溪(懐かしの四重渓)』を完成させた。その年の暮れには「四重渓温泉フェスティバル」でもパフォーマンスを披露した。この時は、まさに「落山風」が吹き荒れてとっても寒かったことを覚えている。「羊肉爐」と呼ばれる、名物の羊肉(実際には山羊肉)の煮込み料理が、冷え切った身体に沁み渡った。
- 恒春は伝統楽器の月琴の里でもある。『思想起』と呼ばれる民謡を月琴の弾き語りで歌う名手もたくさんいて、地元ではコンテストも行われていると聞く。八得力の阿家と一緒に、地元の月琴の先生から手解きを受けたのだが、今ではすっかり忘れてしまった。月琴の音色を背景に掛け流しの四重渓の温泉に浸かりながら、歴史に思いを馳せれば、旅の疲れも一気に癒される。陳達さんの月琴弾き語り、または劉福助さんの歌で『思想起』をOA。
<第3セクション【「台北霞海城隍文化節」の一環で「島語音樂會」開催予定】>
- 6月24日(土)に大稻埕の迪化街にある永楽市場前広場で「島語音樂會」が開催される。このコンサートは2020年に一度開催されているが、この3年間は新型コロナウィルスの影響で開催が見送られていた。このコンサートは、「台北霞海城隍文化節」の一環として、金馬奨常連の映画音楽家、柯智豪(ブレア·コー)さんがプロデュース。柯さんはこのコンサートについて、かつてこのように語っていた。台湾が多様性に富んだ島であり、この島では、スペイン語、オランダ語、閩南語、客家語、原住民語、日本語等、様々な言葉が話されてきた。時代の変遷とともに、言葉は人々の考え方、概念に影響を与え続けてきたし、それぞれのエスニックグループの象徴ともなってきた。音楽を通じて、様々な言語の存在が見える形にしたい。また、より多くの人に大稻埕の歷史や文化を知ってもらいたい。
- このコンサートに私も「日本語」を代表する歌手として出演することに。出演時間は6月24日(土)の18時40分~19時。場所は永楽市場前の特設舞台。入場無料。今回は金曲奨受賞のギタリスト、大竹研さんを私のサポートでお招きしての演奏に。乞うご期待!本番組の今月の歌『念念四重溪(懐かしの四重渓)』を八得力樂團の演奏でOA。
Rti 台湾国際放送
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