今日ご紹介するキーワードは「三腳渡天德宮」。
これは、台北市士林区三腳渡にある廟の名前です。
10/15から/16にかけて、台湾では台風20号(NESAT/ネサット)の影響に加え、毎年秋から冬にかけて台湾北部に吹く「東北季風」と呼ばれる北東からの季節風の影響で、台湾北部では各地で豪雨となりました。
10月15日(土)の午前0時から午前8時30分までの雨量観測を見ると、台湾全土で最も降水量が多かったのが台湾北部・台北市士林の擎天崗で、754ミリにまで達しました。
翌16日(日)も雨は降り続き、士林の百齡橋の下では川の水が増水し、そこにある駐車場に停めてあった車およそ50台が水に浸かってしまいました。
通常、川沿いの駐車場は、川の増水が見られる場合は、地域の放送やネット、SMSなどを通じて水門を封鎖するので車を移動するようにとのお知らせが流れるのですが、あまりの豪雨に移動が間に合わなかった人も少なくなかったようです。
そんな中、その雨の激しかった士林の三腳渡埠頭そばにある「天德宮」は浸水を免れました。
この「三腳渡天德宮」は水門の内側、基隆河のすぐそばに建てられている、「土地公(土地神様)」を祀っている小さな廟で、地元の土地神様を祀るために建てられてから50年余りの間に、基隆河や淡水河に捨てられていた神様の像を漁師が拾って帰り祀ったりしていたそうで、廟の中には70以上もの神様が祀られているそうです。
そして、2005年にベテラン漁師たちが、年金から資金を集め、現在の廟を建て、“士林のランドマーク”的存在となっています。
…なぜ土地神様を祀る廟が“ランドマーク”のような存在になっているのか、そしてなぜ今回の豪雨で浸水を免れたのかというと、この廟、なんと上昇するんです!
廟の四隅に大きな4本の鉄柱が建てられていて、ワイヤーで重さ18トンもある廟を最高7メートルの高さまで引き上げられるような設計になっているんです。ちなみに、上昇速度はとてもゆっくりだそうですが、これは神様たちを驚かせないためなんだそうですよ。
なんでもここは川に近いため台風による浸水を防ぐために、漁師たちが特別に設置したんだそうです。
でも、それなら浸水しないところに廟を建てればいいのでは?と思ってしまいますが、やはり「土地公(土地神様)」ですので、その地に根付いた神様をそう簡単に移動させるわけにはいかないということで、このような対策が取られているんだそうです。
ちなみに、そんなにしょっちゅう上げ下げされるものではなく、今回の上昇は、2014年に台湾に大きな影響を与えた台風10号(MATMO/マットゥモ)以来、8年ぶりの上昇だったそうです。それだけ今回の豪雨がひどかったということがわかります。
私もこの廟のことを教えてもらって観に行ったことがあるんですが、鉄柱が突き出ているのがとても独特だったのでよく覚えています。でも本当に上昇するの?と想像つかなかったのですが、今回、実際に上昇している写真を見て、本当だったんだ!と驚きました。
台湾で唯一の上昇する廟、「三腳渡天德宮」─。
上昇するときは浸水の恐れがある時ですので、そのようなときにはとても危険なので行くことはできません。ですので上昇している姿はニュースや写真以外で見ることはほぼありませんが、普段の安全な時に、台北市の士林を訪れる機会があればぜひ観に行ってみてくださいね。
Rti 台湾国際放送
Rti 台湾国際放送 