台湾では、歴史的価値のある建築物をリノベーションして再利用する動きが盛んですが、そんな歴史的建築物のうちの一つ、台湾南部の都市・高雄市にある、日本統治時代、浄土真宗本願寺派の第22代門主・大谷光瑞が建てた農園別荘「逍遥園」が3年にわたる修復を経て今月(11月)1日に一般公開されました。
建物は塾と農業を融合したような特殊な造りとなっていて和洋折衷様式。室内はゲストを迎える公共スペースと、個人の生活空間に分かれていて、中でも2階の天井は主に茶室などに用いられるスギやヒノキを網代に編んで張った日本の特殊な「網代天井」になっているほか、日本伝統の市松模様の青と白の格子の壁があったりと、随所に伝統がちりばめられ、とても精巧で特殊な造りとなっています。
また、敷地内の庭には池もあり、夜になるとライトアップされた「逍遥園」が池の水面に映りとても幻想的な雰囲気を生み出しています。
そんな優美な建物を見ようと、公開されてから最初の2週間のうちに1万人を超える人が訪れたんだそうです。
その建物の人気もさることながら、今、期間限定で展示されている“ある記念品”が人気となっています。その記念品とは、「逍遙園紀念瓷盤(逍遥園記念磁器皿)」という1枚のお皿。大谷光瑞が清水焼の陶工・森野嘉光に作らせたもので、1940年の「逍遥園」開園の際に記念として親戚や来賓に送ったとされています。
この開園記念皿は「台湾島と物産」をテーマにしたもので、丸皿の縁の部分は、鮮やかな黄色で、そこには豚やパイナップル、ミカン、水牛、バナナ、蓮霧(レンブ)、スイカといった台湾の物産が描かれていて、皿の中央には、海に浮かぶ台湾が描かれています。しかもただ台湾の形を描いているだけでなく、台湾を南北に貫く中央山脈や、台湾中部を流れる重要な河川「大甲溪」、そして今は“高屏溪”」と呼ばれている台湾南部の重要な河川「淡水溪」などもはっきりとわかるように描かれています。また離島も、台湾本島の西側に浮かぶ澎湖の馬公、白沙、西嶼の3つの島、そして台湾本島の南東部に浮かぶ綠島、蘭嶼もしっかりと描かれています。さらには、当時の台湾の主要な都市に印もつけられていて、中でも高雄市が最も大きくしっかりと記してあり、当時の重要な場所であったことがうかがえます。直径およそ16センチの丸皿の中に、台湾の様子がギュッと、しかも精巧に描かれていて、高雄市文化局は、「高雄市にとって、台湾と日本を結ぶ貴重な文物だ」としています。
そんな「逍遙園紀念瓷盤(逍遥園記念磁器皿)」、現存するのはわずか2枚だけなんだそうで、普段は大分県別府市にある大谷光瑞ゆかりの文物を展示している「大谷記念館」に展示されているんですが、今回、高雄市文化局が、逍遥園のリニューアルオープンにあたり、「大谷記念館」からこの貴重なお皿を借り受け、1か月間の予定で展示をしています。
ただその注目度の高さから、高雄市文化局は市民の期待に応えるため、更に借用期間を延長できないか「大谷記念館」に打診をしているそうです。
さらには、地元の芸術家と協力して、レプリカの記念皿を200枚限定で制作する予定だそうです。
先週土曜日(11/21)には、蔡英文・総統も「逍遥園」を訪れ、修復についての説明を受けるとともに、この「逍遙園紀念瓷盤(逍遥園記念磁器皿)」も興味深そうに眺めていました。
新型コロナの影響が続く中、人はなかなか行き来ができませんが、台湾と日本の間には今もこのような形での国際交流が盛んに行われています。
Rti 台湾国際放送
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