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馬場克樹の「とっても台湾」(爸爸桑的「非常台灣」) - 2025-06-08-台湾の夏を彩る花たち

  • 08 June, 2025
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馬場克樹の「とっても台湾」(爸爸桑的「非常台灣」)

<第1セクション:蓮の里・台湾:白河と観音の蓮花文化>

  • リスナーの皆さん、こんばんは。台湾では6月から7月にかけて、蓮の花が見頃を迎える。中でも、台南市白河区と桃園市観音区は蓮の花の名所として知られ、毎年フラワーフェスティバルが開催される。これらの地域が蓮の花の名所として知られるようになったのには、それぞれに固有の歴史と背景がある。本日は「台湾の夏を彩る花たち」と題して、この季節を代表する「蓮の花」「向日葵」「金針花」の三つの花を紹介していきたい。

  • 台南市白河区は、平地の原住民族「平埔族」のシラヤ族が多く住んでいた地域であり、台湾で最も早くから蓮の栽培が盛んになった地域のひとつで、「蓮の郷」としても知られている。この地域では日本統治時代の1920年代ごろから蓮の栽培が始まったとされる。当初は観賞用ではなく、食用(蓮根や蓮の実)を目的とした農業が中心であった。

  • 白河は地形的に水源が豊富で、沼や池が多く、蓮の栽培に適した環境が整っていた。戦後になると、観賞用としての価値も認識され始め、1960年代以降は地元住民の間で蓮池の観光資源化が進められていった。特に1980年代以降は地方政府や観光局の支援のもと、蓮をテーマとしたイベントや観光プロモーションが本格化し、毎年夏には「白河蓮花季(白河蓮の花祭り)」が開催されるようになった。

  • このフェスティバルでは、約200ヘクタールにも及ぶ蓮畑が一般に開放され、写真撮影スポットとして人気を博しているほか、蓮にちなんだ料理(蓮の葉包みご飯、蓮の実スープなど)や工芸品の販売、地元の文化公演も行われる。特に早朝の蓮は開花が美しく、カメラを持った観光客が夜明け前から集まる光景も風物詩となっている。

  • 一方、北部の桃園市観音区もまた、蓮の栽培が盛んな地域である。こちらの蓮文化は比較的新しく、1990年代以降に始まった地域振興の一環として注目された。

  • 観音区はもともと稲作や雑穀栽培が中心だったが、農業の転換期を迎える中で、地元の農家が蓮の栽培に着目した。湿地を利用した蓮池の造成が進められ、やがて蓮の栽培と観光を結びつけた取り組みが展開されるようになった。

  • 現在では、毎年6月から7月にかけて「觀音蓮花季(観音蓮の花祭り)」が開催され、「蓮花迷宮(蓮の迷路)」をはじめ、蓮花摘み、蓮茶作り体験など様々な親子体験活動が用意されていて好評を博している。蓮の迷路は、実際の蓮畑の中に通路を作り、迷路のように歩いて楽しめる体験型アトラクションで、高いところから見ると、まるで巨大な葉と花に囲まれた緑の迷宮のようになる。イベント会場周辺では、農産物の直売所や地元の飲食ブースも並び、農村文化の魅力を広く伝える場となっている。

  • 桃園市観音区の蓮の花祭りは、地域再生と青年層を含む幅広い年齢層の参加、体験型を意識した構成が特徴的で、学生ボランティアによる案内や、農業と芸術のコラボレーションなども積極的に導入されている。観光と地場産業を融合させることで、持続可能な地域づくりを目指す試みといえる。

  • 台湾における蓮の花の観賞は、単なる季節の風物詩にとどまらず、農業と観光、文化と経済の交差点として発展してきた。台南の白河区のような長い歴史を持つ蓮の郷もあれば、桃園の観音区のように新たな地域資源として育てられてきた場所もある。それぞれの土地が持つ物語とともに、6月の台湾では美しい蓮の花が訪れる人々を魅了してやまない。

  • ではここで、八得力樂團の演奏で台南三部曲の一つで白河の蓮の花が登場する関仔嶺温泉のテーマソング『戀戀關仔嶺(関仔嶺恋々)』をお聴きいただきたい。この曲は日本の夏祭りの音頭をモチーフに、白河の蓮の花、水火同源、マンゴー、泥温泉の関仔嶺などの観光スポット、風物詩が登場するので、歌詞もお楽しみいただきたい。

<第2セクション:桃園観音区・向陽農場のひまわり>

  • 続いて来月7月に見頃を迎える真夏を代表する花、向日葵(ひまわり)について紹介したい。台湾・桃園市観音区に位置する向陽農場は、北台湾を代表する観光農場として知られ、特に向日葵の名所として高い人気を誇っている。かつてこの地は、農業の近代化や都市化の波により担い手不足が深刻化していたが、農業と自然を愛する若者たちの手によって、農場の再生と観光資源としての活用が進められてきた。

  • 向陽農場における向日葵栽培の本格的な開始は、農業と観光を融合させた「休閒農業(レジャー農業)」の概念が注目され始めた2000年代以降である。向日葵はその明るく力強い花姿から、園内の風景づくりに適しており、観光客の目を引くシンボルとして位置付けられた。現在では一般的な黄色の向日葵に加え、赤褐色のもの、赤黄ミックスのもの、そして高さ2メートルを超える巨大向日葵など、多様な品種を栽培している。

  • 向陽農場の向日葵畑は、例年5月から10月にかけて見頃を迎える。中でも7~8月は最盛期で、数万本の花が一斉に咲き誇る様子は圧巻である。観光客はその景観を楽しむだけでなく、園内に設置された様々な撮影スポット――たとえば「花園ピアノ」「天使の翼」「LOVE」のオブジェ――を背景に記念撮影を楽しむ。これらの演出は、SNSでの拡散を意識した「映える」設計となっており、若年層や家族連れに人気が高い。

  • 加えて、向陽農場では向日葵観賞以外にも多彩なアクティビティが用意されている。小型列車、バンパーボート、釣り堀、動物とのふれあいコーナー、手作り体験など、老若男女が一日中楽しめる工夫が凝らされており、農場の収益化と地域振興にも大きく貢献している。

  • 台湾各地には、このほかにも向日葵の景観が楽しめる名所が点在している。以下に代表的な例を挙げる。1)台北市・貓空樟樹步道:貓空ロープウェイの終点近くにある樟樹步道周辺では、夏季に向日葵が咲き誇り、茶園と調和したのどかな風景を楽しめる。軽いハイキングと向日葵観賞を同時に楽しめるスポットである。2)台北市・大佳河濱公園:中山区に位置するこの河川敷公園では、夏の終わりから秋にかけて向日葵が開花する。飛行機の離発着を背景に、青空と黄色い花が織りなすフォトジェニックな景観が人気である。

  • 南部で代表的なスポットは、3)彰化県・西螺大橋北端:約5ヘクタールにわたる向日葵畑が広がり、赤く特徴的な西螺大橋とのコントラストが美しい。地元の農会などが協力して整備しており、季節の花イベントも開催されている。4)高雄市・杉林区:南部を代表する向日葵スポットで、杉林大橋周辺や月光花区には、最大29ヘクタールの花畑が広がる。向日葵のほか、コスモスや百日草などとの共演も楽しめる。

  • 向日葵はその鮮やかな色彩と力強い咲き姿から、人々に元気や希望を与える花として世界中で親しまれている。台湾においても、向日葵は単なる観賞植物にとどまらず、農業と観光の架け橋として重要な役割を果たしている。特に向陽農場のような取り組みは、農村の再生や地域活性化のモデルケースとして注目に値する。今後もこうした花の名所が、自然とのふれあいや地域とのつながりを生み出す場として、多くの人々に愛され続けることが期待される。

  • ではここで、阿杰(許志杰/アージエ)さんが2008年にリリースしたアルバム『記憶中的向日葵(思い出のひまわり)』から、アルバムタイトル曲『記憶中的向日葵(思い出のひまわり)』をOA。別れた恋人を思い出しながら、日本語で繰り返される「思い出のひまわりね」というフレーズが何とも切ない。

<第3セクション:花蓮の赤科山と六十石山の金針花>

  • 最後にご紹介するのは、再来月8月に見頃を迎える花蓮の赤科山と六十石山の金針花。金針花のことは2年ほど前にもご紹介したことがあるが、おさらいも兼ねてお話したい。金針花の和名はワスレグサ。オレンジ色の燃えるような花が青空に映える様は本当に美しい。私が「五月の雪」の別名を持つ「油桐花(アブラギリ)」に次いで好きな台湾の花だ。

  • 台湾・花蓮県に位置する赤科山および六十石山は、毎年夏から初秋にかけて金針花が咲き誇る観光名所として知られている。両山ともに標高約800〜1,000メートルの高原地帯に位置し、冷涼な気候と日照時間、土壌条件が金針花の栽培に適している。これらの地域では、戦後の農業振興策の一環として金針花の栽培が始まり、徐々に観光と結びついた地域活性化のモデルケースとして発展してきた。

  • 金針花はもともと食用・薬用植物として台湾各地で栽培されていたが、赤科山と六十石山ではその花の美しさに注目が集まり、1990年代以降、開花期に観光客を誘致する「金針花季(金針花フェスティバル)」が本格的に展開されるようになった。地元政府や農家が連携し、花畑の整備や撮影スポットの設置、物産販売、地域文化の紹介など、農村観光の要素を取り入れた運営が行われている。

  • 赤科山では、「小瑞士農場」「汪家古厝」「千噸石龜」「三巨石」「金針大道」といった名所が点在し、雄大な花畑とともに史跡や自然景観が楽しめる。また、地元農家による金針花料理や加工品の販売も行われ、農業体験やグルメ観光の要素も取り入れられている。新鮮な金針花の天ぷらは実に美味しい。2025年の金針花季は、8月1日から10月10日まで開催が予定されており、シーズン中には交通規制が敷かれるため、アクセスの事前確認が推奨される。

  • 一方、六十石山は、より広大な金針花畑と花東縦谷の雄大な景色を背景とした絶景スポットとして名高い。特に「台湾小瑞士観景台」や「忘憂亭」などの展望スポットからは、金針花と中央山脈、雲海、さらには夜間には星空まで一望できる。2025年の開花シーズンは8月10日から10月13日までで、同様に交通規制が予定されている。観光のピークを避けるためには早朝の訪問がすすめられている。

  • 両山ともに、単なる景観の提供にとどまらず、観光を通じて地域農業の価値を再発見させる重要な拠点としての役割を果たしている。季節限定の自然景観と地域文化が融合したこの取り組みは、台湾の他の農村地域にも波及しつつあり、農業と観光の共存を図る上での好事例といえる。

  • ​本日は、八得力樂團の温泉ソングの一つで金針花も歌詞に登場する『安通溫泉進行曲(安通温泉行進曲)』をお聴きいただきながらお別れ。華語版と日本語版があるが、本日は日本語版をお届けしたい。

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