<第1セクション:お笑い芸人・賀一航が歌った『媽媽請您不通痛』>
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リスナーの皆さん、こんばんは。今日は母の日。台湾でも多くの家庭で母親にプレゼントを贈ったり、家族で母親を囲んで食事をしたりして過ごしていることだろう。先週の放送で、台湾で最も歌われているお母さんに関する歌は、藤島桓夫さんの『俺らは東京へ来たけれど』の台湾語のカバー曲『媽媽請妳也保重(お母さん、どうかお達者で)』であることを話したばかりであるが、今週は母の日にちなんで、母親のことを歌った台湾の流行歌を3曲紹介しつつ、本日はこの世の全てのお母さんたちに感謝する回としたい。
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最初に紹介するのは、台湾でお笑い芸人として活躍し、2019年に64歳でこの世を去った賀一航さんの代表曲『媽媽請您不通痛(お母さん、どうか心を痛めないで)』である。賀一航さんが母親への深い愛情を歌った感動的な台湾語の楽曲で、母親へのいたわりと心配の気持ちが込められている。
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まずこの曲を歌った賀一航さんについて簡単に紹介したい。本名は曽新民、1950年に台東県生まれ、台湾の俳優、司会者、歌手である。若いころは中華民国陸軍に所属し、陸軍第二士官学校を卒業後、8年間空挺部隊の落下傘兵として勤務、精鋭部隊「神龍小組」にも所属、陸軍歩兵三等士官長まで務めた。軍を退いた後、芸能界に進出。1980年代、師匠である豬哥亮さんとともに台湾南部の「歌廳(ショーレストラン)」を中心に活動し人気を博した。1985年には『豬哥亮歌廳秀(豬哥亮ショー)』への出演により、全国区の知名度となる。
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1991年には、三立テレビ局の歌番組『五虎將 金牌點唱秀(五大将軍ゴールデン歌謡ショー』の主要メンバーとして「五虎將」の一角を担った。ちなみに「五虎將」とは、もともとは三国志「蜀」の将軍:關羽、張飛、趙雲、馬超、黃忠の五人を指す。1997年からは中華テレビ局の大型バラエティ『全能綜藝通(オールマイティ・バラエティ)』の司会を務め、コントコーナー『賀小美週記(賀小美の週間記)』では小学生の女の子「賀小美」に扮し、コミカルな演技でさらに高い人気を得た。
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一方で、2004年には暴行事件に巻き込まれ、顔面整形手術を受けるなどトラブルにも見舞われた。2010年には違法薬物所持で摘発され、2011年に100時間の社会奉仕活動の判決を受けるなど、波乱の時期も経験している。しかし芸能活動は途切れず、2006年には澎恰恰さんと司会を務めた『黃金夜總會(ゴールデン・ナイトクラブ)』で台湾のエミー賞と言われる金鐘奨 歌唱バラエティ部門 最優秀司会者賞を受賞。2016年にはテレビドラマ『長不大的爸爸(成長しないお父さん)』で第51回金鐘奨 ドラマ部門 最優秀助演男優賞にも輝き、俳優としての実力も高く評価された。
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晩年は大腸がんを患い、長年にわたり病と闘っていたが、2019年6月3日、台北市内の病院で息を引き取った。享年64歳。葬儀には多くの芸能関係者が参列し、台湾の芸能界に大きな足跡を残した賀一航さんの死を悼んだ。
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貧しい家庭で育ち、芸能界入りするまでは軍人として堅実な生活を送っていた賀一航さんは、一貫して母親への感謝と敬意の念を持っていた。母を思う気持ちを形にしたいという思いから、鄭進一さん作詞作曲のこの「媽媽請您不通痛(お母さん、どうか心を痛めないで)」が生まれたと言われる。老いた母を心配する息子の気持ちがストレートに表現されたこの歌は、リリースされると瞬く間に台湾の中高年層を中心に共感を呼び、賀一航さんの歌手としての代表作となった。自身の親の姿と重ね合わせてこの曲を聴いた人も多かったことだろう。ここで『媽媽請您不通痛(お母さん、どうか心を痛めないで)』をOA。
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この曲は「孝」を象徴する楽曲として、母の日や敬老の日のイベント、テレビの特集番組などでよく取り上げられ、親しまれている。単に賀一航さんという一芸能人の作品にとどまらず、「親への想い」「台湾の家族文化」「孝行心」といった価値観を表す普遍的な作品となり、台湾歌謡の女王・黃乙玲さん、台湾歌謡の王様・葉啓田さんをはじめ多くの歌手によってカバーされている。
<第2セクション:江蕙の名曲『落雨聲(雨音)』>
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さて、次にご紹介したいのは、台湾の音楽シーンを語るうえで欠かせない存在である江蕙さんの名曲『落雨聲(雨音)』だ。江蕙さん、本名は江淑惠。1961年、嘉義県の生まれ。台湾語歌謡のトップスターで、「二姐(2番目のお姉さん)」の愛称でも親しまれてきた。彼女の人生は、まさに波乱万丈。子どもの頃、父親が知人の借金の保証人になったことから、一家は生活が一変。高雄から台北へと夜逃げし、駅で寝泊まりする日々もあったそうだ。しかし、そんな困難を乗り越え、10歳の頃にはナイトクラブや流しで歌うようになり、音楽の世界へ足を踏み入れた。妹の江淑娜さんとともに、姉妹での活動も話題になった。
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1983年に発表した『你著忍耐(あなたの我慢)』がヒットし、少しずつ注目を集め始めた。そして1984年の『惜別的海岸(惜別の海岸)』で、一気に台語歌謡のスターへと駆け上がる。江蕙さんの歌は、恋愛、別れ、家族、人生の哀しみや優しさ…そんな人間の深い感情を、しっとりと、それでいて力強く歌い上げている。とくに『家後(家内)』という曲は「家族の後ろで支える妻の気持ち」を歌った名曲で、台湾中の女性たちの強い共感を呼んだ。
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その活躍ぶりはすさまじく、台湾のグラミー賞と言われる金曲獎で、最優秀台語女性歌手賞を4年連続受賞。台湾語の歌手としては前人未踏の快挙を成し遂げた。コンサートもまた、圧巻。台北アリーナ、高雄アリーナといった巨大な会場を何度も満員にし、音楽と演出の両面で観客を魅了。中でも2015年に開催された引退公演「祝福」では、25公演すべてが発売と同時に即完売となり、これを「二姐事変」と呼ぶ人もいるほど、社会現象となった。
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引退後は表舞台から姿を消していた江蕙さんだが、2024年、台湾の国慶節でついにカムバック。台北ドームで9年ぶりに歌声を披露し、多くのファンが涙した。そして年末には、あの周杰倫(ジェイ・チョウ)のコンサートにもゲスト出演し、再び注目を集めている。
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江蕙さんの歌声は、台湾の人々の心に深く刻まれている。彼女の歌を聴くと、自分の人生や家族、大切な人を思い出してしまう…。そんな不思議な力がある。「台湾語は古臭い」「イケていない」と言われていた時代に、台湾語の美しさと感情の深さを、現代の音楽として甦らせた江蕙さん。まさに、台湾の至宝ともいえる存在。
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ではここで、方文山さんが作詞、周杰倫(ジェイ・チョウ)さんが作曲して江蕙さんが歌った『落雨聲(雨音)』をOA。
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『落雨聲』は、雨の音を背景に、故郷に残してきた家族への想い、特に「母親への感謝と切なさ」、そして「離れて暮らす恋人への想い」が交錯して描かれている。柔らかく、どこか寂しげなメロディーに、江蕙さんの深い感情が重なり、聴く人の胸を強く打つ。私が最も好きな江蕙さんの1曲。
<第3セクション:周杰倫の『聽媽媽的話(ママの話を聞いて)』>
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さて、本日最後にご紹介するお母さんの歌は、周杰倫(ジェイ・チョウ)さんの『聽媽媽的話(お母さんの話を聞いて)』、ジェイさんは、台北県林口郷(現在の新北市林口区)出身のシンガーソングライター、音楽プロデューサー、俳優として、2000年代初頭からアジアの音楽シーンを牽引。ジェイさんの音楽は、R&B、ヒップホップ、ロック、クラシック、さらには中国伝統音楽など多様なジャンルを融合させた独自のスタイル。2000年にデビューアルバム『Jay』を発表し、翌年の『Fantasy』で一躍スターダムにのし上がった。その後もヒット作を連発し、アジア全域での人気を確立。
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2007年には自身のレーベル「JVR Music」を設立、俳優としても『頭文字D』(2005年)や『グリーン・ホーネット』(2011年)などに出演し、国際的な知名度を高めた。2022年には6年ぶりのアルバム『Greatest Works of Art』をリリースし、中国では初週500万枚を売り上げた。また、2019年から始まった「Carnival World Tour」は、COVID-19の影響で一時中断されたものの、2022年に再開し、2025年まで続く予定。
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そんな周杰倫さんの代表曲の一つが、2006年に発表された『聽媽媽的話(お母さんの話を聞いて)』。この曲は、ジェイさんの7枚目のアルバム『依然范特西(未だにファンタジー)』に収録されており、彼自身が作詞・作曲・プロデュースを手がけた。彼はこの曲を「自伝のようなもの」と語っており、母親への深い愛情と感謝の気持ちが込められている。
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歌詞には、子ども時代の思い出や母親の教えが描かれている。例えば、「大きな飛行機が欲しかったけれど、古い録音機をもらった」というエピソードから、母親の愛情と教育の大切さを感じ取ることができる。また、「音楽は君の名刺になる」というフレーズでは、夢を追いかけることの重要性と、母親の支えがあってこそのジェイさん自身の成功を示唆している。
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この曲は教育的な価値も認められ、2006年には台北教育大学附属小学校の1年生の教材として採用された。また、2007年のワールドツアーでは、香港の俳優の周潤發(チョウ・ユンファ)さんや歌手の張學友(ジャッキー・チュン)さんが映像で登場し、ジャッキーさんが楽曲の一部を歌唱するなど、特別な演出が話題となった。
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『聽媽媽的話』は、母親への感謝と尊敬をテーマにした感動的なバラードであり、周杰倫の音楽性と人間性を象徴する作品。彼のキャリアとともに、この曲は多くの人々の心に深く刻まれている。本日は、そのジェイさんの『聽媽媽的話(お母さんの話を聞いて)』をお聴きいただきながらお別れ。
Rti 台湾国際放送
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