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台湾ミニ百科 - 2025-04-02-【闘犬「ピットブル」襲撃事件を巡るあれこれ】

  • 02 April, 2025
台湾ミニ百科
2度にわたってバイク運転手を襲い、けがをさせたため、台北市動物保護処に収容されるピットブル。(写真:CNA)

今週は犬好きの方には特に興味深いかもしれない話題「台湾で飼うことが禁止されている犬」についてです。それは「闘犬」、つまり人間の娯楽や賭けごとを目的に犬どうしを戦わせて勝敗を争う競技のため育てられた犬なのですが、その中でも台湾では「ピットブル」という犬種の飼育が禁止されています。

なぜこの事を取り上げるのか?

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実は、先月17日、台湾北部・台北市内で一匹のピットブルが、信号待ちをしていた43歳男性のバイク運転手に襲いかかり、その男性の両足に合計3箇所のけがを負わせたのです。男性は事件後意識はあったものの3箇所それぞれで皮膚が2cmほど裂け、すぐに病院に運ばれました。このピットブルがどこからやって来たかというと、バイクの左隣で同じく信号待ちをしていた車の窓から飛び降り、すぐ右にいた男性めがけ一目散に飛びかかったのです。60代の男性飼い主は犬が飛び降りてから10秒経った後車から降り、男性の足に噛みついている飼い犬を引き離そうとしましたが、犬の力が強く、噛みついてから26秒経ってようやく離す事ができ、車に戻されました。この一部始終は近くの監視カメラに収められており、その様子は各メディアに取り上げられ話題となりました。飼い主は、「もともと閉まっていた車の窓を犬がなんらかの方法で自分で開けた」と話しているそうです。驚きの供述ですが、監視カメラの映像を見てみると止まっていた車の窓が開いた後に犬がすぐに飛び出す様子が確認できます。しかしこの「犬が自分で開けた」という供述が本当かどうか疑う声も上がっています。

多くの人がこのニュースに注目したのですが、その理由として、なんと今回の事件発生の11日前にも、同じ犬が同様の事件を起こしたからです。

先月6日、同じく台北市内で信号待ちをしていた別のバイク運転手に襲いかかりました。こちらは傷の程度が深く、咬まれた傷口が細菌感染を引き起こしたため壊死した細胞を切除する手術が行われました。

法律に詳しいある専門家によると、この飼い主は過失により人を傷つけた「過失傷害罪」に問われる可能性があり、もし被害者が重傷である場合、最高で3年以下の懲役、拘留または30万台湾元(約136万円)以下の罰金が科されるということです。

飼い主はこの犬を10年間飼育し、政府に登録も行っていましたが、2度目の事件の次の日に台北市動物保護処により没収され、暫定的に市によって収容されました。市によると、もし攻撃性が改善されなければ、安楽死を選択することも排除しないとしています。

二つの事件とも、もし子供や高齢者が襲われていればと考えるととても恐ろしいです。何はともあれ、2人の被害者の命に別状はなく本当によかったです。

ここまで聞いていて、「あれあれ?冒頭で『ピットブルは台湾で飼うことが禁止されている犬だ』と話していたのになぜこのような事件が発生したの?」と疑問に思われた方、実はこんな背景があります。

確かに現在、台湾ではピットブルを飼育することは農業部(日本の農林水産省に相当)の「指定の飼育・輸入禁止動物」という規定によって禁止されています。つまりもし飼っていた場合、違法扱いとなります。この規定は以前からの度重なるピットブルによる襲撃事件発生を受け、農業部の前身に当たる「行政院農業委員會」が、もともと禁止の対象としていなかった規定を改正したことにより決められました。この改正案は2022年3月1日に施行されたのですが、以前からすでに飼育していた場合どうなるのかという問題に対し、禁止の対象となるのはあくまでも前提として、2023年2月28日までに政府に飼育の登録を届け出ていなかった場合の話。それよりも前からすでに飼っており、届け出ていた場合、規定に関係なく続けて飼育できるのです。つまり理論上は、今の台湾には、改正法成立以前に飼育され始めたピットブルだけが存在し、新規のピットブルは存在しないということです。現在台湾に存在するピットブルの数は3,800頭ほどです。

今回の事件が発生した背景として、問題となった犬は10年も飼育されていたため、飼育禁止の対象ではなかったのです。

ただ台湾ではピットブルは「攻撃性を有するペット」に分類されるため、外へ出す場合は必ず成人が同伴し、また、1.5メートル以下のリードに繋ぎ、口輪をつけなければならないと農業部により決められています。そのため、今回のように何もつけずに外へ出した場合、飼い主に対し非が認められます。

ちなみに、もし規定を守らずピットブルを違法に飼育、売買、譲渡した場合、動物愛護法に基づき5万台湾元以上25万台湾元以下(約23万円以上115万円以下)の罰金が課され、飼い犬は没収される可能性があります。

では、台湾のように、危害を加えるという理由でピットブルの飼育を禁止している国は他にどこなのでしょうか?

アジア圏だと、香港、シンガポールが挙げられます。日本は法律上禁止されていないため飼育可能ですが、日本でも度々関連の事件が報道されているのが現状です。

他には、アメリカやニュージーランド、ヨーロッパのいくつかの国で飼育を規制しています。

台湾で飼育が禁止されている動物は他に、ピラニア、電気ウナギ、タイワンザル、小型哺乳類のヌートリア、さらに保護の対象とされる野生動物全種類です。つまり犬はピットブルのみが対象なのです。2022年の改正案施行後、ピットブルが人間を襲う件数は大幅に減少していたため、今回のように短期間に2度襲うというのは珍しいケースとなりました。

ただ、台湾では日本と同様、コロナ禍を機にペット市場が大幅に拡大しており、農業部の推計によると、現在1500種類以上のペットが流通しています。そんな中、公共の安全を守るため、例えばアライグマやビルマニシキヘビ、カンガルーなど955種の特殊な動物の飼育を禁止する案が今年1月農業部によって提案され、それらの生き物を飼育する数百人の市民から猛反発を受けました。立法院の前で関連政策の提案取り消しを訴え、農業部の長官の退陣を求めるデモが起こったほどです。

*私からの一言

ペットの飼育が増える今だからこそ、「ペットは家族の一員」という飼い主の想いと公共の安全、それにペットの命、そのどれもが同時に守られる世の中により改善されていくと良いですね。

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