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馬場克樹の「とっても台湾」(爸爸桑的「非常台灣」) - 2025-01-26-旧正月のおめでたい挨拶言葉12選

  • 26 January, 2025
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馬場克樹の「とっても台湾」(爸爸桑的「非常台灣」)

<第1セクション:もはや新年の合言葉『新年快樂』『恭喜發財』>

  • リスナーの皆さん、こんばんは。あと3日寝ると、こちらでは待ちに待った旧正月の元日「初一」を迎える。本日と「小年夜」と呼ばれる大晦日の前日となる明日が台湾の民族移動、帰省ラッシュもピーク。また、「年貨大街」と呼ばれる旧正月の歳末大売り出しも、明日で営業終了のところがほとんどである。先日、台北迪化街の「年貨大街」に行ってきたので、その時に収録した音声をお聴きいただきたい。(10秒ほど音声を放送)「年貨大街」の熱気や賑わいを感じていただけただろうか。

  • 台湾の「年貨」、お正月用品というのは、①「南北乾貨」と呼ばれる干し貝柱、干しエビ、スルメ等煮込み料理の出汁となる乾物、②ピーナッツ飴、胡麻飴、ヌガー飴等、家族団欒の場に欠かせない伝統的なお菓子(これらのお菓子には美味しさだけではなく、例えば「好事發生(花生)」等の掛け言葉の願掛けも込められている)、③このほかには「對聯」等の様々な装飾品などを指す。「年貨大街」の期間は、だいたいどこの店でも試食・試飲が許されるので、雑踏でごった返す覚悟さえあれば、街歩きをするのも一興である。

  • さて、先日日本で正月を過ごすために一時帰国した際に搭乗したフライトの機上では、繰り返し旧正月の新年でよく使われるおめでたい言葉を一家団欒の様々なシチュエーションの映像を交えながら紹介されていた。なるほど面白いと思ったので、正月気分真っ盛りのこの時期に、リスナーの皆さんにもそれらのおめでたい言葉を一つ一つ紹介していきたい。

  • まずは「新年快樂」。文字通り「あけましておめでとう」という最も定番の挨拶である。この言葉は解説の必要はないだろう。次によく使われる言葉は「恭喜發財」だろう。漢字を直訳すれば「財を発することを恭しく喜ぶ」ということになるが、「お金が儲かりますように」ということだ。台湾や中国の文化に触れる前の自分は、この言葉に少なからず違和感を覚えた。「武士は食わねど高楊枝」ではないけれど、お金のことを堂々と語ることを良しとしない文化の中で自分が育ったからであろう。

  • ところが、中華圏、とりわけ中国の南部や、そこにルーツを持つ華僑が多く居住する東南アジア、もちろん台湾も「お金儲けは善」であり、「この人生における最大の目標」とされ、この概念は幼少期から叩き込まれている。老若男女を問わず、年が明ければ「恭喜發財」と言ってお年玉をあげたり、もらったりする。考えてみれば、これは極めて現実的、合理的な思考であり、「他是有錢人(あの人はお金持ちだ)」という日常会話の中で私がいつも感じられるのは、その人が尊敬や羨望の対象であるということだ。

  • さて、続いて紹介するのは「雙喜臨門」という言葉。これも直訳すれば、「二つの喜ばしいことが家の門に降臨する」ということになる。「鴨がネギを背負ってくる」ではないが、めでたいことが重なれば嬉しさも増す。普段は離れ離れの家族が故郷に集まって大団円、「年菜」と呼ばれる大晦日の年越し料理のテーブルを囲んで箸を突くことは、いつの時代も旧正月を過ごす上での基本的な「雙喜」であることに変わりはない。

  • 本日は「恭喜發財」のタイトルが付く3曲をセクション毎に紹介していく。まず最初に香港のスーパースター劉德華(アンディ・ラウ)さんの『恭喜發財』をOA。この時期、おそらく全世界の華語圏で最も多く流れる曲の1つではないかと思われる。ちょうど日本で毎年クリスマスの時期に流れる山下達郎さんの『クリスマス・イブ』に似ている。この時期のこの曲の印税だけで、その一年は安泰とやっかみも含めて巷では噂されている。

<第2セクション:正月料理は皆めでたし『年年有餘』『財源滾滾』>

  • ここからは食べ物の名前とおめでたい言葉との同音、または近似音との掛け言葉紹介する。いずれもお金儲けに関連する言葉である。すなわち、これらの食べ物をお正月にいただくことで縁起が良い、吉兆を示すこととなる。まずは「大吉大利(大橘大利)」。「とても縁起がよくて、お金が儲かりますように」という意味であるが、「吉」と「橘」が類似音であることから大きな柑橘類が「大吉」を招くという意味で大事なお供物となる。黄金を連想させる色もおめでたい。また「利」と「梨」も同音であることから、「梨」は利益が出る、儲かることに通じる。こちらも「梨」が大きければ大きいほど、「利」も大きい、すなわちたくさん儲かるということになる。

  • 次に「年年有餘(年年有魚)」。「毎年余裕ができますように」、すなわち「毎年お金が儲かりますように」という意味である。これも「余」と「魚」が同音語であることから、一匹丸ごと、尾頭付きの魚料理は年越し料理には必須である。台湾でお正月に最も好まれる魚は、「鯧魚」と呼ばれるマナガツオだ。これは銀色に輝く丸々としたその身が貨幣に見えるからだと言われる。そして、正月前には台湾の市場ではマナガツオは高騰し、1斤(600グラム)千元(5千円)を超えるのは当たり前である。妻の実家では、どんなに値が張っても義理の父が必ず手に入れて来る一品である。

  • 続いて「花開富貴」。「運が開いて財をなすこと」。この言葉に見立てた料理には実は決まったスタイルはない。花が開いているように料理を盛り付ければ良いようだ。豚肉だったり、椎茸だったり、帆立貝だったり、様々な料理にこの名前がつけられている。フライトのビデオの中で紹介されていたのは、「五花肉」と呼ばれる豚バラの薄切りの鍋料理だった。「花」の字が豚肉のこの部位に入っているのも肝かなと思う。

  • ちょっと変わったところでは、「家財萬貫」。これは家の財産が非常に多いことを指す。古代において1000文を1貫として数えたことから、多額の金銭を意味するのだが、「貫」の字が「罐」と同音であることから、正月にもかかわらず、缶詰めを食べるという家庭もあるそうだ。

  • お金儲けの願掛け、験担ぎはまだまだ続く。「招財金寶」。これもストレートに「金銀財宝を招く」という意味だが、旧正月前に縁起物の文字として、これらの四文字を一つの文字に見立て、赤字の紙に金の文字で書かれたものを門や扉に貼り付けたりする。こちらもこの言葉に見立てた決まった料理はないようだが、古代の貨幣「元寶」に見立てた水餃子が、この言葉通じる。水餃子を食べるのは、台湾では北方中国にルーツを持つ家庭が多いと言われる。

  • そして、トドメは「財源滾滾」。「お金がジャラジャラ沸きますように」というこの言葉に対応する料理は何と言っても鍋料理だろう。「滾滾」は「沸々と煮えたぎる」ことを表す。大晦日の晩には、鍋料理を囲む台湾人の家庭も少なくないはずだ。以上のおめでたい言葉から、台湾の人々がどれだけお金儲けを重視しているかが理解いただけるであろう。もっとも日本のお節料理にも、「めでたい」から「尾頭付きの鯛」だったり、「腰が曲がるほどの長寿」を願っての「海老」だったり、験担ぎの食べ物は多い。こうした東アジア特有の験担ぎを比較してみるのも面白いだろう。

  • 本日の二曲めは、台湾客家の歌手・魏海珊(ウェイ・ハイシャン)さんが歌っている『恭喜發財』をOA。

<第3セクション:結局は平安健康が第一『平平安安』『長命百歲』>

  • お金儲けもひと段落したところで、次にご紹介するのが「平平安安」。これは「平安」の文字を重ねたものだが、「平」の字が華語のリンゴを指す「蘋果」の「蘋」と同じ発音であることから、リンゴもお供物として重要なアイテムとなる。お金も大事だが、「平安無事」はもっと大事である。

  • 続いて「步步高升」。これは「とんとん拍子に出世する」という意味であるが、「高」と餅やケーキ類を表す「糕」が同音であることから、餅や蒸しパンなども年越し料理で食べられることが多い。私もかつて友人の実家の高雄の六亀という田舎で旧正月の年越しをさせていただいたことがあったが、この時にバナナの入ったちょっと甘めの「年糕」というお餅をいただいたことを思い出した。

  • 最後に「長命百歲」。「百歳まで長生きしてね」という願いが込められた言葉。現在は「人生百年」時代に近づきつつあると言われるが、江戸の昔までは「人生五十年」だった。当時の人々にとっては百歳まで生きることはほぼ不可能に近かった。それだけ気の遠くなるような話だった。衛生や医療の発達が「人生百年」を支えようとしているが、もう一つ忘れてはならないのが、平和な世の中の維持だろう。若い人が戦地に赴かなくても済むような状況が「人生百年」をより身近にする手立ての一つだ。そして、台湾の人は「長年菜」と呼ばれるカラシナを様々な料理で食べる。皆さんの巳年のご健勝を祈りたい。

  • 本日は旧正月直前ということもあり、旧正月でよく使われるおめでたい言葉の特集をしてきたが、験担ぎの食べ物やお金儲けを願う言葉が、台湾をはじめとする華語圏では実に多いことがお分かりいただけたかと思う。旧正月料理には家族の様々な想いが込められている。私も毎年厨房に立ち、何品か料理のお手伝いをしている。魚料理担当することが多いのは、日本人の私が魚の扱いに慣れているとこちらの家族から認定されているからだろうか。明後日の大晦日も家族の平安とお金儲けを願いつつ腕を振るってこようと思う。

  • 本日のお別れの曲は、香港の譚詠麟(アラン・タム)さんが広東語で歌っている『恭喜發財』をOA。

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