<第1セクション:台湾の温泉の地理的条件と泉質から見た三つの特徴>
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今年も「立冬」が過ぎ、南国の台湾でもさすがに長袖が必要な季節になった。これから気温が下がるにしたがって、台湾の各地の温泉郷も賑わうようになる。本日は私が創作した台湾温泉地ソングも交えながら、全国に135か所あると言われている台湾の温泉の特徴や魅力を、三つの切り口から駆け足で紹介していきたい。
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まず、台湾の温泉の「地理的条件と泉質から見た特徴」について述べてみたい。台湾の温泉の泉質は大きく分けると、三つに分かれる。一つ目が、台北郊外の活火山・大屯山水系の硫黄泉である。北投、陽明山、紗帽山、金山万里などの温泉が、この硫黄泉で「白磺泉(白色硫黄泉)」「青磺泉(緑色硫黄泉)」と呼ばれる硫黄臭の強い温泉である。「青磺泉(緑色硫黄泉)」は、PHが3〜5の強酸性でラジウムを含む場合もある。陽明山や金山では、鉄分を含む赤褐色の「鉄磺泉(硫化鉄泉)」のお湯が出る場所もある。
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二つ目が中央山脈水系の無色透明で弱アルカリ性の「炭酸水素ナトリウム泉」である。これはいわゆる「美人の湯」と呼ばれている泉質で、このお湯に浸かると肌がすべすべになるのが特徴だ。烏来(新北市)、礁渓(宜蘭県)、尖石(新竹県)、泰安(苗栗県)谷関(台中市)、南北港渓、東埔(南投県)、宝来(高雄市)、知本(台東県)、四重渓(屏東県)など、台湾の目ぼしい温泉地のほとんどがこの泉質となる。台湾の中央山脈が北は新北市から南は屏東県まで台湾の背骨のように貫いていることから、このように幅広い分布となっている。
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三つ目が「海底温泉」である。黄色がかかった透明で渋い塩味が特徴と言われる「硫黄塩泉」に分類されるこの泉質は、本来は北投温泉などと同じ硫黄泉であるのだが、海水と混じることで中和されて硫黄臭はしない。台東県の沖合に浮かぶ緑島の朝日温泉や金山万里温泉(新北市)の一部にもこの特徴が見られる。
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また、この三つのどのカテゴリーにも属さない変わり種の温泉も点在する。その代表格は「泥漿溫泉(泥温泉)」と呼ばれる台南市の関仔嶺温泉である。濃い灰色の泥で濁った温泉であるが、泉質しては「炭酸水素塩泉」に分類される。泥温泉は弱アルカリ性で粘度も高く、泥パックのように顔や体に塗ると、こちらも肌がすべすべになる。日本統治時代には、台湾の最高峰の名湯に認定され、「天下第一泉」の称号も与えられていた。
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このほかカテゴリー外の温泉としては、花蓮県の海岸山脈の中にある安通温泉と同じく花蓮県の瑞穂温泉が挙げられる。安通温泉の「硫酸ナトリウム泉」のこのお湯は無色透明ながら、微かな硫黄臭があり、舐めると塩味も感じられる。「美人のお湯」の「炭酸ナトリウム泉」と「硫黄泉」の両方の特徴を兼ね備えた泉質で、「黒美人の湯」という別称もある。また、瑞穂温泉は「含鉄性塩化炭酸ナトリウム泉」で、日本の兵庫県の有馬温泉の泉質に近く、「黄金の湯」とも呼ばれている。
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では、ここで八得力樂團の演奏で、花蓮県の安通温泉のテーマ曲『安通溫泉進行曲(安通温泉行進曲)』を本日は華語版でOA。花蓮県は今年4月の大地震と7月の台風の影響で、今でも主力産業の観光業に大きな爪痕を残している。8月末に花蓮の皆さんを応援するために、八得力樂團もYouTuberのIku老師らとともに、花蓮文化産業創意園區で開催された日本のお祭りイベント『和っ祭』に参加したが、地元の方の話では、観光の客足は以前の1〜2割程度まで落ち込んだままだという。花蓮には素晴らしい温泉郷がいくつもあるので、この冬は温泉巡りという形で応援できたらと個人的には思っている。
<第2セクション:台湾の温泉の歴史と文化から見た三つの要素>
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次にご紹介するのは、台湾の温泉の「歴史と文化から見た三つの要素」についてである。すなわち、「台湾原住民」「日本人」「漢人」の三つである。台湾の多くの温泉は、文献上では日本統治時代に各地に入殖した日本人によって発見されたとの記録が残っている。しかし、それを根拠に日本人が「発見した」と言い切ってしまうのは、誤りであろうと私は考える。日本人が台湾を統治する前から、ついでに言えば、400年前に漢人が中国大陸から渡ってくる以前からも、台湾の「原住民」たちは、当然ながら温泉の存在は知っていたはずだ。
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台湾各地の「原住民」の言語からそのことは傍証できる。例えば、烏来温泉の「烏来(ウーライ)」はタイヤル族の言葉で「熱いお湯」を表す。つまり「温泉」のことである。また、安通温泉の「安通(アントン)」はアミ族の言葉で「硫黄臭」を表し、北投温泉の「北投」は台湾語読みでは「パッタウ」だが、これはかつてこの一帯に住んでいた平地の「原住民」ケタガラン族の言葉では「巫女」を表す。湯煙の向こうに揺れる影が「巫女」のように見えたのであろう。さらに、北投からほど近い、台北最大の夜市がある士林の旧名は「八芝蘭(パーツーラン)」であるが、この言葉もケタガラン語で「温泉」を指す。このように、地名として残された台湾「原住民」の言葉から、彼らの祖先が早くから温泉の存在を知っていたことは容易に推察できるであろう。台湾の温泉の「歴史と文化から見た要素の一つ目は、まさにこの「地名と原住民との関係」である。
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歴史、文化から見た二つ目の要素は、「日本人と温泉郷との関係」である。先ほど述べたように、台湾の温泉を発見したのは、台湾各地の「原住民」であることに疑いの余地はないが、それらの温泉を「再発見」し、その周りに温泉施設や宿や食堂を建設して温泉郷を整備したのは、主として日本統治時代に台湾に居住した日本人たちであった。中でもいち早く温泉宿が建てられ、温泉郷として名をなしたのは北投温泉である。
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その後も台湾各地で温泉郷が開発され、北投、草山(現在の陽明山)、関仔嶺、四重渓が「台湾四大温泉」と呼ばれるようになったのも、日本統治時代のことだった。これとは別に、明治温泉(現在の谷関温泉)、富士温泉(現在の盧山温泉、2009年の台風モーラコットによる「八八水害」後は立ち入り禁止となり、多くの旅館が廃業)、櫻温泉(現在の春陽温泉)を「中部三大温泉」とも呼んでいた。また、日本統治時代の温泉郷は、実は警察や軍の療養所として発展したところも多い。
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そして、歴史や文化から見た三つ目の要素は「漢人あるいは中華民国と現代の温泉郷との関係」である。日本統治時代に建てられた「警察療養所」の多くは、中華民国が台湾を接収した後もそのまま「警光山荘」と名前を変えて、同じく警察の保養所として使われている。現在、全国に12か所にある「警光山荘・警光会館」のうち、泰安、谷関、関仔嶺、東埔、知本の5か所の「警光山荘」が今も温泉地にある。
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台湾の温泉郷は、ほとんどの漢人が温泉に入る習慣がなかったこともあり、戦後はいったんは廃れる。一つだけ例外だったのは、台北の奥座敷の北投温泉だ。1960年代以降、北投は台湾映画の撮影基地となったり、花街として一世を風靡し、「酒家菜」と呼ばれる宴会料理や「流し」の文化が栄えたりしたこともあり、華やかな場所であり続けた。1990年代の陳水扁が台北市長だった時代に「公娼制度」が廃止され、北投温泉は健全化の道を歩み始める。これに伴って、全国各地の温泉郷も再整備され、今ではどこに行っても家族連れで楽しめるレジャー施設として、冬の風物詩として台湾の温泉文化は国民にすっかり定着した。
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ここで八得力樂團の演奏で北投温泉のテーマソング『溫泉鄉北投(湯の町、北投)をOA。「流し」文化が栄えた北投をオマージュしながら、古き懐かしの昭和演歌のテイストを意識して創作した。日本語と台湾語の混成版でお聴きいただきたい。
<第3セクション:台湾独自の「泡湯文化」の三つの特徴>
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最後に台湾独自の「泡湯文化」の三つの特徴について述べたい。「泡湯」というのは台湾華語で「温泉に浸かる」ことを意味する。ここでは「温泉入浴文化」と訳しておく。一つ目の特徴は、もともと裸で大浴場に入る習慣のなかった台湾では、「湯屋」と呼ばれる個室風呂により人気があることだ。日本に観光に行く人も多い台湾では、男女別の裸で入れる大浴場も少しずつ増えては来たが、今でも多くの温泉の大浴場は水着着用で男女一緒、家族一緒に入るのが普通だ。「湯屋」では夫婦や恋人同士、家族連れで、心置きなく温泉を楽しむことができるのが、人気の秘密なのだろう。
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台湾温泉入浴文化の二つ目の特徴は、地元の食材を使ったグルメと温泉がセットになっていることである。先ほど述べた北投温泉の宴会料理の「酒家菜」もそうだが、台南の関仔嶺温泉と言えば、鶏を丸ごと甕で蒸し焼きにした「甕缸雞(àng-kng-ke)」が名産品であり、宜蘭の礁渓温泉では、「櫻桃鴨(チェリーダック)」と呼ばれるブランドダックや温泉野菜、亀山島近海の新鮮な魚介類をいただくことができる。このほかにも、梅の産地である南投の東埔温泉の「梅子套餐(梅御膳)」、屏東の四重渓温泉の「羊肉爐(山羊肉煮込み鍋)」……考えただけでもお腹が減ってくる。
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そして、台湾温泉入浴文化の三つ目の特徴は、温泉入浴の効用を期待することもさることながら、「大衆池」と呼ばれる大浴場ではSPA施設が完備されているところが多く、また南投県の南北港渓温泉には遊園地と併設されているところがあったり、新北市三峡の大板根温泉は森林リゾートと一体型の施設になっているなど、より娯楽性にシフトしたスタイルとなっていることだ。山奥の露天風呂の温泉に浸かりながら、ひらひらと舞う雪を愛でるといった世界とは全く異なる。
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本日は台湾の温泉の特徴を「地理的条件と泉質」「歴史文化と民族」「温泉入浴文化」の三つの切り口から紹介してきたが、いかがだっただろうか。本日のお別れの曲は、八得力樂團の演奏で台湾最南端の温泉、屏東県の四重渓温泉のテーマソング『念念四重溪(懐かしの四重渓)』。歌の途中で屏東県の恒春民謡の『思想起(思い出すのは)』の一節をアレンジしたフレーズを挿入している。これも昭和歌謡をイメージした1曲。日本語と台湾語の混成版でお聴きいただきたい。
Rti 台湾国際放送
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