今日ご紹介するキーワードは「精靈文」。
これは今、台湾で大人気の“フォント”の事です。
*****
最近はパソコンやスマートフォンの普及などにより、文字を“手書き”するよりも“入力”する機会の方が多いと思いますが、皆さんが普段よく使う“フォント”は何ですか?
日本では大きく分けると、「ゴシック体」や「明朝体」がよく使われますが、海外では馴染みのあるフォントが違うことから、日本語で書かれていても、フォントを見て海外のサイトだなと気付くことがあったりしますし、また近年日本では、日本語ネイティブの人が見ると、どうしても日本語に見えてしまい、判読がしづらくなるという“日本人だけが読めないフォント”「Electroharmonix」も話題となりましたよね。
このように一見無機質な文字のようにも思える“入力”した字でも、フォントから個性やカラーが現れることもありますが、先日、台風が襲来し、にぎやかに過ごすことができなかった“ハロウィン”の夜に、台湾であるフォントが突如として注目を集めました。それが今日のキーワード「精靈文(エルフ語書体)」です。
この“エルフ”とは、ヨーロッパの神話に起源をもつ民間伝承に登場する種族で、主に森などに住むいたずら好きな“妖精”とか“精霊”の事。その“エルフ”たちが使っていそうな文字としてゲームや物語の世界で“ファンタジー”な世界観を表した文字の事を「エルフ語」などと呼んでいたりしますが、先ごろ、台湾の書道家が生み出した「精靈文(エルフ語書体)」が爆発的に人気となっているんです。
その書体は、“西洋の書”と言われるカリグラフィーの台湾の書道家の女性「做作的 Daphne」さんが、フォントデザインのベンチャー企業justfontと協力し、打ち出した書体で、中世後期の西ヨーロッパのゴシック様式であり、活版印刷技術の発明者といわれるヨハネス・グーテンベルクが金属活字を作った時に使われたフォントスタイルからインスピレーションを受けたというデザイン。
そして特別なのは、その文字というのがアルファベットでも漢字でもなく、“ボポモフォ”と呼ばれる、台湾の人たちが文字を入力する際に使用する「注音符號(発音記号)」なんです。
台湾では漢字が読めない子供のころからこの“ボポモフォ”を使って漢字の読み方を勉強するので、とても馴染みのあるものですが、この“ボポモフォ”に関するちょっと面白いエピソードがあって、2021年に中国の大手ゲーム会社が手掛けたオンラインゲームの中で「エルフ語」を使用する種族が登場するんですが、なんと書いてあるのか多くのプレイヤーたちは理解できませんでした。ところがそのゲームのスクリーンショットが台湾に流れてくると、実は、その文字は台湾人にはお馴染みの”ボポモフォ”で書かれていたことから、台湾の人たちはすぐに内容を理解。そして、台湾人の間で「“ボポモフォ”は“エルフ語”だったのか」、「自分たちはエルフ(妖精)だったんだ」と笑い話になったということがあったんです。
今回、「精靈文(エルフ語書体)」をデザインした書道家の女性「做作的 Daphne」さんは2か月前のある夜、ふとこの誰かが言っていた「“ボポモフォ”は実は“エルフ語”だ」と言う言葉を思い出し、カリグラフィー書道家として文字を中世のスタイルに変えるのは得意だったこともあって、“ボポモフォ”を組み合わせたら暗号文みたいな雰囲気になるのではないかと思いデザインしたんだそうです。
そして10月31日にそのフォントが打ち出されると、無料でダウンロードできるということもあって、瞬く間に台湾で人気に!
各メディアや、著名人、さらには新北市の観光旅遊局のオフィシャルフェイスブックページでもこの「精靈文(エルフ語書体)」を使ったメッセージをアップしています。
本当に暗号文のように見えるこの「精靈文(エルフ語書体)」─。
今、たくさんの台湾の人たちがこの書体を使ってメッセージをアップしているので、何と書いてあるのか気になる方は、この機会に“ボポモフォ”をちょっと勉強してみると面白いメッセージが読めるかもしれませんよ。
Rti 台湾国際放送
Rti 台湾国際放送 
