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馬場克樹の「とっても台湾」(爸爸桑的「非常台灣」) - 2024-08-11-台湾散策⑤:花蓮市内をゆく

  • 11 August, 2024
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馬場克樹の「とっても台湾」(爸爸桑的「非常台灣」)
花蓮文化産業創意園區

<第1セクション:花蓮文化創意産業園區>

  • リスナーの皆さん、こんばんは。まず、7月24日〜25日かけて台湾全土を襲った台風3号ケーミーは、台湾各地で大きな爪痕を残した。死傷者も出てしまい、山間部で道路や鉄道が寸断されたり、南部では洪水も発生した。被災された皆さんに心よりお見舞い申し上げるとともに、1日も早い復旧・復興を願っている。

  • その台風襲来の直前、先日7月22日に、8月25日に予定されている和太鼓を中心とする日本の伝統芸能の祭典「和っ祭」の打ち合わせのため、実行委員長のYouTuber・Iku老師に同行する形で、私も実行委員の一人として花蓮に出張してきた。今年4月に発生した大地震のあと、初めて花蓮を訪れることとなったのだが、台北から台湾鉄道の「タロコ号」に乗り込み、2時間ちょっとの旅。私の乗った号車は月曜日の朝6時台のほぼ始発にもかかわらず、8割ほどの乗車率だった。その前週の週末に、同じく台湾鉄道で花蓮に向かったという友人からはガラガラだったと聞いていたので、思ったよりは客足は多かった。しかし、学校が夏休みということを考えると、切符も比較的簡単に取れたし、まだまだ観光客は戻り切っていないと感じた。

  • 「和っ祭」の会場となる花蓮文化創意産業園區は、台湾に5つある文化産業園區の一つ。日本統治時代の1913年に「宜蘭振拓株式会社」が設立した「花蓮港工場」がそもそもの前身だった。ここでは赤ワインや清酒が醸造されていたという。1922年7月より台湾総督府が酒類の専売を実施することになったのに伴い、「宜蘭振拓株式会社」の酒造工場は、4月には専売局の組織に組み込まれ、「花蓮港専売支局」の「寿酒造場」と「煙草耕作指導所」となった。後に「寿酒造場」は「花蓮港酒造場」に改められた。1933年からはビールの専売、1934年には樟腦の専売、1942年にはマッチの専売も始めた。1944年には花蓮港専売支局と酒造工場は米軍の空襲を受け、重大な損害を被った。

  • 戦後は国民政府に接収され、1957年に「臺灣省菸酒公賣局花蓮酒廠」となった。1988年には酒造工場が新たな工業団地への移転に伴い、ここの営業は終了した。2002年に旧酒造工場は花蓮県政府から歴史建造物に指定され、2006年に所管が文化建設委員会(現在の文化部=文化省)に移ってから修繕が始まり、2012年から文化創意産業園區として蘇った。以上が、大まかな沿革である。

  • 今回「和っ祭」を実施するに当たっては、台北市内の下町、大稻埕が当初の候補だった。一方、今年4月1日の花蓮地震発生後、余震が長引いたり、北部とを繋ぐ唯一の交通の動脈である台湾鉄道や蘇花公路が寸断したり、通行制限がかかったりして、観光客の足がすっかり遠のいてしまった。冒頭でも述べたが夏休みのこの時期も、以前のようには観光客で賑わってはいない。花蓮で飲食業や宿泊業を営む方々にも直接伺ったのだが、以前の1〜2割まで観光客は減ってしまったというのが実感だそうだ。観光の目玉であったタロコ渓谷が、地震以後は立ち入り禁止となってしまい、観光業が主な産業である花蓮にとっては、相当な痛手となっている。

  • こうした状況を踏まえ、「和っ祭」実行委員会のメンバーから、今年は花蓮を応援する意味も込めて花蓮で実施してはどうかとの声が上がった。実行委員長のIku老師、実行委員の一人書道家のsoyamaxさんが花蓮市役所にこのアイデアを伝え、共同開催を働きかけたところ、市長自らが会談に応じてくださり、話がとんとん拍子にまとまった。花蓮市側で会場を無償で提供していただくとともに、舞台周りと音響設備のハード面の費用を負担してくださることとなった。そして、今回提供していただくこととなった会場が、花蓮文化創意産業園區という次第である。その他の費用は、一部ロータリークラブ等からの寄付もいただくが、基本的にはIku老師がポケットマネーでカバーすることとなる。出演者側もギャラを抑えるとともに、交通費や宿泊費は手弁当で賄うことで、全体の出費を極力抑えることに協力することになる。

  • 「和っ祭」では、日本や台湾の地元で活躍する太鼓や獅子舞、津軽三味線といった伝統芸能のグループの演奏の他に、台湾で活躍する漫才ボンボンさんによる漫才や私のバンド八得力樂團(バッテリー)による盆踊り曲や太鼓とのコラボの演奏もある。また、ワークショップの形で観客の方々に和太鼓を実際に叩いてもらった李、浴衣の着付けなど体験型のプログラムもある。また、当日は三十数店舗もの屋台も出る予定と聞いている。

  • まずは花蓮の地元の皆さんに「和っ祭」を通じて日本のお祭りを楽しんでいただければと思う。また、可能な限り日本や台湾の他の地域からの観光客の皆さんにも花蓮に足を運んで参加していただき、一緒にお祭りを盛り上げていただければと思う。そして、少しでも地元の皆さんにお金が落ちて、花蓮の経済に少しでも貢献できればという思いもある。花蓮と宜蘭の県境の道路や線路の復旧状況が心配だが、予定通り「和っ祭」が開催されることを願ってやまない。「和っ祭」に関する「花蓮市文化観光情報網」リンク:https://culture-tourism.hualien.gov.tw/activity_dt.php?id=78

  • ここで、賽德克(セデック)族で花蓮を拠点に活躍するシンガーソングライター、俳優の洛佳・巫茂(Laka Umaw)さんの歌で『Lo King』をお聴きいただきたい。この曲は2013年にリリースされたアルバム『流浪的歌(流浪の歌)』に収録されている。このアルバムは2014年の第25回金曲奨最優秀原住民語歌手賞と最優秀原住民語アルバム賞にノミネートされている。また、魏徳聖監督の『セデック・バレ』では、俳優としても出演しているが、主題歌の『看見彩虹(虹が見える)』を作詞作曲し、2011年第46回金馬奨最優秀オリジナル映画楽曲賞に輝いている。

<第2セクション:花蓮市鉄道文化園區ー花声客廳>

  • 次にご紹介するのが、花蓮市のもう一つの文化園區である「花蓮鉄道文化園區」である。ここは元々は1909年に設立された「台湾総督府交通局鉄道部花蓮港出張所」だった。戦後の1959年には「臺灣鐵路管理局花蓮管理處」に改編されている。一貫して東海岸の鉄道行政の要だった場所だ。その後は、花蓮県の歷史建築遺産として登録され、2003年修復工事が行われ、現在は鉄道遺跡として展示が行われているほか、「花蓮鐵道電影院(花蓮鉄道映画館)」が設置されている。

  • 実は鉄道文化園區第1エリアのこの映画館には昨年訪れたことがある。花蓮県政府が1939年の花蓮港開港前夜を背景に製作した短編映画『尋找回憶中的金木君(記憶の中の金木君を探して)』の上映会に、出演キャストの一人として呼んでいただいたのだ。主演は黃鐙輝さん。私は日本統治時代に台湾の当時の花蓮港に派遣された港湾技師の上田幸男。主人公の金木が恋する日本人女性、愛子の頑固な父親という役柄だった。

  • それはさておき、今回用事があったのは第2エリアの方である。実は8月25日の花蓮文化創意産業園區での「和っ祭」出演の後、こちらの敷地にある「花聲客廳」というライブハウスで、八得力樂團設立10周年記念巡回公演の花蓮公演を行うこととなったのだ。このため、場所の下見も兼ねてここの実質的運営責任者の嘉木郎さんと打ち合わせを行った。

  • この「花聲客廳」は、バンドや音楽関係者のライブ公演や、講座、ワークショップなどを行えるプラットフォームとして設立された空間だ。廳長と呼ばれるここの支配人の嘉木郎(ジア・ムーラン)さんは、ファーストアルバム『夜官巡場(捨てられた神明の夜廻り)』で2022年金曲獎年間最優秀新人賞にノミネートされたバンド「裝咖人(田舎者)」のプロデューサーでもある。このアルバムに収録されている多くの楽曲はこの場所でレコーディングもされたそうだ。

  • ではここで、嘉木郎さんもプロデュースに参加した裝咖人さんのアルバム『夜官巡場(捨てられた神明の夜廻り)』から『花巷(花横丁)』をOA。裝咖人さんとは昨年、台北の大稻埕は永楽広場で行われた「島語音樂會(島の言葉コンサート)」で私も同じ舞台に立っている。その一年後に花蓮で彼らのプロデューサーが責任者のライブハウスで演奏できるのも嬉しいご縁だ。

<第3セクション:花蓮に来たらカツオのたたき>

  • 花蓮に来たら必ず顔を出さなければならない店が一軒ある。昨年この番組にも出演してくださり、花蓮市日本人会の幹事をされていて、愛媛県宇和島市出身の溝渕剛さんが経営する日本料理店「芝麻開門」だ。溝渕さんは仲間内からはゴウさんと呼ばれている。ここの名物といえば、花蓮・台東といった台湾東海岸で獲れたカツオのたたきだ。日本では初夏の初鰹と秋の戻り鰹が定番だが、こちらでは栄養豊富な台東の緑島沖に、そこに棲みついている根魚のカツオがいるそうだ。ゴウさんのカツオはほとんどが台東の成功漁港で揚がったものだ。

  • それをゴウさんのお店では藁焼きでたたきにして出してくれる。冷蔵や冷凍で台北にも配送してくれるのだが、やはり地元でいただく新鮮なカツオは絶品だ。台北の私の周りにも、わざわざゴウさんのカツオを指定して注文する人も多い。今回も「芝麻開門」に立ち寄った。もちろん、お目当てはゴウさんのカツオのたたきだ。大ぶりに切られたカツオのたたきに舌鼓を打った。今回はカツオのフライ、名物のハンバーグや卵焼きもいただいた。どれもホッとする味だ。早速出来上がったばかりの「和っ祭」のポスターを店内に貼らせてもらった。

  • 本日は阿美(アミ)族のシンガーソングライターで、花蓮県の港口集落を拠点に、民族の文化の継承に力を入れ、漁師や農夫をしながら音楽活動を続けている阿努・卡力亭・沙力朋安(Anu・Kalitin・Salipongan)さんの『混濁了Cepo'』をお聴きいただきながらお別れ。2013年にリリースした同名のアルバム『混濁了Cepo'』の看板曲。Anuさんはこのアルバムで2014年第25回金曲奨最優秀原住民語歌手賞を受賞したほか、最優秀原住民語アルバム賞にもノミネートされた。。これから聴いていただく『混濁了Cepo'』は、最初は自分の集落のおばあさんが歌い始める。やがてAnuさんの歌声と重なり、いつしかAnuさんが歌を引き取って歌い続けていく。自分たちの言葉や文化の継承を象徴的に表す演出となっている点にもご注意いただきたい。

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