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馬場克樹の「とっても台湾」(爸爸桑的「非常台灣」) - 2024-03-10-台湾の安いモノ、高いモノ(後半)

  • 10 March, 2024
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馬場克樹の「とっても台湾」(爸爸桑的「非常台灣」)
台湾では比較的高価なもの

<第1セクション【台湾の高いモノ:食べ物と飲み物】>

  • 明日でおよそ2万人の方々が犠牲になった311東日本大震災から13年目。被災地の復興はかなり進んだが、傷口は癒えても傷跡は残る。あの年は復興支援のため、私も何度も被災地に入った。改めて犠牲になった方々を心より追悼し、被災した方々にお見舞い申し上げたい。また、当時日本円で200億円を超える義援金を送り、日本を支えてくださった台湾の方々のお気持ちに、改めて感謝申し上げたい。また、今年元日の能登半島地震でも25億円もの義援金をいただいた。こちらも一人の日本人として併せて感謝を申し上げたい。

  • 先週は台湾の安いモノについてお話をしたが、今週は値段が高いモノについてお話をしていきたい。先週台湾の安いモノの最初に挙げたのは、ローカルな外食、飲み物、そしてフルーツなどの飲食品だった。実は高いモノの筆頭に挙げられるのも、食料や飲料だ。特に日本をはじめ、外国から入ってきた外食産業が台湾で開いたお店は、一律割高だ。例えば、回転寿司。日本では一皿100円の商品が40元(およそ190円)でほぼ2倍の値段となる。駅前のカジュアルなチェーン店の食堂も、日本では1,000円でお釣りがくる商品が300〜350元(およそ1,450〜1,700円)となり、少しだけ高級な路線に寄せたレストランという風情になる。同じくチェーン店のラーメンも、日本では800円の商品が250元(およそ1,200円)。ただし、チェーン店の牛丼は並盛りで日本では400円の商品が、台湾では89元(およそ430円)であり、ほぼ同水準なのは企業努力の賜物であると思われ、この点は高く評価したい。

  • スーパーに並ぶ食品で意外にも高いのが卵と牛乳だ。我が家では妻がペスカトリアン(体質で肉は食べられないが、卵、牛乳に加え魚介類は食べられるベジタリアン)なので、卵も牛乳も貴重なタンパク源なのだが、昨年のこの時期は本当に困った。台湾のスーパーの棚から卵が一斉に消えたのだ。養鶏業者の生産調整が上手くいかなかった、寒波の襲来で雌鶏が卵を産まなくなった、鳥インフルエンザの影響などが重なった結果だと言われる。卵は日本では1パック10個入りで200円くらいだと思うが、台湾では常温で売られている安いものでも80元前後(およそ380円)、生食も可能な冷蔵流通しているものは100元(およそ480円)を越える。普段でさえ値段は値段が高いのに、昨年は値段を厭わなくてもほとんど手に入らない状態が2〜3か月ほど続いた。このため、一部輸入卵を市場に導入することになったのだが、一部の商品が劣化していたことが問題となり、当時の農業大臣が辞任にまで追い込まれた。

  • 牛乳は最近日本でも値上がりしたと聞くが、それでも1リットル250円くらい出せば買えるだろう。だが、台湾では本日のチラシを見ると、特売で86元だから日本円だと400円を越える。このような状況で、卵や牛乳が欠かせない台湾の朝食屋さんは、コスト計算がどのようになっているのだろうと思うくらい抑えた価格で「蛋餅(台湾式卵いりクレープ)」などの食事を提供してくれるのは、実にありがたい。

  • 台湾は肉や魚も安くはない。台湾の国民食である「滷肉飯(ルーロー飯)」や「排骨飯(パイコー飯)」にも使われる豚肉はさすがに日本より若干安いのだが、日本では比較的安価な国産地鶏の胸肉が、日本では100gで91円(ネット調べ)であるのに対し、台湾では52元(およそ250円)であった。魚介類については、台湾と日本では売られている魚種もかなり違い、取れた場所や季節によって値段も大幅に変動するので、具体的な例を挙げての比較はしづらいのだが、スーパーの鮮魚コーナーや市場に行っても、日本よりは割高で手が出づらい感覚はある。台湾では売られている魚種が限られてしまうのも、この感覚を後押ししているかもしれない。

  • 台湾では安い食材もやそのほかの選択肢も豊富にあり、台湾で飲食品の値段が高いと言っても、日本より割高で片付けられるレベルだが、左党にとっていちばん堪えるのが、日本酒がべらぼうに高いことだ。輸入品になってしまい業者のマージンが上乗せされることもあるが、台湾の関税が高いことが最大の要因だ。2020年までは関税が40%であった。その後関税は20%にま下がったが、また日本円の外国為替が下落し台湾にとっては輸入に有利になったはずだが、日本酒の小売価格にはほとんど反映されていない印象を持っている。ざっくり言えば、日本で1,000円で売られている日本酒が台湾では1,000元、すなわち為替レート分の4.8倍の4,800円ほどで売られている感覚である。私がこのように言うと、台湾の多くの酒好きの方は頷くはずだ。自ずと台湾では酒税が低く割安なビールやワイン、ウィスキーに手を出す割合が高くなる。日本酒は日本に一時帰国した時のささやかな楽しみとしてとっておくこととしよう。

  • では、ここで吉幾三さんの『酒よ』の台湾語のカバー曲で江蕙(ジァン・ホエ)さんと 施文彬(シー・ウェンピン)さんがデュエットで歌った『傷心酒店(ションシムチウディァム/傷心酒場)』をOA。

 

<第2セクション【台湾の高いモノ:青天井の不動産】>

  • 台湾で高いモノ、二番目に挙げたいのが不動産である。特に台北、新北などの北部の都市部では常軌を逸していると言いたくなるほど高い。手元に不動産会社の広告があるのだが、台北市の中心部中山區のエレベーター付きのオーソドックスな家族用マンションを見てみよう。こちらの言い方では「2廳2房2衛」と呼ばれる客間が2つ、寝室が2つ、バスルームが2つあり、建坪が21.7坪(およそ72平米)のオーソドックスな造りで、築19年、12階建ての4階の物件が2,598万元(およそ1億2,500万円)の「億ション」となる。面積を「坪」で表すのは、おそらく日本統治時代からの名残ではないかと思われる。

  • 台湾の不動産で気をつけなければならないのは、まず建坪の表記。21.7坪(およそ72平米)と表記されていても、実際には3〜4割程度の公共使用部分の割かけが含まれているため、坪単価は1.3〜1.4倍、実際にプライベートで使用できる面積は6〜7掛け程度、今回の物件では、実際には15坪(50平米ほど)となってしまうということだ。

  • 2番目に気をつけなければならないのは、築年数が古ければ古いほど、不動産が安くなるとは限らない。いや、むしろ上昇するのが普通であるということだ。これは日本とは異なり、多くの場合、不動産が投機対象として売買されるからだ。人気の地区であればあるほど、値段は釣り上がる。2001年から2018年までの間で、実に2.8倍に高騰したとのデータもある。築40〜50年の「億ション」もザラにある。台北駅周辺、大安森林公園周辺、台北101周辺などの人気エリアでは、坪単価が100万〜250万台湾元、日本円だと480万〜1,200万円にものぼる。繰り返すが、これは一坪の値段である。これは東京中心部の赤坂、六本木等の一等地の不動産価格に匹敵する。

  • 台湾では全世代の平均年収が以前は日本の半分と言われていた。最近は外国為替レートの関係で見かけの賃金はその2/3ほどになったが、それでも日本よりは低く、台北で普通に会社員をしていたら一生かかってもトイレ一つしか買えないなどとよく言われている。マイホーム購入は日本の方がずっと恵まれている。若い人たちが、台北から1時間〜2時間圏内の新北市郊外や桃園、宜蘭などの比較的安い物件へと向かうのも自然な流れと言える。

  • 不動産の売買価格がこのような状況であり、もともと投機対象として購入されることが多いことから、台北市内は賃貸価格も当然高い。先ほどと同じく中山区の11階建て4階の1ルームマンション、築11年、建坪17.5坪(58平米、実際の使用可能面積は9.3坪=31平米ほど)の賃貸価格を大手不動産サイトで見てみると、月額の家賃が3万元(およそ14.4万円)となっている。当然、仲介料や保証金は別、管理費も月額2,600元(およそ12,500円)かかるので、家賃は生活者には重くのしかかる。このため、若い人たちは、バスやキッチンを共同で使用するシェアリングハウスで「雅房」と呼ばれる1室を借りて暮らすことが多い。

  • 台湾、特に台北でここまで不動産価格が高いのは、不動産が投機対象であることに加え、台湾の面積がもともと九州ほどの広さしかない上、中央部分はほとんどが山岳地帯で住宅用地が限られるため、台北に一極集中してしまうことが挙げられる。隣接する新北市や桃園市も近年は、台北と連動して不動産価格は上昇を続けている。また、2008年のリーマンショック以降、政策金利のほか、相続税や贈与が引き下げられた結果、不動産価格を押し上げることとなった。個人だけではなく、台湾の不動産を長期的に低リスクな投資と見なして積極的に投資を続ける金融機関や保険会社等の法人も、この動きに拍車をかけている。さらには地価と建築コストの高騰もそのまま不動産価格に連動していることも挙げられるだろう。いやはや、台湾では台北のような大都市で暮らしていくことは、実に大変なことである。

  • ではここで私の大好きな蘇芮(ジュリー・スー)さんの歌で『蝸牛的家(カタツムリの家)』をOA。

  • 鄭智化さんの作詞・作曲によるこの歌はこんな歌詞である。「密密麻麻的高樓大廈 找不到我的家……卻永永遠遠跟不上 飛漲的房價 給我一個小小的家 蝸牛的家 能擋風遮雨的地方 不必太大(びっしりとひしめき合うビルの群れ そこには私の家は見つからない……家の値段の高騰に永久に追いつくこともない 小さな家を私にください カタツムリの家を 雨風が避けられれば 大きくなくても良いんです)」1990年、今から34年も前に書かれた小市民の叫びとも言えるこの歌は、今でも、いや今はさらに切実に訴えかけてくるものがある。

 

<第3セクション【台湾の高いモノ:あらゆる舶来品】>

  • 先週の台湾で割安なモノに引き続き、今週はここまで台湾の割高なモノを紹介して来たが、いわゆる「舶来品」はおしなべて高い。化粧品、薬などのコスメ用品、電化製品、自動車やバイク、衣類なども、財布にはまったく優しくはないものばかりだ。それでも先週紹介したローカルな食堂での外食や交通費が安いことで、何とか生活のバランスは取ることができる。観光旅行で台湾にいらっしゃる方も、これらのことを踏まえながら台湾の社会を観察いただき、また上手にお手軽に旅行を楽しんでいただきたいと思う。

  • ところで、先日、ステージ用のギターのアンプを台湾で買い換えたのだが、日本の大手音楽メーカーの製品であった。にもかかわらず、日本の販売価格より2割程度安く買えた。これは台湾元の日本円に対する外国為替レートが強くなった恩恵で、極めて例外的なケースだが、今後はこのような動きが加速するかもしれない。とりあえず後は日本酒がもう少し安くなってくれることを個人的には願うばかりだ。

  • 本日のお別れの曲は、王芷蕾(ジャネット・ワン)さんの歌で『台北的天空(台北の空)』をOA。この曲は1985年の「台視(台湾テレビ)」の連続ドラマ『花落春猶在(花は散っても春はそこにある)』の主題歌。故郷を離れ台北で暮らす青年が、ふと台北の空を見上げ故郷を思うという作品で、当時多くの人々の共感を呼んだ。

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